新春スペシャル大放談!  タモリ先生の午後 2009 「惜しい」の発見。



糸井 とつぜん、おせち人気に火が。
タモリ 対昨年度「同じ」で「増えてる」時代ですから、
9%増ってのは‥‥おそろしいことです。
糸井 おそろしい「おせち」の伸び(笑)。
タモリ デパートのインタビューで言ってました。
糸井 明るい話題、ありがとうございます。
タモリ ま、うちじゃあ、
ずいぶん前からやめてるんですけどね。
おせちは。
糸井 えっ、そうなんだ。
タモリ おせち料理だいきらい。
糸井 そんな(笑)。
タモリ 正月からあんな味の濃いーの‥‥
のど渇いてしょうがないんですよ!
糸井 まあまあ。
タモリ じゃあなんですか、
おせち料理のなかで食いたいもの、
言ってみてくださいよ!
糸井 そう言われると困りますが。
タモリ でしょ? Uの字になったエビとか、
べつに、みんな食いたかないんですよ!
糸井 ‥‥ぼくは、年の暮れに、
黒豆を煮ることにしてるんです。
タモリ ああー、黒豆はうまいですよね。
友だちがつくってくれるんだけど。
糸井 あれは、煮ているあいだに、
だんだんと、
年の瀬を感じたりしてきて、いいんです。
タモリ お雑煮とかも、だいすきだなぁ。
糸井 お雑煮は、いいですねぇ。
タモリ あれはね、年中食べたいくらいです。
糸井 タモリさんちって、
毎年、だれかしら居候が来ますよね。
お正月になると。
タモリ うん、今年も来ると思いますよ。
糸井 去年は草なぎ(剛)くんだったんでしょ?
タモリ 今年はもっと老年が来る予定。
糸井 タモリさんって、
ご自身も赤塚不二夫さん宅の居候から
はじまったわけですけど、
なにかこう、居候文化というか‥‥。
タモリ 守ってます。居候文化。
糸井 子どものころ、家に居候いました?
タモリ うーん、居候かどうか‥‥
わけのわからん人はいましたけどね。
糸井 いましたか!
タモリ でも、むかしって、どこの家にも
出入りしてたと思うんですよ。

そういう「わけのわからん人」って。
糸井 まぁ、落語とか聞いてても
関係ない人はいっぱい出てきますしね。
タモリ この世界に入ってずいぶん経ったころ、
そういう「わけのわからん人」から
連絡をもらったことがあったんですよ。
糸井 ほう。
タモリ 子どものころは、その人のこと、
オレんちにしょっちゅう出入りしてたから、
親戚だろうと思ってたんです。

でも親戚じゃなくて、そのうち来なくなった。

で、芸能界に入って20年くらい経ったころ
うちの事務所に、連絡をよこしたんです。
糸井 うん、うん。
タモリ で、連絡を受けたやつに
「何してる人だって言ってた?」っつって
聞いてみたんです。
糸井 そしたら?
タモリ 「わたしは刀の研ぎ師だ」って。

‥‥うちにどんな関係があったのか。
糸井 あはははは(笑)。
タモリ 何の関係もないんですよ!
糸井 刀は研いでたんですか?(笑)
タモリ まず刀がないでしょう、ふつうの家には。
糸井 うーん‥‥人と人との関係性を
厳密に考えすぎなんですかね、現代って。
タモリ お、問題を提起しますねぇ。
糸井 内と外とか、あの人は仲間だとか、
あの人は別に親しくないだとか、
そういうことを、
厳密に線引きするじゃないですか。
タモリ ええ。
糸井 むかしはあいまいでしたよね。
タモリ ゆるキャラがいたよね。家に。
糸井 うん(笑)、家のなかに
「仕事をしていない人」というのが
ふつうにいましたよね。
タモリ なんかむこうの倉庫に住んでる人とか。
糸井 お金持ちの友だちの家の庭に木戸があって、
そこを抜けると、さらに庭があったんです。
タモリ ええ。
糸井 で、その別の庭の隅にちいさな小屋があって、
どうも人が住んでるみたいなんですよ。

で、気になってしょうがなくて、
あるとき、なんとなく上手に聞いたら、
「よく知らない」って言ったの。

‥‥敷地のなかの小屋に
「よく知らない人」が住んでたんですよ。
タモリ ありましたね、そういうケース。
糸井 いまじゃ「ホームレス」とかって言葉で
ひとくくりにしちゃうけど、
あの人たちのなかにも、
きっと、いろんな種類があるんですよね。
タモリ 静岡の沼津あたりにね、
車のなかに住んでる人がいるんです。
糸井 はぁ。
タモリ その人に
「ホームレスなさってどれくらいですか?」
と聞いたら
「わたしは、ホームレスではないです」と。
糸井 ないです、と。
タモリ 「ロングキャンプです」と(笑)。
<つづきます>

2009-01-02-FRI



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