毎日図面を見て、
消しゴムと鉛筆を交互に手にしながらいじっています。
車を買う時、今だからやはり燃費はいい方が、
と思ってまずその辺りのカタログを探し始めます。
でもハイブリットってどうも形が馴染まないと、
その辺りでつまずいて、
燃費という基準を少し緩くして、
従来のガソリン車にも範囲を広げて
探すことになるのです。
それでもなかなかこれといったものにたどり着かない。
迷ったあげく、そういえば昔の車には
魅力的なものがあったな、
と今度はそちらに興味が動いて、
あれあれ、いつの間にか燃費という基準が
どんどんかすんでしまうことになってしまうのです。
それからは中古車情報をみたり、
友達の話を聞いて検討するのですが、
実はうすうす判っていたことなのですが、
データを見ると古い車はやはり恐ろしく燃費が悪い。
あ〜ぁ、どうしょう。僕は右から左へ、
ピンボールがはじかれるように、
「やっぱり燃費は大事だよね」、
と振り出しに戻ってしまうのでした。
ものを買う時、そんな行ったり来たりの悩みって、
皆さんはありませんか?
車でそうなのですから、もっと大きな買い物である
「家」のこととなると、
購入する側もそれまでのいろいろな思いが
一度に吹き出し、収拾できないくらいになります。
それで思ったのは、建築家の仕事には
「かたちを考える」ということはもちろんですが、
それだけではなく、
クライアントのこんな支離滅裂な思いを整理し、
丁寧に説得し、
「あなたの心の中で本当に欲しい家は
これではないですか」
とすっと提示するという、
もうひとつの大きな仕事があるのだということです。
これはなかなか大変な仕事です。
「10センチ」はショップがメインですが、
時々は食事会をしたり、
展覧会のようなこともできたらと思います。
それから企画が何もない時は、
奥は仕事場としても使いたいと思っています。
そんなわけで限られたスペースに
いろいろなことを詰め込もうとすると、
消しゴムの屑がどんどん
テーブルの上にたまることになります。
そしていろいろ必要なスペースを図面に加えていったら、
メインであったはずのショップスペースが
どんどん小さくなってしまいました。
それでもショップのスペースは大きくする必要はない。
スペースが大きいとそれだけものも
置かなくてはならないから、
本当に置きたいものだけでは
済まなくなることも出てくる。
おおよそ8畳ぐらいで、狭いと言えば狭いけれど、
でもこれくらいで丁度いいか、とも思って、
ようやく大体の配置が決まってきました。 |