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糸井 |
でもね、ぼく、山下さんにも驚いたんですよ。
音楽家だからなのか、段取りどおりにやるの、
ぜんぜん、平気なんですね。 |
タモリ |
プレイスタイルはフリージャズですが。
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糸井 |
うん、まるで譜面を読むように
「じゃ、ぼくはこの役だね」っていうのを
きちんと守ってくれたじゃないですか。 |
タモリ |
うん、フリーの人ではあるけれども。 |
糸井 |
助かりましたよ、ぼくも。 |
タモリ |
ジャズ以外は「フリー」じゃないんです。
じつにちゃんとしているんです、あの人は。 |
糸井 |
もし、時間の都合で「もっとまけ!」ってなったら
きっと、そうしてくれたでしょうし。 |
タモリ |
ええ、そうですね。 |
糸井 |
そのあたりのこともふくめて、
ぜんぶ、ちゃんとやってくださったんで。 |
タモリ |
でも実際、ところどころで
けっこうまいたんですよね。 |
糸井 |
そうなんです。
なにしろ、冒頭のタモリ教授が終わった時点で
いきなり15分押しでしたから(笑)。
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タモリ |
やりすぎましたか。 |
糸井 |
いやいや(笑)。 |
タモリ |
でも、山下さんがちゃんとしてた。 |
糸井 |
ちゃんとしてた(笑)。 |
タモリ |
プレイスタイル以外は、ちゃんとしてるから。 |
糸井 |
でもね、あの日、清水ミチコさんも
いらっしゃってたんですけど、
ぼくが平気で
素人っぽいことを聞くじゃないですか。 |
タモリ |
うん。 |
糸井 |
あれが、はじめての人には
すごくありがたいんじゃないかと。 |
タモリ |
そうかもね。 |
糸井 |
「負けん気が弱いっていうのは
なんとも助かる」と。
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タモリ |
はっはっは(笑)。 |
糸井 |
負けん気が弱いぶん、
「デタラメに弾いてるんじゃないんですか?」
なんていうことまで、聞いちゃうと。 |
タモリ |
フリーの人に対してねぇ(笑)。 |
糸井 |
すごくおもしろがってくれまして。 |
タモリ |
たしかに、ジャズ、はじめての人が
多かったでしょうしね。 |
糸井 |
ええ。でも、こういう
クラブ活動みたいなことをやる時期が
来てるんですかね、タモリさん。 |
タモリ |
うん、そうかもしれない。 |
糸井 |
大学の先生にぜひ、
なんて話とかもありそうですけど。 |
タモリ |
ないことはないです。 |
糸井 |
あるでしょう。 |
タモリ |
でも、オレがなにを教えるんだ、と。 |
糸井 |
‥‥表現の技術、とか? |
タモリ |
そういうのもありますねぇ。
でも、面倒くさいでしょ、それは。
いろいろと考えなきゃならないし。 |
糸井 |
中洲産業大学のスタイルで。 |
タモリ |
いやいや、あれを毎回はムリだから。
<つづきます> |