さあ、「やさしくないタオル」最終章に入りました。
最後のテーマは「ゴワゴワ」です。
「やさしくないタオル」という言葉を聞いたときに、
きっと、多くの人が思い浮かべるのは、
「ゴワゴワしている」タオルなのではないでしょうか。
しっとり湯あがりに、体を拭くと、
痛いくらいにゴワゴワ、バリバリしているタオル。
もちろんこれには「好み」がありまして、
乗組員のは、フィンランド取材のおみやげに、
「やさしいタオル」を持っていったところ、
フィンランドの人は「ベビー専用?」と聞いたそうです。
いえ、ぼくらも使ってますよ、みなさんもどうぞ!
と言ったら、
「‥‥ちょっとやわらかすぎるよね」
と言った人がいるとか。
じゃあフィンランドの一般的なタオルは
どういうものかというと、
の経験上の話なので、
全フィンランドがそうなのかはわかりませんが、
「ステイしたお宅で借りたのは、
けっこう、ゴワゴワして、バリバリしてて、
日本だったらマットに使いたいくらいのものだった」
そうです。
でも、「やさしいタオル」は、
赤ちゃんからおとしよりまでみんなが使える
やさしさをめざしていますから、
やわらかいほうがいいんです。
その「やさしいタオル」が、
「ゴワゴワ、バリバリのやさしくないタオル」に
なる可能性は、あるんでしょうか?
綿のスペシャリスト、大窪裕美さんは言います。
「タオルの“ゴワゴワ”という言葉を
繊維業界的な言葉で言うと、
“肌触りが悪い”とか“やせてしまっている”
“繊維がへたってしまっている”
ということになると思います。
その意味からは、程度の差こそあれ、
やさしいタオルも、経年変化によって、
『やさしくないタオル』の方向へと
変化をしていきますよ。
肌触りも変わるし、
糸が抜ければやせもするし、
繊維も多少はへたります」
ううむ。それって、ほら、
温泉で100円で売っているような
薄くて、使ったあと乾かすとバリバリになっちゃう、
あのタオルみたいになるってことでしょうか。
乾かしたままの形で、立っちゃいそうなタオルに?!
「なるほど、あのタオル。
やさしいタオルは、あそこまでにはなりませんよ。
綿蝋をほどよく含んで、元々、なめらかな
毛羽立ちのすくない超長繊維綿(スーピマコットン)を
LA加工をほどこして、糸をふっくらとさせています。
もちろん糸の撚りやループのよじれなども
ふっくらするように、考えています。
でも、実際には、洗濯方法や、
干す方法によっても、
だいぶ変わってくるのも事実です。
毎日直射日光に当てていれば
けっこう、硬めには、なっていくでしょうね」
思えば、2003年の発売から、
長年にわたってやさしいタオルを使ってきた
乗組員は、何人もいます。
なかでも、古くから
「やさしいタオル」の制作に関わっていた
と、前回も登場したに
古くから使っているタオルをもってきてもらいました。
まずは、のタオル。
ひと目見た感じでは、
かなりへたっていて、しわくちゃです。
「うーん、これはたしかに、使いこんでるね‥‥」
と、のタオルを目にした
タオルチームのめんめんは言いました。
洗濯じわがついて、パイルがぺちゃんこになっています。
パイルは硬いですが、ミミもきれいだし、
ガーゼも型くずれしていません。
しかし、は、
次のように反論します。
「このタオルは、
使って2年半くらいになりますけど、
ふつうの洗い方、乾かし方をしたら、
こんな感じになると思いますよ〜!
みんなのところもそうじゃないですかー。
でも、繊維自体は、まったくへたっていないし、
型くずれもしていないでしょ?
見た目はこんなですけど、
吸水性はばっちりですよ!」
なるほど、たしかに、ガーゼ面の方は、
キレイだし、型くずれもしていません。
しかし、そんなのタオルの隣りには、
6年間使い続けていて、なお美しさを保っている
のタオルが凛としたたたずまいで置かれています。
ふっくらとしたボリュームがあり、柔らかいです。
経年変化で色はおちていますが、それもいい味わいです。
2005年に販売された「ひょうたん唐草」のパイル。
キレイに整って、糸ヌケもほとんどありません。
は言います。
「わたし、とくに変わった使い方もしていないし、
変わった洗い方もしてこなかったと思いますよ」
うーん、でも、
実際、ふたつのタオルには、
中身はどうあれ、
見た目には差があるように思えます。
ふたりの言う「ふつうの洗い方」って
どんな洗い方のこと? |