糸井 |
もともと、この集まりは、
「タモリさんは、
横尾さんが最近描き続けている
『Y字路』の絵シリーズに
興味があるみたいなので、
それなら、会ったほうがいいじゃない?」
ということで
はじまっているものでして……。 |
タモリ |
小っちゃいころ、
近所に、Y字路があったんですよ。
それが、すごくひっかかっていたんです。
「Y」の字の上にあたる部分が
民家になっていて、
Y字路の片方は
車が通れるようになっているけど、
もう片方の道は、蛇行していて、
その民家の裏側の塀に
つながっているという……
別にそっちから出る必要はない。 |
糸井 |
(笑) |
タモリ |
そういうところが、
前から、なんか引っかかってたんです。
ま、引っかかってはいるんだけど、
わざわざ見にいったり、
というほどではなかった。
それで、
雑誌で横尾さんのY字を見たら……
「あぁ、やっぱりオレは
Y字路が好きなんだなぁ」と感じまして。
あれは、どういうことなんですか? |
横尾 |
ぼくは、絵を描くまで、
Y字路に興味を持ったなんてことは
なかったんですよ。
ぼくの郷里は
兵庫県の西脇ってとこなんですけど、
子どもの頃によく行っていた
模型屋さんがあったんです。
それを見にいこうっていうんで、
夜に同級生と一緒に見にいったんです。
模型屋さんは、それこそ、ちょうど
Y字路の尖ったところにあったんだけど、
もう取り壊されていて、もうなかった。
だから
「まぁ、記念撮影でもしようか」
というので
その場所で写真を撮ったんです。
翌日に現像したら、なんか、
1枚、奇妙な写真が
あるわけですよね……見慣れない写真が。
他は、知ってる場所ばかり撮ってたのに、
そのY字路だけはわからない。
模型屋さんがあったら、
見慣れた場所なんだけど、
模型屋さんの
裏側の壁だけの場所だったんです。 |
タモリ |
へぇー。 |
横尾 |
それがおもしろかったというか、
不思議な写真だったから、
絵に描いてみようというんで、
そこからはじまったの。 |
糸井 |
Y字路を集めようと思ったというよりは、
ひとつ見つけちゃったところから、
はじまったんですか。 |
横尾 |
そうそう。
模型屋を見た次の日に
帰る予定だったんだけれども、
もう1泊して、
キャンバスに絵を描いてみた。
そしたら、
けっこうおもしろいのが描けたので、
もう一泊して、
他のY字路を探してみようって
町に出てみたら、
ずいぶんたくさんあったんですよ。
「ここはY字路の宝庫じゃない」
というぐらいあった。
結局、3日ぐらい泊まったのかな。
そこで2、3点のY字路を描いたんです。 |
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(つづきます) |