糸井 |
スポーツ新聞をですね。
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タモリ |
ええ。
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糸井 |
テレビ欄の側からめくっていって
2枚めの下のあたりに。
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タモリ |
はい。
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糸井 |
何というかこう‥‥エッチなんだけど
エッチでもないみたいな、
「安全なスケベ広告」があります。
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タモリ |
ありますね。
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糸井 |
ちょっとおしりの大きめな
「30歳〜40歳ぐらいの奥さん」が
下着姿で、
こっちを振り向いてる‥‥みたいな。
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タモリ |
よく知ってます。
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糸井 |
あれを「いい」と思うのは、
なかなか、むつかしいと思うんですが‥‥。
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タモリ |
いいですよオレは。
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糸井 |
どこかで「いい」と思ってる自分もいて。
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タモリ |
オレはいい。
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糸井 |
‥‥あれも「惜しい」じゃないですか。
で、その「惜しい」の美学というのは、
写真を撮ってる人、
広告記事を書いている人‥‥
そこに関わる
関係者全員に共有されているわけです。
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タモリ |
もちろんですよね。
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糸井 |
みんなが「このあたりだよね」って
わかってつくってるんですよ。
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タモリ |
そうです。
「惜しい」の中身については、
何も言わなくていいんです。わかってるから。
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糸井 |
このアングル「惜しい」すかね? ‥‥などとは。
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タモリ |
そんなこといちいち確認しません。
われわれのあいだでは。
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糸井 |
われわれ?
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タモリ |
いや‥‥つまりですよ、現場では、
「このポーズは惜しい」
「このブラは惜しくない」などと、
全員がすぐに判断できるわけです。
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糸井 |
現場では(笑)。 |
タモリ |
ま‥‥惜しいのなかでも、
「かなり惜しい部類」に入りますけどね。
あの手の広告は。
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糸井 |
その「品」を注文しようとまで思いますか。
タモリさんは。
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タモリ |
ええ、それがほんとに「惜しい」のなら。
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糸井 |
‥‥。
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タモリ |
注文するだけじゃ飽き足らずに、
そのうち、
自分でつくりはじめるかもしれませんね。
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糸井 |
タモリさんみずから。
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タモリ |
オレの追求する「惜しいエロ」を。
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糸井 |
その、いわば「数値化できない美学」を
わかち合えてるってことが、
ぼくは、すばらしいなと思うんですよね。
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タモリ |
そうですね。
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糸井 |
あの‥‥ゲイ雑誌の編集部につとめてる
ゲイじゃない編集者が
完全にわかってるんですよ、これがまた。
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タモリ |
いいとか、悪いとかについて?
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糸井 |
つまり「数値化できない美学」ついて。
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タモリ |
へぇー‥‥。
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糸井 |
あちら特有のポーズがあるんです。
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タモリ |
ああ‥‥そうですか(笑)。
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糸井 |
ちょっといま、やってみましょうか。
(乗組員に向かい)
‥‥写真、撮ってもいいからな。
(こちらを振り返りながら)
こういうポーズが、わりと多い。
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タモリ |
ああ‥‥そうですか(笑)。
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糸井 |
特別に実演させていただきました。
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タモリ |
貴重なものを、どうも(笑)。
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糸井 |
で、あちらの人どうしが会ったときの
あいさつのしかたが、また‥‥。
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タモリ |
ああ、特徴的ですよね。
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糸井 |
両腕を下のほうにぐーっと伸ばして、
てのひらを‥‥。
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タモリ |
振る。
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糸井 |
そう!
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タモリ |
(両腕を下のほうにぐーっと伸ばし、
てのひらを小刻みに振りながら)
ごーぶーさーたーあっ!
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糸井 |
そう!
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タモリ |
みんな、こうやってますよね。
KABA.ちゃんはじめ。
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糸井 |
あの‥‥それじゃあタモリ先生、
ちょっとまた別のことで。
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タモリ |
ええ、どうぞ。
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糸井 |
一般に「男好きのする」という言葉が
あると思うのですが。
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タモリ |
ありますね。
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糸井 |
その言葉にあらわされる女性が
まわりの女性から嫌われがちになるのは、
どうしてなんでしょう。
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タモリ |
女性というのは、
自分の彼氏が取られそうだと思うと、
本能的にキバをむくんです。
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糸井 |
なるほど‥‥。でも、その一方で
「男好きのする自分」というジャンルを
狙いにいってる女性って
明らかに、いっぱいいるじゃないですか。
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タモリ |
います、います。
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糸井 |
「わたしは、そこで生きるんだ」と
思ってる女性、いっぱいいますよね。
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タモリ |
彼女たちは、本能的に、
自分は「このジャンルでいけるだろう」と
思ってるんでしょうね。
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糸井 |
ここなら勝負できると。
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タモリ |
3歳ぐらいから狙ってますよね。
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糸井 |
え、幼稚園の年少ぐらいで?
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タモリ |
ええ、はやい人で。
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糸井 |
「はやい人で」(笑)。
<つづきます> |