タモリ先生の午後。
こんな職員室があればいい。


糸井 タモリさんが言ってた
「人類ぜんぶ変態だ」じゃないですけども、今度、
「人間の考えることはぜんぶステレオタイプだ」
っていうまとめ方をしてみようと思ってるんですよ。
「何々のときは何々してしまう」と。

みんな、うっすらいいと思ってるけど、
何でも、誰かが考えたことを
なぞってるにしかすぎないでしょう。
そういうのを集めてみようかなぁ、
と思ってるんですね。

……とくにあの、ベッドシーンについては、
オリジナルってないと思うんですよ。
どっかでそうじゃないかな?
って思ったことをしてるんですよね。
タモリ そうですよね、あぁ。
糸井 あの、恋人同士が波打ち際を歩いて、
波がかかりそうになって
ファッと逃げるっていうのも、
どっかで見たからやってるんだと思う(笑)。
コタツっていうと必ず、ミカンを置きたくなるとか。
タモリ みうらじゅんと、
セックスの話をしてておもしろかったのが、
サングラスしてる男っつうのは、
エッチのときに、
ものすごい気にしてることがある、と。
そのサングラスを取るっていうと、
「あ、この男、やる気なんだな」
っていうのが相手に……(笑)。
糸井 あははははは!
タモリ サングラスをしてない人は、
それを自然にいけるっていうんですよ。
糸井 なるほど!
タモリ 自然にそういうふうな関係になるっつうんだ。
糸井 それはみうらとタモリさんならではですね。
タモリ そうそう。
2人でわかったんだけど、外した瞬間に、
「あ、こいつやる気になったな」
って見透かされるのが嫌だって(笑)。
糸井 ぼくの1年後輩が、
高校生のときに女の子とデートをして、
金もないんで自転車をこう押しながらっていう、
青い山脈みたいなデートで。

で、河原に行って、
とうとう接吻ができるっていうときになって、
自分がメガネを掛けてるってことに
気づいたらしいんですよ。
まったくどうしていいかわからなくなって、
硬くなって、メガネを丁寧に外して、
岩の上に置いたって。
タモリ (笑)はははは、置いた……。
糸井 確かにわかんないって思ったら
わかんないですよね。
タモリ しかも、ふつうのメガネならいいけど、
サングラスというとね。難しいんですよ。
ふつうのメガネなら、取ってるときと、
目の表情っつうのが同じなわけですよね。
でも、サングラスとったときには……。
こいつ、けっこう燃えてんのか? とか(笑)。
糸井 (笑)それ、みうらは
1回結論を出したんですかね。どうしたらいいか。
タモリ 出してない。
お互い出してないですね、どうしたらいいかって。
糸井 それはね、飛び道具があるんです。
シャワーだと思いますね。
タモリ あぁー。
糸井 間にシャワーを挟んでしまえば
いいんじゃないすかね。
タモリ あー、なるほどね。
でも、それでも気になるんですよ。
シャワーから上がってきてもメガネを、
掛けるべきか、またつけるべきか。
「あ、こいつ、メガネ取るために
 シャワーに行ったな?」
とか(笑)。
糸井 下バスタオル巻いて
サングラス掛けて頭拭いてるやつとか(笑)。
タモリ かといって、全裸でサングラスしたまんまは
セックスはできないだろうと。
糸井 おかしいよね。
ゴルゴ13はメガネ掛けてないのは、
そういう不都合が起こらないようになんだ。
タモリ そうなんだよね。そうなんですよ。
ゴルゴ13は、ふだん掛けてないですよね。
糸井 「レザボア・ドッグス」とかにもなかったもんね。
タモリ ないでしょう。どんな名映画にも。
サングラス取ってセックスを始めたやつは。
糸井 うん、ないよね。
それで悩んでるシーンとか、
見たことないですよね(笑)。
タモリ (笑)ないです。
  (おわります。6月の雑談に続きます。)

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2004-01-15-FRI

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