つねさん |
ノリさん、じゃ、お金、託しておいたら? |
ノリスケ |
ないの。今! |
ジョージ |
ないの?(笑) きっぱり! |
ノリスケ |
だって、お店が増えちゃったんだもの。 |
つねさん |
行く店がね。 |
ノリスケ |
僕の好きなあるブランドが
新しいお店を出して‥‥ |
ジョージ |
あんなラインとか、こんなラインとか、
そんなラインとかね。 |
ノリスケ |
ワンラインワンシーズン1回行くと
けっこうなくなっちゃうの! |
つねさん |
あんた月に4回行ってるでしょ? |
ノリスケ |
毎週行ってるってこと?
先週、風邪ひいたから行かなかったわよ。 |
つねさん |
風邪ひいたから! |
ジョージ |
でもね、それはね、やっぱりね‥‥
お買い物という熱病の第一症状よ。 |
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ノリスケ |
えっ! これって、“第一”なの?
ちょっと待ってよ!(笑) |
つねさん |
まだ、第一なの? 末期じゃないの? |
ジョージ |
いわゆる、いろんな所で
自分の買いたい物を買っているというのが、
“平静”の状態なわけよ。
お買い物病にかかると。 |
つねさん |
ほー。 |
ジョージ |
買いたくもなかったはずなのに‥‥ |
つねさん |
なぜか買ってる。 |
ジョージ |
‥‥そのブランドという世界の中で、
どうしても買ってしまいそうに
なる自分、というんですか?
ブランドフリークっていう言い方が
いいのかどうかは別として、
あるブランドの世界観の中に
自分がドップリと浸かりこんでしまうの! |
ノリスケ |
ハイ‥‥。 |
つねさん |
ウフフ。力ないね、「ハイ」ね。 |
ジョージ |
そうすると、買わなくってもいいのに‥‥
買ってしまってるんだよねー。
必要でもなかったはずなのに、
買ってしまっているのォ!
これね、第一症状です。いかが? |
ノリスケ |
お布施のようね‥‥。 |
ジョージ |
そ。お布施のような。 |
つねさん |
ふたりとも目を覚ませ! |
ノリスケ |
お布施だもの‥‥。 |
|
ジョージ |
お布施だから‥‥。
そして、そのお付き合いをする
ブランドの幅が広ければ広いほど、
その病状は悪化するの。 |
ノリスケ |
あ、じゃ、まだ大丈夫。大丈夫。 |
つねさん |
いやー、大丈夫じゃない! |
ノリスケ |
だってブランド1つだから。 |
つねさん |
ああ、そうね。 |
ジョージ |
でもね、ブランド1つを侮っちゃ
いけないわよ。僕なんか、
エルメスにはまったときには、
もう、アナタ、ね、
お洋服もあればカバンもあって小物もあって。 |
ノリスケ |
あー、そういう意味ではたしかに、そう。
エルメスフリークからは
どうやって脱出したの? |
ジョージ |
あのブランドだけは下着を
作ってなかったのよ。
ところが。 |
つねさん |
作らせたの? |
ジョージ |
ちがうの。あのね‥‥
シルクのトランクスを
売りに出したことがあるのよ。
それがトランクス1枚、4万円とか
5万円という‥‥ |
つねさん |
アハッ! とんでもない! |
ジョージ |
‥‥というお値段を見たときにですよ、
「え! ここと付き合うってことは、
これまで穿くっていうこと?」って思って、
ちょっと引いちゃったの。 |
つねさん |
すげー。 |
ノリスケ |
目が醒めたんだ。 |
ジョージ |
そー。目が醒めた。
もしあそこが靴下作り始めたら、
とんでもないことになるよね。 |
つねさん |
そうだ。 |
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ノリスケ |
ネクタイのように、
いろんな柄があったりしてね。
「全部ください」なんてね。 |
ジョージ |
もー、大変よ! |
つねさん |
棚を指して「ここからここまで!」
とかって言ってね。 |
ジョージ |
そー。ほーんとに。
‥‥昔、ニューヨークの五番街に
まだエルメスがあった頃、
日本のおばさんがやってきて、
「私、お土産に買うの」って、
ネクタイを両手で
スポンスポンって抜いて‥‥
で、それを売り子さんに渡して、
「1個ずつ、箱に入れてちょうだい」って。 |
ノリスケ |
アハハハ‥‥ |
ジョージ |
それで、もう、そのお店の機能、
止まったことあるんだもの。 |
つねさん |
そりゃ、止まるよね。 |
ジョージ |
オー・マイ・ゴッド、よ。 |
つねさん |
すげー。 |
ノリスケ |
恐ろしー。 |
ジョージ |
そーなの。‥‥だから、
めでたい第一症状よねぇ。嬉しいね〜。 |
ノリスケ |
嬉しいのか!
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