糸井 |
そう言えば、
こないだ横尾さんに聞いたのは、
「京都に住もうと思ったんだけど、
美輪さんに、あそこは怨霊が
いっぱいいるからって止められた」
って話ですよね。
美輪さんのおかげで、
横尾さんの人生はずいぶん変わってる……。 |
タモリ |
あそこは
やっぱり、怨霊がすごいんですか? |
横尾 |
いや、ぼくは怨霊とかは、
ぜんぜんどっちでもいいんだけど、
美輪さんが「やめなさい!」と
ほとんど命令するから。
怨霊よりも
美輪さんの生霊のほうがもっとすごい。
もう住むって決めて、手付金も払っているのに
「そのお金も返してもらってらっしゃい!」
と……。 |
糸井 |
横尾さん、けっこう
美輪さんに人生左右されているのかも。 |
タモリ |
俺も京都に住もうかと思ったけど、
やめようかなぁ。
ただ、どこだって、人は死んでるでしょう。 |
糸井 |
もっと言えば、
東京だって大空襲があったんですから、
死んでますよね。 |
横尾 |
死んでる死んでる。 |
糸井 |
そう美輪さんに言われたっていうのは、
単に「離れないでください」っていう
メッセージかもしれない。 |
横尾 |
いや、ぼくはもう、
美輪さんに言われた内容に
影響を受けたっていうよりは、
単に素直だったのか、それとも内心、
誰かが行くのを止めてくれ、
と思っていたのかも。
京都に行くのをやめないと
怒りだしたり、
ちょっとした失敗なところがあると
後々がうるさいだろうな、
という気もあったかな。 |
タモリ |
美輪さんに言われて
京都移住をやめるって、
すごいことになってますね。
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糸井 |
でも、
そういう人って、けっこういますよね。 |
横尾 |
うん。
だからまあ、もうしょうがないか、
っていうことで。
すごく大事なぼくの人生なんだけどさ。
ぼくもこう見えても
けっこう優柔不断ですからね。 |
糸井 |
もう買ってあって、
手付金を打ってあるのを、
こわい思いまでして、
返してもらいに行ったって……。 |
横尾 |
手付金を返してもらいに行くの、
怨霊よりそっちのほうがこわかったですよ。 |
タモリ |
ふつう、それ、手付金、流れますけどね。 |
横尾 |
だって、
「返してもらいなさい」って言われたから。 |
タモリ |
返してくれたんですか? |
横尾 |
いやー、
もう、よく取り返せたと思ったね。 |
タモリ |
それ、美輪さんの力なんですかね? |
横尾 |
いや、それはぼくの力。
ぼくがなんか一言、
いいこと言ったんじゃない?
もうなに言ったか忘れたけど、
そしたら向こうが
「あ、わかりました」って、返してくれた。 |
糸井 |
こわかったらしいですよ(笑)。 |
横尾 |
こわかったですよ。
こわそうな人が2人もいるんだもん。 |
糸井 |
ふつう、ないですよね。
手付金って、そういうときに
流すためのものですもん。 |
タモリ |
手付金は返さないもんですよね。
それを取り戻すっていうの、すごいなぁ。 |
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(おわります)
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