タモリ先生の午後 2008。 「スロー人」のすすめ。


第4回 友の裏切りにあいまして。
糸井 でも、大学の先生になる以外に
「場所」がなくなってきてるなぁって感じ、
いまの日本には、ありますよね。
タモリ うん、そうですね。
糸井 そういう意味でいうと、
今年の「カレー」にしても「ジャズ」にしても、
タモリさんがやってる
ジャズのレーベル「ONE」にしても、
それ以外の道として‥‥。
タモリ そうなんだよね。
糸井 なにかがありそうな。
タモリ まぁ、そもそも
大学とかには向かないですから、オレは。

伝えることのない男ですからね。
糸井 伝えることのない男(笑)。
タモリ よく、芸能人から言われるんですよ。
自分以外に興味ないでしょうと。

糸井 それは、でも、
はじめから「そういう子」だったわけですよね?
タモリ うん、はじめから、「そういう子」でね‥‥。
糸井 ですよね。
タモリ うん‥‥。いや、んなこたぁない。

はじめは、
いろいろと興味があったんですから。
糸井 あ、そうですか(笑)。
タモリ あったあった。
糸井 それ、白状してる感じがしますね。

それがいつ、どうしたちゃったんですか?
タモリ それはね、たぶん‥‥。

小学校3年生のときにね、
友の「裏切り」にあったんですよ‥‥。

糸井 それは、告白ですね!?(笑)
タモリ ええ、それ以来というもの、
あんまり人と遊ばなくなりまして。
糸井 それはまた、どんな裏切りで?
タモリ ボスみたいなやつがいるじゃないですか。
糸井 はい、はい。
タモリ でね、ともだちだと思ってたやつに
「あいつってどう思う?
 イヤなやつじゃないか?」って聞かれたから
ああ、そうだね、ヤだねっつったんです。

そしたら、まんまと告げ口されまして。
糸井 裏切り‥‥というか「寝返り」だ。
タモリ そのときに、
「あっ、これは、他人とは
 あんまり交わらないほうがいいな」と
本能的に思ったんですよ。
糸井 はぁ‥‥。

タモリ だから、小学校時代は
あんまり交わらなかったんです、人と。

でも、中学からは、もういいだろうと。
糸井 解禁ですか。
タモリ やたら人と遊ぶようになったんです。
糸井 他人解禁(笑)。
タモリ もういいだろう、と。
中学に入ったら大丈夫だろう、と。
糸井 理不尽な裏切りなんかないだろう、と。
タモリ うん。で、高校生になったら、
ますます「これはもう大丈夫だ」。
糸井 全面的に解禁ですね。
タモリ もう、やたらと遊ぶようになって。



<つづきます>


2007-12-31-MON