ジョージ |
でもね、イタリア行ったらねぇ、
ピザおいしくなかったの。 |
ノリスケ |
あれ? |
つねさん |
そうなんだ。 |
ジョージ |
ん〜、おいしいんだけど‥‥
おいしいのよ?
でも日本のほんとに
おいしいピザのほうが
おいしい! |
ノリスケ |
ありゃ! |
ジョージ |
あのね、
ほんとにピザがおいしいっていう
レストランに行って、ピザ頼んだのね。
同じピザを、
ちょっとしたグループだったから、
3枚頼んだのよ。 |
つねさん |
うん。 |
ジョージ |
そしたら、
みんなね、違う形で違う焼け方でねー、
具材の乗り方がみんな違うの! |
ノリスケ |
同じもの頼んだのに(笑)。 |
つねさん |
むらがあるんだ。 |
ジョージ |
日本人は、それをむらと言うでしょう?
お店の人にね、
「なんでこんなに全部違うんですか?」
って聞いたらね、も、ほんとに、
「えっ?!その質問の意味がわからない!」
みたいな感じで、
「ええっ!?」って言うの! |
ノリスケ |
つまり、
「これマルガリータだろ?
これもマルガリータだろ?
これもマルガリータだろ?
何が問題なんだ?」っていう感じ(笑)? |
ジョージ |
そう。それで、
「人間が作るのに、
なんで同じものができるんだ?」
って聞くの。 |
ノリスケ |
ああー。 |
ジョージ |
それでね、「どれかまずいのがあるか?」
って聞くから、とりあえずね、
全部同じ味はするのよ。
「どれもおいしいよ」って言ったら、
「いいじゃないか」って言われるのー。 |
つねさん |
あははは! |
ノリスケ |
ああ、それで、ああ、なるほど!
だから近代産業には乗り遅れちゃったけど、
お洋服では勝ってるんだ! |
ジョージ |
オートクチュールがなぜいいかと言うと、
基本的に一点ものの世界だからなんだよね。 |
ノリスケ |
プレタポルテだって、
オートクチュールに近いぐらい少量しか
作ってなかったりするからね。
イタリアのものって。 |
つねさん |
そうなんだ。 |
ジョージ |
もお、笑っちゃった〜〜〜。
ぶれとかね、誤差とかね、
けして悪いことじゃないんだよね。 |
ノリスケ |
素敵ねー(笑)。 |
つねさん |
すげーアバウト。 |
ノリスケ |
自分に合ってる(笑)? |
つねさん |
いえいえいえ! |
ジョージ |
「そんなにね、誰が食べてるのも
同じようなものを食べたいんだったら、
マクドナルドに行けばいいじゃないか」
って。
そう言われてね、
マクドナルド行くでしょう?
そうすると
マクドナルドのハンバーガーでさえ。 |
つねさん |
ブレがある(笑)? |
ジョージ |
もお、おどろいちゃう〜(笑)。
んで、アネゴと一緒にマクドナルド行って、
マクドナルド食べると、5個並べると、
5個みんな違うんだよ。 |
つねさん |
うそ! |
ジョージ |
ゆがんでたりとかぁ、
ぺこんと開けると中のピクルスの枚数
違ってたりとかぁ。
「違うよね」
って言うと、今度は同行のアネゴが
「なんで? みんな同じじゃない!」
って(笑)。
「同じサイズでしょ?」って。
「バンズだって同じだし、
パテだって同じだし、
だって凍ってたのよ?」
って言われたら、
うん、確かに同じなんだろうなって思うけど、
僕らにしてみたら違うんだよね。 |
つねさん |
へえ。 |
ノリスケ |
誤差の感覚が違うのね。 |
ジョージ |
パスタにしたって、アルデンテじゃないし。 |
ノリスケ |
えっ! まずいじゃん(笑)! |
ジョージ |
ほぉんとにアルデンテじゃないんだよ。
で、
「アルデンテじゃない」って言うと、
きっ! として、
「日本人が
アルデンテのこと言うんじゃないの!」 |
ノリスケ |
ははは! 逆ギレ(笑)! |
つねさん |
そうだよね、イタリア行って食べたけど、
むちゃくちゃおいしかったって
イメージないよ。 |
ノリスケ |
みんなそれ言うのよね。 |
ジョージ |
で、アネゴはね、食べてね、
「ケ・ブオーノ!」とかって言うんだよ。 |
ノリスケ |
訳しますと、
「すっごくおいしい!」(笑)。 |
ジョージ |
で、僕たちが、んん? って顔してると、
「おいしいでしょ? おいしいでしょ?
おいしいでしょ?」って。んーーー。 |
つねさん |
ブオーノの無理じいするんだ。 |
ジョージ |
で、「でもちょっとアルデンテじゃない」
って言うと、怒るの。 |
ノリスケ |
確かに、日本にイタリア人が来て、
「この酢飯は砂糖使いすぎ」
とか言われたら、
「おまえが言うんじゃない!」
って言うよね。 |
つねさん |
そらそうだね(笑)。 |
ジョージ |
怒ると思う。 |
ノリスケ |
「ちょっと酸っぱくてもいいんだこれで!
食ってる数が違うんだ!」
って言いたくなるのと一緒だね。 |
ジョージ |
でも、農家に行って食べさせてもらった
パスタはおいしかった。 |
ノリスケ |
手打ち? |
ジョージ |
ううん。乾麺なんだけど、
オリーブオイルがね、絞りたて! |
ノリスケ |
ああっ! ああん! |
ジョージ |
できたばっかりのオリーブオイル! |
ノリスケ |
どくどく飲めちゃう! |
ジョージ |
しかもあの、EUというへんてこりんな
枠組みになって‥‥、 |
ノリスケ |
規格ができちゃって‥‥、 |
ジョージ |
そう。それで、添加物ゼロの、要は、
例えば煮沸消毒をしていない油であるとか、
100%自然の油、特にあの、
果実をしぼった油っていうのは‥‥、 |
ノリスケ |
不純物が混じってるようなやつは‥‥、 |
ジョージ |
売れないんだよ。 |
つねさん |
それを、家庭用に? |
ジョージ |
自家使用用に、ほんとの一番しぼりを
1年分作るのよ。 |
つねさん |
ああ! それは! |
ノリスケ |
おいしそうっ! |
ジョージ |
で、自家使用分以外のものを、
売ってはないんだけど、
アグリツーリズモというものがあってね。 |
ノリスケ |
うんうん。イタリアでさかんですよね。 |
ジョージ |
農家を訪ねて行って、たまたまあると
分けてもらうことができるの。 ああーっ! |
ふたり |
ああーっ! |
ジョージ |
で、分けていただくことができるのに、
中身は売れないでしょう?
だからビンを買うんだよ。 |
つねさん |
ああ、そしたら中身がもれなくついてくる! |
|
ジョージ |
そう。だから、普通のガラスのビンが
農家に売られているわけ。
1リットルが、3000円とかという
ガラスのビンが売られていて、
それを買うとつめてくれるの。 |
つねさん |
ああ、いいね。おまけだ。 |
ジョージ |
それを、まさに、
「昨日しぼりましたんでございますのよ!」
っていうオリーブオイルと、お隣さんで、
「昨日できあがったばっかりで
ございますのよ!」
っていうパルマの生ハムと‥‥ |
ふたり |
うきゃーっ〜!!! |
ジョージ |
「うちの倉庫に5年前から
眠っておりましたんでございますのよ!」
っていうパルミジャーノレッジャーノで‥‥ |
つねさん |
っや〜ん。 |
ジョージ |
作っていただくスパゲッティー!!! |
つねさん |
そーれはうまそうー! |
ノリスケ |
そりゃうまいわ! |
ジョージ |
おいしかった!
みんな、お皿の底に残ったオリーブオイル‥‥ |
つねさん |
なめた? |
ノリスケ |
猫娘のように(笑)? |
つねさん |
ぐわっはっはっはっは! |
ジョージ |
最初は(笑)、指でこうやってすくって。
パンですくうともったいないくらい
純粋にそれ食べたいって思うのよ。
でもそのうち‥‥ |
ノリスケ |
皿持って(笑)? |
ジョージ |
化け猫のように(笑)
ぺろんぺろんぺろんぺろん! |
つねさん |
誰か始めたらみんなやっちゃうんだよね。
たぶん。 |
ジョージ |
それを、イタリアの人たちも
怒らないんだよね。にこにこしながら、
「でしょ、でしょ。私たちもそうなのよ」
って。
「子供たちがお皿の中に
首をつっこみながら育ったのよ」 |
つねさん |
いいね(笑)。 |
ジョージ |
あれはおいしかった。 |
|