「atelier shimura(アトリエシムラ)」の
染師、志村宏さんが、
季節ごとにTOBICHI②で
染めのワークショップをひらきます。

約2年間、四季に合わせて開催してきた
宏さんの染めワークショップ。

毎回好評いただいているのですが、
東京・成城にアトリエシムラのお店ができたこともあり、
TOBICHIでのワークショップは
今回でいったん終了させていただくことになりました。

最終回は、どどんと
5色、計7つの植物染料を染めます!

事前お申込み制、有料のワークショップです。

ぜひ、植物の色を感じにいらしてください。

最終回:5色、染めます。

これまで志村宏さんの染めワークショップでは、
旬の植物をひとつピックアップし、
そこから生まれる色を体験していただいてきました。

締めくくりとなる今回は、
旬にかかわらず、
青、紫、黃、赤、グレーの計5色を1日ずつ、
日替わりで染めていきます。

使う染料は、
臭木(くさぎ)、紫根(しこん)、
梔子(くちなし)、刈安(かりやす)、
茜、蘇芳(すおう)、桜の7つです。

桜をのぞき、いずれも旬ではありませんが、
保存してある選りすぐりの染料を、
宏さんが持ってきてくださいます。

それぞれどんな染料なのか、
志村宏さんにひとつずつコメントをいただきました。

どうぞゆっくり、お読みください。


臭木(くさぎ)

※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

夏の終わり、山に入ると臭う時があります。

ん?と辺りを見渡すとその植物がいるはずです。

泡のように白い花を咲かせています。

そして、花が終わり実をつけます。

その実の色はおよそ白、いつも空を見上げてるんです。

臭木は空に憧れているんですよ。

だから、だんだんと空色になってきます。

秋も深まるころ、
空色だった実が濃紺の宝石になります。

ツヤっとした実をひとつひとつ摘み取って
じっくり炊き出すと、水が空色になるんです。

臭木の青は空の青。

ぜひ、ご自身の目で空色を堪能してください。

▲熟した臭木の実。


紫根(しこん)

※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

紫色を唯一染められる植物、
それはムラサキ草(ムラサキ)といいます。

根を使って染めることから、紫根と名付けられました。

染色のほうから草の名前が決まったと聞いたことがあります。

色から名前になった植物、それがムラサキ。

日本の紫色にはたくさん名前があります。

そのほとんどの紫色は紫根を用います。

日本の歴史では、紫を用いた衣服を権力の象徴として
使用されていたことがあるのは、みなさんもご存知でしょう。

その高貴さから、濃い紫は禁色とされ、
庶民は使用することが禁止された時代があるんですよ。

かつては日本の至る所に生えていたムラサキ草。

今はまったく見る機会がありません。

それほど数を減らしてしまいました。

だからこそ、この色を見てもらいたい。
そんな思いです。


梔子(くちなし)

※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

梔子の色にぴったりな言葉は「応援」です。

夏には、甘い香りを漂わせる梔子ですが、
注目するのは、その分厚く深い緑の葉です。

その葉は、太陽の光を食べるように吸収します。

夏の光をたくさん食べた梔子は、
晩秋に橙色の実をつけます。

辺りの花々が枯れても、その実は目を惹く。

まるで熱を持っているようです。

秋の紅葉が終わると、一変に冬が来ます。

冬は色がなくなる季節、少し寂しさを感じます。

そんな時にこそ、梔子です。

炊き出した染液、そして染めた色は太陽の輝きに満ちています。

▲太陽の光を浴びて、すこしずつ色づく梔子の実。


刈安(かりやす)

※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

みなさんに馴染みない植物だと思いますが、
その姿を見ればピンと来る方も多いでしょう。

時期は秋、田んぼの稲が黄金色になりますね。

畦道にはススキがゆらゆらと風になびく風景は、
日本人には馴染みがあるはずです。

刈安という植物は、ススキの仲間なんですよ。

クチナシは太陽、刈安は月。

志村の工房では黄色を染める両者をこのように区別します。

月の黄色は、寄り添う黄色。
影があると言うべきか。

孤独でいる時に無言でそばにいる感じです。

まさに、夜にひっそりと照らしてくれる月のように。


※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

西洋茜、インド茜、ブータン茜、、、
茜って世界的にある植物なんでしょうね。

でも、アメリカ茜なんてのは聞いたことがない。

アジアを中心に生えているんでしょうか?

日本にももちろん、日本茜があります。

ハートの形をした葉をもつ草に、
触り心地が猫の舌のようなザラザラとした茎。

おや?と思ったら触ってみましょう。

少しジメジメした神社などに生えているかもしれません。

染めるには根を使います。

臭木同様、茜も空に憧れている植物です。

夏の燃えるような夕日、そして冷んやりとした朝日。

さまざまな赤空を茜は表現してくれます。

その表現は、種類毎に違い、また形状によって変わります。


蘇芳(すおう)

※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

蘇芳は、赤の染料で外せない植物。

蘇芳ほど重い赤を出す植物はありません。

染め手は、その重さに魅力され、色に感情が入ります。

なかには、見た瞬間にドキッとされる方もいるはずです。

その鮮やかさは古より染められ、重宝されてきました。

情の深さを感じる蘇芳、
視点が吸い込まれるような赤をぜひ体感してください。


桜(灰桜、桜鼠)

※植物染料は、状況によって染まる色が変わります。写真と同様の色になるとは限りません。

桜色といえば、桜の花弁のように
可愛らしいピンクを想像されるでしょう。

春の色というのがピッタリかもしれません。

そんな色を、あえて灰桜や桜鼠といったグレーにします。

それは冬の桜というべきでしょう。

今、桜は春に向けて花の準備をし始めています。

傍目にはまだ分からないですが、
桜の木の中では花の命が生まれ始めているんですよ。

その木を使って染めたグレーの中に、
ひっそりと潜む桜の花を感じるはずです。

鮮やかに咲き、そしてパッと散る。

そして、来年の再会を約束してくれる。

そんな桜の冬色をみなさんにお見せしたいです。


気になる色はありましたか?
これらの色を染めるものも、最終回はすこし豪華に。

シルク100%の大判ストールを染めます。


47cm×180cmという大きなサイズなので、
首に巻くだけでなく、肩や膝に掛けたりと

いろんな場面で活躍してくれそうです。
こちらは、その場でお持ち帰りいただけます。

ストールのあとは、絹糸を染めます。

素材は同じ「シルク」なのですが、
その触り心地や、染まる色のちがいを
体感していただけます。

染めた絹糸は、
アトリエシムラの工房でお着物になったり、
織りのワークショップに活用される予定です。

染めが終わったあとは、
宏さんから色のお話を聞きつつ、
お茶とお菓子で休憩しましょう。

参加ご希望の方は、
下の応募要項をよく読んでから、
専用のフォームよりお申込みください。

5日間通しのワークショップではなく、
体験いただけるのはおひとりさま1日のみですので、
5色のうち、染めてみたい色の日程を選んでご応募くださいね。

『志村宏さんの染めワークショップ2019・冬』

〈開催日時〉
青の日(臭木)
2019年1月30日(水) 11:00~13:00

紫の日(紫根)
2019年1月31日(木) 11:00~14:00
※染色方法が特殊ですので、
 ほかの回より1時間長くなっています。

黃の日(梔子、刈安)
2019年2月1日(金) 11:00~13:00
2019年2月1日(金) 15:00~17:00
※梔子か刈安、どちらかの色を染めていただきます。

赤の日(茜、蘇芳)
2019年2月2日(土) 11:00~13:00
2019年2月2日(土) 15:00~17:00
※茜か蘇芳、どちらかの色を染めていただきます。

グレーの日(桜)
2019年2月3日(日) 11:00~13:00
2019年2月3日(日) 15:00~17:00

※終了時間は目安です。

 伸びる可能性がありますので
 できれば、直後に他のご予定を入れないことを
 おすすめいたします。

〈定員〉各回8名
※見学は自由です。

〈参加費〉13,000円(税込)
※当日受付でお支払いただきます。

〈染めるもの〉
・絹糸
・大判ストール
※大判ストールのみ、お持ち帰りいただけます。

 絹糸はアトリエシムラのお着物になる予定です。

〈場所〉
TOBICHI②・2階
東京都港区南青山4-28-26
→地図を見る

お申し込み方法

・参加希望の方は、下にある
 「染めワークショップに申し込む」ボタンから
 お申し込みフォームに進み、
 必要事項に記入の上、お申し込みください。

・お申し込みできるのは1名様のみです。

・申し込み〆切は1月25日(金)午前11時。

・お申込み多数の場合は、
 厳正に抽選を行い、当選の方には、
 1月25日(金)中にご案内のメールをいたします。

【ご注意】
各回8名様のために、たくさんの準備をしてお待ちします。

「やっぱり行けなくなった」というキャンセルがないよう、
ご予定をよく確認の上、ご応募ください。

※募集は終了しました。
たくさんのご応募、ありがとうございました。

ワークショップの見学は自由です。

ご興味がある方や、
残念ながら抽選にはずれてしまった方は
ぜひ見学にお越しください。

染めはだいたい1時間ほどで終わりますので、
ワークショップのスタート時間くらいに
ご来場いただくことをおすすめいたします。

宏さんとともに、お待ちしています!

写真 刑部信人

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