糸井 |
このテーマを選んだときに、
「エロチック」ということは、
そうとう考えていたんですか? |
横尾 |
いやいや、考えていません。
やってるうちに、そうなってくるわけ。 |
糸井 |
ただ、さっきタモリさんの
写真の取り方について、
非常に批判的でしたよね。 |
タモリ |
ええ、批判的でした(笑)。 |
糸井 |
「ここまで来て撮れ!」と。 |
横尾 |
あれは、写真としてはいいですよね。
ただ、ぼくなら、まずは、
あの写真では見えていない側面も
見えるように撮るんです。
それから、
また違う側に移動して写真を撮る。
何枚も撮って、合成するんです。 |
タモリ |
へぇ〜! |
横尾 |
キュービズムっていうのは、
立体を分解して、
平面化していくでしょう?
ぼくは逆に、立体を平面化して、
それでもう1回
絵の上で立体に組み立てるんです。 |
糸井 |
そういう手法は、
最初に描きはじめた頃から、
さんざん使ってるんですか? |
横尾 |
そうです。
もう、3枚目か4枚目ぐらいから
気がついて。 |
タモリ |
さすがですね。 |
糸井 |
「Y字路は好きじゃないんだよ」
って言いながら、これだけ追っかけて、
これだけ描いてるっていうのも、ヘンでいいなぁ。 |
横尾 |
意味だけの追求だったら1枚で充分。
「かたち」の追求だから何枚でも描ける。 |
タモリ |
確かに、写真を撮っていて
気がつくんですけども、
やっぱり、あとで消したい光が
いっぱいあるんですよ。 |
横尾 |
自分の好みにしたいですよね。 |
タモリ |
残したい光と、消したい光があって、
だから写真には限界があるなと思うんです。 |
糸井 |
絵描きになんないといけない。 |
横尾 |
ぼくも、
Y字路のシリーズをやるために、
ぜんぶ描くために写真を撮っているんです。
だけど、写真ではね、
あんまり魅力的じゃないんですよ。
おもしろくない。
あれを消してこれを持ってこよう、
という風に単純化しないと
おもしろくないですね。 |
タモリ |
ええ、
そうしたくなる気持ちはわかります。
ほんとにそうです。 |
横尾 |
木や電柱は、
わずらわしいものはだいぶ抜いていますよ。 |
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(つづきます) |