その6 nooy
      つくるひと・平山良佳さん・若山夏子さんのはなし。
      衿がふしぎ! あそびのあるシャツをつくりました。

若山夏子さんと平山良佳さん、ふたりの日本人女性が、
2001年にニューヨークで立ち上げたブランド
nooy(ヌーイ)。
2003年に拠点を東京に移したあとも、
「じぶんたちが、つくりたいものをつくる」
という姿勢で、ずっとふたりだけの
服づくりを続けてきました。

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nooyのシャツは一見ちいさく思えるデザインです。
でもじつは、胸回りは102センチ、たっぷりしています。
そして着てみると体型がきれいに見え、
1枚でもちゃんとサマになり、
インナーとして着たときにも、個性的でかわいい。
だから広い年齢層の女性に、とても人気があるのですね。

いったい、どうやってつくっているんだろう?
平山さんと若山さんに、お話をうかがいました。

▲今回「白いシャツをめぐる旅。」で販売するnooyのシャツ。ワンサイズです。

てみると、「あれ? 合う!」とか、
「私でも、サイズが大丈夫なんですね」と
おっしゃってくださる方が多いんです。
たしかに前から見ると、
ちょっと小さく見えますよね。
これ、袖やアームホール、衿などのパターンと
全体のバランスを工夫することで、
ちゃんとサイズ感があって細いわけではないのに、
「ちょっと細く見える」ようにしているんです。

▲ここの長さも、バランスをとるのにとても大事な部分。

何度もパターンを引き直します。
つくって着て、つくって着て、直して‥‥、
身頃は1、2度修正すれば大丈夫なんですが、
衿はけっこう何度もやり直しています。
衿って、小さいほうがかわいいからと
小さくしすぎてしまうと、
胸回りに張りがあるように見えるんですね。
つまり、胸が大きく見えてしまう。
では大きめにすればいいかというと、
こんどは衿ばかりが目立つといいますか、
「ちゃんとした」感じが強くなるんです。
それはそれで、きちんとしたシャツの印象が出ますが、
「これ‥‥お洗濯、たいへんかも?」
というふうにも見えるので、
nooyとしては、もっと気軽に着ていただきたいと考え、
そのギリギリのバランスをさぐっています。

かじったあと」みたいでしょう?
今回は、衿のかたちに、ちょっと遊びを入れました。
ほんとうにプレーンな形のなかに、
ひとつだけ変わったところを加えたいと思ったんです。
私たちの服は、たとえば前はプレーンだけれど
後ろが燕尾になっているとか、
すこしだけトリッキーな部分を取り入れることがあって、
このシャツも、そのひとつです。

▲右衿がこんなかたちになっています。

▲こちらはnooyさんの新作です。こんな「あそび」が得意なのです。

1枚でもサマになるようにとつくっていますが、
上から被りの色の濃い丸首ニットや
Vネックのカーディガンを着たときなどに、
この衿がとても目立ちます。
ワンピースを重ねてもいいですよね。
この衿があることで、
インナーとしても使いやすいですし、
ボトムも選ばないシャツになりました。

▲きれいな色のカーディガンと合わせました。

生地は綿のブロードです。
とても細いエジプト綿(超長綿)を使い、
打ち込みを密にしてあるので、
なめらかさとともにしっかりとした印象があり、
光沢もすこしある素材です。

背中にはタックを入れて動きやすく、
今回のシャツは、ネットでの販売ということもありますし、
いろいろな年齢や体型のかたに着ていただきたくて、
「ほぼ日」さん用に、微調整をしています。
いつも、私たちがつくっているシャツと比べ、
前も後ろも、丈を3センチほど長くしています。
丈は長くもなく短くもないので、
パンツやスカートにインしても、
ふわりと出して着てもいいですよ。
着ていただくと、べんりな丈だと
わかっていただけると思います。

こんな衿のついたシャツを見たことがなかったので、
最初はけっこう驚きましたが、
だんだん「すごく、いい!」と、
「ほぼ日」メンバーの意見が一致。
ちょっとだけ裾を長くした
このプロジェクト用のスペシャルバージョンです。
今回のラインナップでは、
いちばんモード寄りのシャツかもしれませんが、
けっして難しいシャツではありません。
さらりと1枚で着るとかっこよく、
重ね着をすることで、うんとおしゃれになりますよー。

(つづきます)

2016-09-07-WED