Hobonichi Striped-T Institute

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「原点のボーダーシャツ」の研究開発も、
残すところ、カラーバリエーションを
決めるのみとなりました。


ビーカーテスト(試験的な糸の染色)を経て、
現在、井伊さんが配色の候補として
残しているのは、以下の5色です。



シンプルなものが好きな井伊さんらしく、
オーソドックスかつシックなチョイスです。
冴えた、きりっとした配色のボーダーシャツが
生まれそうな予感がします。


このなかで「チャコールグレー」は、
ほかとちょっとちがった手法を検討しています。


それは、できあがったボーダーシャツを
もういちど染め直す「製品染め」。


製品染めすると、染めるときに
生地が煮込まれてくたっとした感じになったり、
ボーダーシャツどうしがこすれあって、
生地にアタリ(部分的な色落ち)が出たりして、
「着込んでこなれた感じ」が出るのです。


というわけで、そのサンプルをつくってみました。
井伊さん、いかがでしょう?



「うん、やっぱり製品染めした生地の風合い、
 いいですね。
 新品っぽくなくて、体になじみます。」


「はじめから肌になじむ風合い」が特長の
「原点のボーダーシャツ」ですが、
製品染めをすると、
さらにもっと、こなれた感じになりますね。


「これ、もっと濃いグレーにして、
 ボーダーが目立たなくなると、
 わたしのようなボーダーに慣れてない人が、
 着やすいボーダーシャツになる気がします。」


なるほど、それはいいですね。
できあがったボーダーシャツに
さらにひと手間かけて、
ボーダー柄を目立たなくするっていうのも、
おもしろいです。
これはぜひ、やりたいですね!


では、井伊さん、
いよいよカラーバリエーションを決めましょう。


ピッチを決めたときと同じく、
パソコンでボーダー柄をつくって、
プリントアウトしたものを
見ながら決めていくことに。


「白地に紺ボーダー、黒地に白ボーダーは
 ぜひつくりたいです。
 製品染めは『白地に黒』を染めるのが
 いいですかね?」



井伊さんはサンプルをラックに並べて、
じっくりと見ながら、
ラインナップを考えていきます。


「スタイリストをしてきて思うのですが、
 いい服ってハンガーにかかっていても
 素敵に見えるのです。
 このボーダーシャツは
 ちゃんと様になっているので、うれしいです。」


そんな話をしながら、
最終的に井伊さんが選んだのは、次の4色です。



白×紺



黒×白



白×黒



グレー×黒(製品染め)


どれもシックな色合いなので、
カジュアルになりすぎず、
おとなっぽく着られそう。
なんだか、かっこいいボーダーシャツが
できあがりましたよ。
「原点のボーダーシャツ」、ここに完成です!


井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

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