黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第21回 弁論部にも大会がある。
糸井 弁論って、練習はどうするの。
みんなで集まって弁論すんの?
南 最初はね、あのー、
「アエイウエオアオ」
とかなんとか言ってさ。
糸井 あー、発声練習か。
南 「アメンボアカイナアイウエオ」
みたいなことをね、
最初に1回やったんだけれども、
そんなん馬鹿馬鹿しいからさ。
すぐやめちゃってね。
糸井 (笑)
南 で、大会があるわけ。
糸井 弁論部にも大会が。
南 うん。
糸井 っていうか、伸坊、
やめもせずに、続けたわけだな、弁論部。
南 うん、けっきょく、
もうそこでいいやっていうことになって。
糸井 ははははは。で、弁論大会があったと。
南 うん。なんだか知らないけど、
うちの学校は
ディフェンディングチャンピオン
だったりするわけ。
糸井 「ディフェンディングチャンピオン」
なんていうことばは
当時知らなかっただろうね。
南 中学生だからね。
ただ、どういうものかは理解したと思うよ。
つまり、先輩たちが勝ち取った
優勝カップを持って行ってね、
それを、どこかに取られてくる。
糸井 ははははは。
優勝カップを持って行って、取られてくる。
南 うん。おつかいみたいなもんだね。
糸井 (笑)
南 「ダメだなぁ」なんて
先生に言われちゃってね。
糸井 それは、やっぱり、
「アエイウエオアオ」を
ちゃんとやらなかったからかな。
南 そういうのもあるだろうね。
糸井 「アエイウエオアオ」もやらずに、
中国の笑い話をやってるやつが、
優勝カップを持ち帰れるはずない
ってことかな。
南 でもね、たまには、優勝カップを
持って帰ることもあったんだよ。
糸井 へぇ。誰が。伸坊が?
南 うん。
糸井 中国の笑い話で?
南 うん。その、中国の笑い話も、
いちおう、ためになる話なんだよ。
糸井 いちおう、聞こうか。それ。簡単に。
南 あの、中国のおじいちゃんたちがね、
みんなで、寄り集まって、
お酒でも飲もうっていう話になるんだよ。
で、それぞれ自分のお酒を
持ち寄ろうということなんだけど、
まぁ、酒じゃなくてもわかんないだろ、
と思ってあるおじいちゃんが
こっそりと水を持っていくことにしたわけ。
ところが、みんなが同じことを考えちゃって。
糸井 ああ、みんなが水を持ち寄って、
お酒を飲んでるふりを。
南 そうそう。それで最後に
「みんな、お酒を飲まないのに、
 真っ赤な顔をしておりました」
かなんか言って、終わるんだけど。
糸井 そんな話を中学生が(笑)。
南 ははははは。そうだね。
糸井 それは、少なくとも、
お酒の味とかおもしろさを知ってから
語るべき話じゃないか?
南 はははは。
まぁ、中学生だからね、
まだそういうことが
わかってなかったんだよ。
糸井 そういう話が、
たとえば「消防の話」と
どうつながったんだろう。
南 ねぇ。そのへんは覚えてないなぁ。
糸井 覚えてないわりに、中国の話自体は、
けっこう、くっきり覚えてるね。
南 うん。そういう話をした。
忘れないもんだねぇ、そういうことは。
糸井 細部のほうが、むしろ、残るよね。
(まだまだ終わりません。つづきます)

2009-10-23-FRI

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