profile

December
黒のブローチ 1

喪に服すとき身につけるジュエリーのことを、イギリスでは
モーニング・ジュエリー(mourning jewellery)と呼ぶ。
英語の「mourn」とは「悼む、弔う」という意味だ。
(※発音は、モウンに近い)

モーニング・ジュエリーの存在は
少なくとも16世紀にはすでに確認されていたが、
人々に広く認識され、大量に製造されたのは、
ヴィクトリア女王が喪に服した1861年から
彼女が亡くなった1901年のより少し後の
1920年ごろまでと言われている。

必ずしも黒いジュエリーだけを指すのではないが、やはり
ジェット、ブラックオニキス、エボニー、ボグオーク
など、黒や黒っぽい素材が主流だった。

中でも、いちばん代表的なものといえばジェットである。
ジェットは木炭が数百年を経て化石化した宝石の一種。
ボヘミア製の、フレンチジェットと呼ばれる
ジェットを模した黒いガラスも、
ジェットと比べて値段が手頃という理由から多用され
非常に普及した。

写真の品は、1920年ごろに作られたフレンチジェット製のピン。
本来はスカーフや帽子などにさして使うものであった。
未使用品のため傷みはほとんどないが、
製造工程でできた(左側の)ビーズと台座の接着面に
少しずれがみられる。

こうした当時の黒いジュエリーは、今では単純に、
普段の装いにシックな雰囲気を加味する目的で
使われることも多い。

大きさは、73mm x 12mm x 10mm

(つづきます)

 
2014-02-25-TUE

 
まえへ このコンテンツのトップへ つぎへ


感想をおくる
「ほぼ日」ホームへ
ツイートする facebookでシェアする
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN