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わたしの歌のなかで
カエルが主人公になっているもの、
それは「ふりむけばカエル」です。
「この歌が好き」というファンの方、
根強くいらっしゃいます。
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あの歌には「どうしようもない」という、
名フレーズが出てきます。
それがすべてのような歌ですね。
「カエルに言われちゃどうしようもない」
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「どうしようもない」で
全部が終わるという感じがいいですよね。
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ぼくは特にカエルを
好きなわけじゃないと思うんだけど、
飼っていたことはあります。
だけど、2日ほど留守したときに
考えられない高さを飛び越えて、
水槽からいなくなっちゃった。
もしかしたら地震があったのかもしれないけど‥‥。
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いなくなっちゃったの?
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姿を消しました。
そして、何年か後に
タンスの陰から
ミイラになって発見されました。
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かわいそう。
へぇ、そうだったんだ。
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『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』という映画で、
悲しいときには人工衛星に乗せられた
ライカ犬のことを考える、
と少年が言いますが、
ぼくは、タンスの裏でひからびていた
カエルのことを思うことにしています。
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そんな経験があったんですね。
そこから「ふりむけばカエル」の歌詞を‥‥。
カエルって、身近にいるわりには
歌にしてもらう機会は少なくありませんか?
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でも、輪唱するときはたいていカエルだね。
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そうね(笑)。
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カエルはあんなに目玉が大きいのに
視力がよくないんだよ。
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「どのくらい見えてんだろうな」と
思うことがあります。
アリにしても、あんなにちいさいのに、
どこまで見えてるのかなぁ。
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必要な部分だけが見えてるんだろうね。
アリに必要な距離って
そんなにはないだろうと思う。
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アリは複眼じゃないの?
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複眼だと思うけど、
「見えてる」ということに
そんなに大きな役割は
ないのかもしれないね。
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わたしの歌には
たべものとどうぶつの登場が多い、
ということを
人に言われるんだけど。
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まぁ、気づくでしょうね。
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「では、恋愛に興味がないんですか?」
といわれると
そんなことはありません。
しかし、より重要なことを見きわめる、
ということからすると‥‥。
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わははははは。
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どっちが大事だろうか、という話です。
恋人と別れて死にそうだ、死にたい、
そう思う夜もあるかもしれません。
しかし、次の瞬間には冷蔵庫を開けて
あなたは食いものをさがします。
人間関係もいいけど、
食わなったら、死ぬでしょう?
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そのとおりですね。
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どうぶつたちは、ものすごく大きな力をもち、
大切なことをたくさん教えてくれます。
学ぶことが多いし、
学ぶほどに、学習能力が高められます。
たとえば、野球選手がまぶしさを緩和するために
顔に「アイブラック」を塗るけど、
あれ、チーターの顔の柄も
同じような役目をしてるらしいよ。
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そうなんだ。へぇえ!
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例えばその話を聞いたときに
「はい、そうですか」という人もいれば
「ええ、ほんと?!」と驚く人もいます。
わたしとしては、驚く人と話したほうが、
気持ちがいいわけですよ。
その‥‥多少、その人に
社会的な問題があったとしても。
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なるほど、なるほど(笑)。
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どうぶつとの距離の取り方は、
人それぞれだけど、
そこは根本的な何かを示す部分でもあると思う。
どうぶつは、純粋に、知りたいという意欲を
ものすごく純粋なかたちで刺激してくれるし、
満足させてくれます。 |
(明日につづきます) |
イラストレーション:東久世
写真:松本昇大 |
2013-12-03-TUE |