木工事が終わり、
これで家のかたちが大体出来たことになります。
長い時間をかけて仕事をしてくれた大工さん。
それに変わって今度は、
塗装屋さんや左官屋さんが入ることになりました。
人が変わると、現場の雰囲気も
随分変わるのが面白いですね。
家づくりに関わる職種は多様ですが、
それぞれ仕事によって人の感じも何処か違っている。
職業が人を作ると言うことでしょうか、
その辺も興味深いですね。
扱う素材が違い、こだわるところや、
仕事の胆のようなところが違うから、
こうした違いが出てくるのでしょうか。
そういえば工芸の世界でも同じです。
例えばお酒の飲み方にも職種の違いが出てくるのです。
薪窯で焼成する陶芸家は、
数日間、夜通しで火の番をして過ごしますから、
その間どうしても手元にお酒を置いて、
飲みつづける習慣がつく。
ところが僕たち木工の仲間は
丸鋸など危険な機械を使いますから、
もちろん仕事中は絶対に飲まない。
それに仕事の内容に精度が求められることがあるから、
もともと性格が几帳面というのか、
何処かお酒にも節度を持っている人が
多いように思います。
だから陶芸家と木工家が
一緒に飲んだりすることがあっても、
夜12時を回る頃には
木工家はさっと居なくなってしまうのです。
そして残るのは陶芸家。
後もだらだらと、いつまでも飲み続けるのです。
もちろんこれはあくまで傾向としてであって、
木工家にもダラダラ派もいますし、
陶芸家にも節度のある飲み方の人を知っています。
さて、塗装屋さんは現場にきて、
まずボードとボードの間にある目地や、
ネジの部分にパテを塗って、
壁面を平滑にする下地処理を行います。
だから塗装屋さんはその時目的を果たすべく
必要なところに、
必要な量のパテをただ置いていくだけなのですが、
それがご覧のとおり、
まるでアフリカの布の絵柄ようにアートしているのです。
このまま残しておいて、
上から塗るのがもったいないくらいです。
これが柳宗悦のいう無心であること、
計らわないことの美なのでしょうか。 |