Symposium ボーダーシャツを語ろう。[井伊百合子さん篇]

  • 井伊 百合子さん(スタイリスト)
  • 江藤 公昭さん(「PAPIER LABO.」ディレクター)
  • 尾崎 雄飛さん(「SUN/kakke(サンカッケー)」デザイナー)
title:

File 01 着たいのは「攻めのボーダーシャツ」。

date:

2013/02/19 TUE

content:
ほぼ日 本日はよろしくお願いいたします。
なにかこう、東京のおしゃれを代表する人たちに、
おあつまりいただいた感じですね。
井伊 いえいえ、とんでもない‥‥。
ただ、どうせお話するのなら、
センスが近い人の方がいいかなと思ったので、
お二人に声をかけさせていただきました。
尾崎 光栄です。
江藤 ありがとうございます。
井伊 あの、それで、
先にいっておかねばならないことがあります。
ほぼ日 なんでしょう?
井伊 わたし、あまりボーダーシャツを着ないのです。
ほぼ日 あれっ、そうなんですか?!
スタイリングでよくボーダーをお使いになっているので、
てっきり、ご自身も着ていらっしゃるものだとばかり‥‥。
ええと、もう、全然着ない?
井伊 はい、あまり。
今、自宅のクローゼットには
ボーダーのアイテムが3つくらいあったかどうか‥‥。
そんな感じだと思います。
江藤 あ、あのー‥‥すみません、ぼくもです。
ほぼ日 えっ、江藤さんも?
江藤 ぼくの場合、「あったかどうか」どころか、
今までの人生の中で、買った記憶すらありません。
井伊 人選をまちがえましたね(笑)。
ほぼ日 うわー、そうですか、うっかりしてたなあ。
でも、まあ、あれですよね、着ない人のほうが、
ボーダーを客観的に語れるともいえますよね。
尾崎 ポジティブにいえば(笑)。
井伊 でも、着たいと思えるボーダーがあれば、
わたしは着ると思うんですよ。
ボーダーが嫌いっていうわけではないので。
江藤 ぼくもそうですね。
チェック柄が好きなので、チェックがあったら、
そっちを買っちゃうっていうだけで。
ほぼ日 なるほど、じゃあ、
「こういうボーダーなら着てみたい」
っていうのを、この場で考えてみればいいですね。
井伊 尾崎さんは今日ボーダーをお召しになってますが、
ふだんからよく着ていらっしゃるんですか?
尾崎 はい、わりとよく着ています。
このグレーとグリーンのボーダーシャツは
もう10年以上になるんじゃないかな。
井伊 わあ、年季が入ってますね。
どれくらいの頻度でボーダーを着てますか?
尾崎 毎日のように、というわけではないけど、
「何を着るか迷ったときはボーダー」
みたいなことろはありますね。
江藤 ああ、なるほど。
尾崎 学生のころから着てるから、
着慣れてるっていう安心感もあります。
あと、ぼくの友人で
いつもボーダーシャツを着てる女性がいるんですけど、
彼女に会った次の日は、
ぼくもボーダーを着ている率が高い(笑)。
井伊 そうなんですね(笑)。
尾崎 ボーダーをかっこよく着ている人を見ると、
自分も着たくなっちゃうんですよ。
その友人は身長が170cmくらいあって。
井伊 すらっとしたシャープな女性がボーダーを着ていると、
かっこいいですよね。
江藤 うんうん、
オードリー・ヘップバーンとかね。

photo: AFLO

尾崎 そうですよね。
最近、「ボーダーを着てるとモテない」とかいうけど、
ぼくはボーダー女子推進派なんで、
オードリーみたいにじゃなくても、
女性にはじゃんじゃん着ていただきたい。
井伊 ボーダー女子推進派ですか(笑)。
江藤 あの、ボーダー柄を着ると、
わりと「かわいい」感じになることが多いですよね。
尾崎 ああ、そうですね。
江藤 ぼくはその「かわいさ」に、ちょっと抵抗があるんです。
尾崎さんのようなわりと男っぽい人だったら、
「かわいい」成分がスパイスになって、
ちょうどいいバランスになると思うんですけど、
ぼくが着ると、文科系男子特有の
頼りなーい感じになっちゃう気がして‥‥。
井伊 たしかに(笑)。
尾崎 たしかに(笑)。
江藤 あ、ちょっとは否定してくれるかと思ったのに(笑)。
井伊 でも、その感じ、わかるかも。
わたしも、かわいすぎる感じがして
あまり着ないのかもしれない。
尾崎 へえ、女性でも?
井伊 うまく説明できないんですが、たとえば
ボーダー柄のチュニックにレギンスを合わせる、
そんなスタイルがありますよね。
江藤 あー、そのスタイル、ときどき街で見かけます。
井伊 そういう「わかりやすくかわいいボーダー」が、
今、世の中にあふれていると思うんです。
わたし、それが少し苦手になってきているのかもしれない。
尾崎 ああ、そうか、無難というか、
とりあえずそれを着ていればOKっていう感じが。
井伊 そうそう、そうなんです。
わたしが自分で着たいのは、
とりあえずボーダー、というのではなく、
きちんとおしゃれをするつもりで着る
ボーダーシャツなんだと思うんです。
ほぼ日 「無難でかわいいボーダーシャツ」ではなくて、
「かっこよく着る、攻めのボーダーシャツ」
っていうことでしょうか。
井伊 それに近いような気がします。
江藤 きっと井伊さんにとっては、
ボーダーそのものだけじゃなく、着方も大事なんですね。
井伊 着方はすごく大事です。
ほぼ日 さっきの「ボーダーを着るとモテない」っていう話、
あれって、ボーダーシャツがモテないんじゃなくて、
ボーダーの着方というか、
着る人の心がまえの問題なのかも知れないですね。
尾崎 ああ、心が攻めてないとモテないのかもね。
江藤 でも、「攻めのボーダーシャツ」って、
具体的にはどういうボーダーシャツなんだろう‥‥?
尾崎 お役に立つかどうかわからないんですんけど、
ぼくがふだん着ているボーダーシャツをもってきたので、
とりあえず、それを見てみますか?
井伊 それはすばらしいですね。
ぜひ、拝見させてください!

(つづきます)
E project archive list:
  • File 01 着たいのは「攻めのボーダーシャツ」。 2013-02-19-TUE
  • File 02 ボーダーマニア尾崎さんのボーダーコレクション。 2013-02-20-WED
  • File 03 めざすは、ボーダーシャツの原点。 2013-02-21-THU
  • File 04 袖をまくって、着てほしい。 2013-02-22-FRI

井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

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江藤 公昭(えとう・きみあき)

「PAPIER LABO.」ディレクター。
ランドスケーププロダクツにて
インハウスデザイナーとして在籍時に
紙にまつわるプロダクトを取り扱うショップ、
「PAPIER LABO.」を設立。
2010年1月に独立し、
店舗運営を中心にデザインや印刷の窓口的役割を担う。
もののよさを見抜くセンスは紙ものだけにとどまらず、
ジャンルを超えて活躍中。
井伊さんとはご近所さんで、ふだんから親交がある。

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尾崎 雄飛(おざき・ゆうひ)

1980年愛知県生まれ。
大手セレクトショップバイヤー、
ヴィンテージショップ店主を経て、
2007年に「フィルメランジェ(FilMelange)」を立ち上げ、
ディレクターとして活動。
2011年に独立し、
フリーランスのデザイナーとして
様々なブランドのデザイン、ディレクションを手がける。
2012年1月に自身のブランド
「SUN/kakke(サンカッケー)」をスタート。
洋服に対する愛情と深い造詣に定評がある。

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