新装開店した「やさしいタオル」のお店を飾る
色鮮やかなかわいいイラスト。
このイラストは
「ほぼ日」の「福田のフォト絵」でお馴染みの
福田利之さんが描き下ろしてくれたものです。
そこで、この機会に
「やさしいタオル」の愛用者でもあるという福田さんに、
今回の新しいイラストについて、
「やさしいタオル」について、
現在取り組んでいる活動について、
いろいろとお尋ねしました。
ほぼ日 | 「やさしいタオル」を ご愛用いただいているそうですね。 ありがとうございます! ところで、使い心地の方は どうでしょうか? |
福田 | とってもいいですよ。 肌触りとか、吸水性とか、 使っていて本当に気持ちがいいですよね。 それにチェックの柄もとてもかわいいです。 ありきたりの宣伝みたいなことしか 言えてないですけど、 本当にいいです。 これで体拭いたりするのとか‥‥。 |
ほぼ日 | ありがとうございます。 ふつうの褒め言葉で十分嬉しいです。 |
福田 | あっ、でも、 拭く以外にも使うことありますね。 仕事で疲れたとき チェアに座ったまま天井に顔を向けて、 顔に被せて目の疲れをとったりします。 そもそも軽いし、 その感触にホッと疲れがとれるんです。 少しだけ寝たいときに、 机の上に3枚ほど敷いて、 そこに顔を乗せて寝たりとかします。 「やさしいタオル」のボリューム感が、 合っているんですよ。 肌に触れる感触も やさしいですからね。 だから、僕にとっては、 気持ちよく安眠できるアイテムでもありますね。 |
ほぼ日 | なるほど。 そうやって工夫して 役立てていただいているのは 嬉しいですね。 ところで、 今回描き下ろしていただいたイラスト、 温かみがあってほんとうに素敵です。 |
福田 | ありがとうございます。 「やさしいタオル」のお店ということで その雰囲気を伝えようと思いました。 でも、元々、僕のイラストと 「やさしいタオル」の商品とは、 雰囲気的に合ってるような気がするんです。 あくまでも個人的な気持ちなんですけど、 だからなのか、 違和感なく描くことができたと思います。 それから、 いくつかの遊びも仕込んであるんですよ。 たとえば、 「赤い屋根のお店」のドアの部分が タオルのデザインと同じ、 タータンチェックになっていたり、 「青いくるまのお店」の車体の部分が ピンストライプの柄になっていたり‥‥。 |
ほぼ日 | よく見ると、 ウサギも膝にタオルを、 馬も背中にタオルを掛けていますよね。 おもしろいなぁ。 |
ほぼ日 | ところで、 このイラスト全体に漂う 紙が古くなったような モワッとした質感というのは、 どうやって描いているのですか? |
福田 | これは、 ティッシュにコーヒーとニスを使うと、 こんな質感になるんですよ。 |
ほぼ日 | えっ、そうなんですか。 ティッシュ、コーヒー、ニスを使う‥‥。 一体、どういうことなんでしょう? |
福田 | 元々、僕は、 古い雰囲気のものが好きなんですね。 それで、僕のイラストでも、 最初の頃は、 卵黄と酢を用いて 鮮やかだけど独特の色味を出す テンペラ画という技法を 試したりしていたんですよ。 でも、テンペラ画というのは、 手間がとても掛かって大変なんです。 それだとイラストレーターという 制限時間内で作品を仕上げる仕事には合わない。 それでいろいろ試す中で、 コーヒーというものにたどり着いたんです。 その前は、醤油を用いるということも 試したりしたんですけど、 ゴキブリが出るようになったんで 辞めてしまいました(笑)。 |
ほぼ日 | ゴキブリは嫌ですね(笑)。 でも、興味深いお話です。 もう少し具体的に どうやって制作しているのか、 教えてもらって良いでしょうか? |
福田 | 普通のキャンパスにティッシュペーパーを 貼付けるんですね。 その上にアクリル絵具を使って 普通に描くわけです。 その後、 インスタントコーヒーとニスを混ぜて、 最後に一回、上からザーッと全面に塗ります。 すると、 黒い汁の中に残った インスタントコーヒーの粒々が 微妙に出たりして、 こういう古い質感に仕上がるわけですね。 さらに それをスキャナで取り込んで、 パソコン上で微調整をするという具合です。 |
ほぼ日 | そんなに手間をかけて 描いてはじめて出る質感なんですね。 それにしても、 絵の中にティッシュとコーヒーが 含まれていたというのは、 気がつきませんでした。 |
福田 | 展覧会なんかやると、 見ている人は、 僕の絵の質感が面白いから 触ろうとするんですよ。 ティッシュが下に敷かれていて 表面が古くなった感じでモワッとしてたり、 コーヒーが混じりのニスが塗られていて テカテカして不思議な感じがして、 ついつい触ってみたくなる。 あっ、まさに 「やさしいタオル」と同じ質感だ! 「やさしいタオル」も ついつい触ってみたくなりますもんね。 |
ほぼ日 | おお、素敵なことを言っていただき ありがとうございます。 |
ほぼ日 | ところで、 福田さんは 最近、どんなお仕事をされているのでしょうか? |
福田 | いま、自費出版という形で 絵本をつくっています。 6月に個展があるので、 それに合わせての発行を目指しているんです。 |
ほぼ日 | えっ。それは意外ですね。 福田さんは有名な出版社からも 絵本を出しているから、 自費出版というイメージがないです。 そうするのは「あえて」なんですか? |
福田 | はい。 自分の好きなように本をつくれるというのは、 自費出版の醍醐味ですよ。 それから、それを旅行先なんかで、 自由に営業して歩けるという 面白さも自費出版にはあるんです。 だから、旅行するときは、 自分の本を携えておいて、 目ぼしい雑貨屋さんとか、 本屋さんとかを見つけると、 「本を置いてもらえませんか?」 って、飛び込みでやるんです。 それは、 日本だけじゃなく、 海外に行くときにもやりますね。 |
ほぼ日 | はあー。 海外でも飛び込み営業をするんですかー。 凄いなぁ。 どんな国でおやりになるんですか? |
福田 | この間行ったのは、 フランスのパリとかドイツです。 手探りでしたが、 現場での反応は良かったような気がしています。 |
ほぼ日 | イラストレーターとしての お仕事が忙しいはずなのに、 仕事の合間にそういうことをされる というのは、 よほどお好きなんですね。 |
福田 | 自分のつくりたいものをつくって それを手売りするっていうのは、 気持ちいいものです。 基本的には、 儲けるスタンスではやっていませんが、 長い時間を掛けてやると、 得るものの方が 大きいような気がしてます。 |
ほぼ日 | ちなみに、最新作は どのような内容になるのでしょう? |
福田 | 永井宏さんという美術家に 書いてもらった詩をもとに、 大人が読める感じの絵本に仕上げる予定です。 1冊を通して1篇の詩が載っているんですが、 その詩を僕なりに解釈して 絵をつけてみたんです。 |
ほぼ日 | それは出来たものを見るのが 楽しみですね。 |
ほぼ日 | 今回「やさしいタオル」のイラストをお願いしたことで、 あらためて福田さんの絵について思ったのは、 福田さんのイラストには、 どこかしら芸術的な、 絵画的な雰囲気が漂っているなあと。 |
福田 | 僕は、芸術家というよりは 職人的にイラストレーターでいたい、 そういう気持ちが強いんですよ。 それは自分が描くものが 常にダイレクトに 反応できる場所にあってほしい、 そういう気持ちがあるからだと思います。 美術館に自分の作品があるよりも 自分の作品が表紙になった本なり雑誌なりが 本屋さんにあった方が嬉しいんですよ。 だから、今回の「やさしいタオル」のお店で 描かせてもらったイラストも ダイレクトに反応できる場所だと思うから、 そういう媒体で描けたことがすごく嬉しいんです。 これでなおかつ、 「やさしいタオル」が売れてくれたら、 イラストレーターとして こんなに気持ちのいいことはない(笑)。 相手のリクエストを聞いて、 自分の意見も出しつつ、 クライアントとユーザーを満足させる、 そういう一連の流れも楽しい。 僕は、 イラストレーターという仕事は、 すごい好きですね。 |
ほぼ日 | 福田さん、楽しいお話を どうもありがとうございました! |
1967年生まれ。大阪府出身。 ホームページ:http://to-fukuda.com/ 福田利之さんが描いた絵本、 著者:福田 利之 福田利之展覧会「みんなねている」が開催されます。 2009年6月6日(土)から13日(土)まで |