特集号について
吉本さんに報告した我々は、
いくつかのチームに分かれたりまたがったりして、
BRUTUS編集部の伊藤総研リーダーの構成にそって
各ページを練り上げていくことにしました。

●メタファーチーム
●人はなぜチーム
●はじめてのチーム
●年表チーム
●キーワードチーム
●ヒモトキチーム などなど。

こう書くとわけがわかりませんが、
各チーム、とにかく真剣です。
気がつけば、時間もあまりありません。
リーダーの見ている不思議模様を
みんながいっしょに見つめているだけでは
いけないということを
リーダー自身がもっともよく知っていたのです。
そして、困難好きのリーダーのもとには
精鋭たちが集まります。

11月26日
精鋭すぎな人たちでした。
今回は、ほぼ日のみなさんはじめ
外のスタッフの方々に
すごくめぐまれました。
決して、BRUTUSだけではできなかったです
“外のスタッフ”の中でも、
吉本さんのこれまでの足跡や著作資料に関して
大きな役割を果たしたのは、
小谷知也さん、深澤晃平さん、
ほぼ日の池本の3人、
通称「メガネブラザーズ」です。
メガネブラザーズ。出身大学も偶然同じ。
とにかく今回は、改めて
吉本さんの本をたくさん読みました。
この機会がなかったら読み直さなかっただろうなぁ、
という本もありました。
特に発見があったのは『音楽機械論』です。
未知なるものに、吉本さんがどうやってくらいつき、
解釈していくのかがよくわかって
すごくおもしろい本でした。
いま、文庫化されているので、
お読みになってない方に、おすすめです
11月24日
メガネブラザーズ、打ち合わせ風景です。
吉本さんの著作について語りだしたら
止まりません。
メガネブラザーズの腕の見せどころは、
吉本さんの著作からの言葉の抽出、
年表の作成など、たくさんありました。
なかでも『共同幻想論』を読んでみる、という
斬新なページを制作する際にも大活躍。
『共同幻想論』は、吉本隆明さんの主著と言われます。
その一部を抜粋し、
「何が書いてあるのか」
「どういうことが読み取れるのか」を
アンダーラインを引くようにして
コメントをつけるのですが‥‥。
『共同幻想論』は、読んでみたものの、
案の定わかりませんでした。
わからない、というところからスタートして、
どういうページができるのか
やってみたかったんです。
編集長の西田からは、
べつにわからなくてもいいんだよ、
と言われていました。
ですから、解説というよりは、
どう読めばいいのだろう、
わからなくてもおもしろいよ、
ということを言いたかったページです
『共同幻想論』改訂版の改訂箇所について
マニアックな意見を交換する
メガネブラザーズ。
ぼくは30代になったばかりですけど、
自分のなかに、吉本さんがいるかどうかの違いって
あるんじゃないかと思いました。
ぼくのような世代の人が、
これからどうするんだ、というとき、
吉本さんの言葉は、
すごく届いてくるんじゃないかと思うんです。
以前から、糸井さんの言っていることは、
吉本さんの言っていることと
つながっていると感じることが多かったのですが、
今回、特集を作って改めて思ったことは、
糸井さんは、吉本さんの言葉を、
糸井さん自身の経験や思考を通じて、
ぼくたちに届けてくれていたんだ、
ということです
糸井重里率いるヒモトキチームも
始動しました。
12月21日
何時間ぶん、
テープが回ったでしょうか。
12月24日
ヒモトキチームは
年末年始、合宿のように
みっちり作業しました。
そうやって、分かれて活動するあいだも、
BRUTUS+ほぼ日+精鋭+メガネブラザーズ
のチームは、
週1回の定例会を開いていました。
11月26日
みんなで進行を確認し、
悩みを打ち明け合いました。
12月9日
ほぼ日の冨田は、
常に議事録をとって
情報を共有させていました。
そのあいだ、伊藤総研リーダーは
構成の不思議模様を、
西田編集長といっしょに
ときほぐしていきました。
そのときのことをふたりは
振り返ります。
あるとき、総研が、
AKB48からはじまるページのコンセプトを
やっぱり変えようと思います、
と言ってきたことがありました。
吉本さんの言葉につなげていくための
メタファー部分だったんですが、
その記事を、読みものとして
独立させたいと言うんです。
悩みは、世間のあちこちで勃発しています。
そして、みんなはなんとかその場で解決している。
そこから、改めて吉本さんが
地図を見せてくれて、
糸井さんが紐解いてくれる。
この構成がどんどんいい方向に
動いていくことになりました
そうなんです。
今回の吉本隆明特集の記事は
AKB48のおしゃべりから
スタートするんですよ。

(明日につづきます)


2010-02-03-WED

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN