ジョージ |
ゲイとノンケのちがいって、なんなの?
対人関係的に。
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ノリスケ |
大枠な質問されたけど(笑)。
対人関係的にどうちがうのか?
でも、いろいろいるからなぁ。
対人関係的に、
そんな顕著なちがいはあるのかな?
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ジョージ |
最近あんまり行かないけど、
ゲイバーとか行くでしょう?
で、ボク、普通のクラブとかにも
行くでしょう?
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ノリスケ |
おねえちゃんがいるようなね。
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ジョージ |
そう。いちばんのちがいは、
ゲイバーって、お客さん、
みんなおしゃべりだよ。
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ノリスケ |
あー、なるほどね!
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ジョージ |
すごいおしゃべり。で、たとえば、
言葉のおしゃべりの人もいるの。
だけど、しゃべらない人も
言葉じゃないおしゃべりをするんだよ。
座り姿であるとか‥‥。
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つねさん |
視線であるとか。
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ジョージ |
手つきとか。
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ノリスケ |
わたしはこういう人ですよ、
っていうアピールを、
言葉以外でしてるってことね。
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ジョージ |
そう。存在がものすごく
冗舌なんだよね。
だけど、おねえちゃんがいる
クラブに行くと、
冗舌なのはホステスさんなんだよ。
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つねさん |
うん、うん。
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ジョージ |
で、男は、受け手なんだよね。
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ノリスケ |
うん、うん、うん。
個性なくていいんだから。
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ジョージ |
そう。で、そういうの見てると、
なんかね、つまんないなーと思って。
そん中で、ほら、掃き溜めに鶴のように
オカマのひとりがいるわけでしょう?
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ノリスケ |
掃き溜めに鶴(笑)?
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ジョージ |
もう、おねえちゃんは
ボクのとこに集まってくるもの。
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つねさん |
はぁー。
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ジョージ |
話をしていくと、
同質なものでつながるんだよね。
女心がわかる男と、
女心をわかってほしい女の人が、
根っこの部分でつながれるんだけど、
でも、やっぱり、近づいてくる
きっかけっていうのは‥‥。
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つねさん |
あなたが手振り身振りが大げさで
よくしゃべる人だから?
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ジョージ |
そう。表現してるから。
で、それは男と女の関係とちがって、
おかま同士っていうのは、
自分が意思表示しないと
何にも始まんないじゃん。
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ノリスケ |
うん、うん、うん。
自然におつきあいが始まる、
なんてことにはならないよね。
自分がどういう人かを
説明しないことには。
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ジョージ |
そう。たとえばノンケの男の人が
クラブに行ったら、十中八九、
細身でもってデコボコがはっきりした、
かわいい女の子が好きなわけでしょ?
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ノリスケ |
うん、まぁね。
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ジョージ |
年取ってるより
若いほうがいいわけだよね。
なんにも言わなくったって、
もう需給関係はしっかりしてるわけよ。
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
ゲイバーにさ、ボクが行って、
ボクが果たして、
死にそうなおじいちゃんが好きなのか、
若くてピチピチした
ジャニーズ系が好きなのか。
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ノリスケ |
わかんないよね!
どういう人が好きなのか。
わかんないのよ!
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ジョージ |
それとも、(つねさんを見て)
こんなね、崩れたのが、
好きだなんて、ねぇ?
‥‥痛い! やめてぇ〜。
つねらないでぇ。
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ノリスケ |
見えないところでつねさんが
ジョージさんの足を
つねってるみたいです。
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つねさん |
ふふふ‥‥。
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ノリスケ |
まあねえ、桜金造がいいのか
タッキーがいいのか、
わかんないもんね。言わないと。
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ジョージ |
そう。ボク的には‥‥(笑)。
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つねさん |
笑いながら言うな(笑)。
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ジョージ |
同年代前後の、ガッチリから
ちょっと崩れめの?
その、俗に、
三つのくるしみを抱えた人たち?
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ノリスケ |
ぶっ。
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ジョージ |
チビ、デブ、ハゲ? みたいな(笑)。
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ノリスケ |
あなたには三種の神器なわけよね。
さらに毛深い、みたいな(笑)。
増えた。
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ジョージ |
そうそうそう。
そうそうそうそう(笑)。
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ノリスケ |
激しく同意するわね。
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ジョージ |
とにかく、それが好きということを、
伝えたければ‥‥。
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ノリスケ |
言うしかない。なーんにも始まらない。
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ジョージ |
言うしかないか、でも、でもね、
バーに入ってって、
ドア開けた瞬間に‥‥。
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ノリスケ |
「チビ、デブ、ハゲはいるかー?」
ナマハゲだ。
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つねさん |
いねがー!?(笑)
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ジョージ |
そうは言えないわけじゃない?
ってことはもう、もう、
一生懸命自分で考えて、
ボクという人間は、
チビ、デブ、ハゲが‥‥
チビ、デブ、ハゲって、ごめんね。
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つねさん |
(優しい声で)いや、いいよ、いいよ。
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ノリスケ |
(冷たい声で)そのとおりだからね。
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つねさん |
うるせぇ。
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ジョージ |
──が、好きなように見えるには
どうすればいいんだろうか?
ってことを考えるわけよね。
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ノリスケ |
そりゃそうだ。
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ジョージ |
そう。で、それは決して、
ジョルジオ・アルマーニを
着て行くことじゃないんだよね。
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ノリスケ |
そうなのよ。関係ないのよ。
むしろジョージさんみたいな人が
アルマーニのスーツなんか着てったら、
若い子にちょっとお金をつかって
面倒みてあげたい人かな?
みたいに見られちゃいそうだし。
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ジョージ |
だから、同じように短髪にして、
チェック系の?
あるいはコザッパリとした?
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ノリスケ |
求めるものと自己を
同一化していくっていう手ね(笑)。
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ジョージ |
そうそうそうそう。
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ノリスケ |
でもいろいろいるのよね。
自分がそうなるのは
好きじゃない人だって
いっぱいいるわけだから。
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つねさん |
そうなんだよね。
逆に同一化したい人もいっぱいいるし。
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ノリスケ |
同一化した人のほうが、
カップルやグループで動くから
目立つし、たぶん数的には
多いんだろうね。
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ジョージ |
都会にやってきて、
二丁目とか新橋とかに行くと、
表現力豊かなゲイが多いよね。
だいたい一目でわかるもの。
この人って年上が好きなんだろうな、
この人って若い子が好きなんだろうな、
っていうのを、わかるような
格好してるよね。
それが都会のオカマだよ。
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