黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第20回 弁論中学生。
南 剣道部に入ろうと思ってたら
弁論部に引っ張り込まれちゃったんだけどね。
まず、なにするんだか、わかんないんだよ。
弁論部っつーものが。
糸井 そりゃそうだよね。
え? ごめん、それって、
中学の話じゃなくて高校の話?
南 中学。
糸井 中学に弁論部なんてあったんだ?
南 うん。
糸井 へぇー。それは、
弁論好きの中学生が集まってるわけ?
南 そうだったんじゃないかな。
オレたちは引っ張り込まれた部員だったから
よくわかんないけど、部室には、こう、
先輩が取ったトロフィーが飾ってあったから、
本来は、弁の立つ人が
集まってたんだと思うよ。
糸井 弁の立つ中学生。
南 うん(笑)。
糸井 で、どんな弁論をしてたの?
南 だから、まぁ、要するに、
あるテーマが決められてたりしてさ。
だから‥‥「消防について」とか。
糸井 ははははは。
南 「え、マッチ1本
 火事の元と言いますが‥‥」。
一同 (爆笑)
南 そういうようなもんだよね。
糸井 それは、おっかしいなぁ!
え? ほんとの話?
南 ほんとの話だよ(笑)。
ちなみにそれは、
消防署が主催するやつでね。
糸井 消防に関するテーマで
弁論をお願いします、と。
南 そうそう。
そういう場がいくつかあるわけ。
糸井 「お母さんがくれたお守りを、
 ぼくはいまも大事にしてます」
みたいな話もあるわけ?
南 それは、「青年の主張」だろう。
糸井 そうか、そうか(笑)。
南 いや、お守りの話をしても、
べつにかまわないんだけどね。
糸井 え、じゃあ、中学生の伸坊も、
時代を憂えたりしてたわけ?
南 いや、まぁ、
なんか言わなきゃいけないからさ。
たまたま、そのころに読んだね、
中国の小咄というか、
笑い話みたいなものをしてみたりさ。
糸井 弁論じゃないじゃないか(笑)。
南 ははははは。
いや、オレは、
そういうもんだと思ってたんだよ。
要するに、ウケればいいと。
糸井 そもそも、正式には、
弁論ってどういうものをいうの?
南 いや、なんかしゃべってればいいわけよ。
糸井 (笑)
南 そのテーマに沿ったことを、
とにかく、その、
壇上でもってしゃべってさ。
で、そこには必ず
水差しとコップがあるから、ときどき、
こう‥‥(コップに水を注いで飲む)。
糸井 わははははは。
南 いきなり、最初から飲むっていう手もある
(コップに水を注いで飲む)。
糸井 中学生が、壇上で、水を(笑)。
南 うん。いきなり飲むことによって
「なかなか慣れてるな」と思わせる。
そういうテクニックがある。
糸井 (笑)
南 あえて、最初に飲むわけさ。
途中で、のどが渇いちゃって、
うまくしゃべれなくなったから
慌てて飲むとかいうんじゃなくて、
いきなり、こう(コップに水を注いで飲む)。
そして、聴衆を悠々と見渡す
(会場を埋めた聴衆を右から左へ見渡す)。
糸井 はははははは。
南 これからオレがしゃべるぞ、と。
糸井 中学生でありながら。
すごいね。ヒゲモジャの人とかいた?
南 それはいなかった。
糸井 いなかったか。
大学の、角帽とかかぶってさ。
南 かぶってなかったね。中学生だから。
糸井 中学生だからね(笑)。
(弁論部の話、つづきます)

2009-10-22-THU

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