横尾 |
ただ、
どうしてY字路って
電柱が立っているのかなぁ? |
森ビル
の人 |
不動産業なので、
それはおこたえできます。
電柱は、
基本的には民地に作るんですけど、
いちおうお金を払って立てるもんだから、
電力会社のほうでも、
用途のない土地に置きたがるわけです。 |
糸井 |
じゃあ、自分の家の中に
電柱があったら、
不動産的にヤバイってことですね。 |
横尾 |
ぼくの絵の中には、
L字を無理矢理Y字にしたものもあるし。 |
タモリ |
Y字路の中洲が住宅になっている、
不思議なところも、ありますよね。
間口に人が数人通れるかどうか、
みたいなところに建ってる家があるんです。
玄関のドアのちょっと先に道路がふたつ。
いろいろ、工夫してんだよね。 |
横尾 |
うん。
中には、鉛筆の先が
尖ってるみたいな建物もあるの。
尖らしてあるわけ。
あんなのは、絵にならないね。
あれ、家の中、どうしてんだろう? |
タモリ |
不思議な家があるんですよね。 |
糸井 |
さっき言った
「エロチック」でいうと、
足が向こうに開いてるわけですから、
お腹側から見てるっていう
エロチックですよね。
女体だと考えたら、自分が見てる陰部になる。 |
横尾 |
うん。ぼくのY字路はね、
みんな、上品なY字路なんです。
大股開きは下品で絵にならないです。 |
タモリ |
かなり鋭角です。 |
横尾 |
こうね、あんまり開いちゃうとさ、
あれになっちゃうじゃない? |
糸井 |
T字路? |
横尾 |
そうそう。 |
糸井 |
ほどよく開いてる、
っていうところが、
Y字路表現のコツですね。 |
タモリ |
Y字路って、
どうできるんだろうなぁと考えちゃうんです。
東京の郊外のY字路なんて、
ほんとに自然な成り立ちで
できたと思うんですよ。
直行する道路とY字路の違いは……
「ある一定のところまでは、
目的は同じだ」ということですよね? |
糸井 |
そうですね。 |
タモリ |
それから、少し別れるんですよ。
たとえば、
目黒不動に行くのか、祐天寺に行くのか、と。
途中までは一緒で、あるところから別れる──
「おたく、目黒ですか?」
「あぁ、祐天寺です」
「途中まで一緒ですね」
と、おたがいにコミュニケーションを
取ったりしながら
「やっぱり目黒不動に行くほうが
いいのかなぁ」
と思ったりするわけでしょう? |
糸井 |
(笑)なるほど。 |
|
(つづきます) |