── | たかしまさん、結婚はいつですか? |
たかしま | イラストレーターとして独立した直後です。 29か、30か、そのくらいでした。 最初の会社の同期で、 大阪と東京で遠距離恋愛でした。 けっこう反対されたんですけどね、 会社辞めるとき。 |
── | そりゃそうでしょう。 |
たかしま | 経過は話してなかったんですよ。 言うと反対するし、と思って。 東京にたまたま、遊びに来たときに 日比谷公園で、 「ごめん、実はもう辞めるって言っちゃった」 みたいな話をしたら、 ものすごい泣いて怒って。 |
── | また無茶な。 |
たかしま | はははは。 でも雇ってくれて。 |
── | 怒られてばっかりですね。 |
たかしま | ははは、ほんと怒られてばっかりですね。 最終的には、けっこう理解してくれて 結婚したわけですけどね。 |
── | 息子さんの「そらくん」が生まれたのは。 |
たかしま | そらが生まれたのは、98年です。 結婚して、1、2年ですね。 |
── | 妻子を養っていたんですね。 イラストレーターとして。 |
たかしま | そうですね。 仕事は一応、彼女も辞めなかったんで、 ふたりで働いてたんですけど、 マンションを買ったんですよ。 |
── | ええ! |
たかしま | ローンとか、 一応ぼくが払ってたので、 そのぐらいには生活できていました。 |
── | なぜ離婚したんですか。 |
たかしま | シンプルに言うと、 ぼくがわがままでした。 行きあたりばったりで、 結局、自分のやりたいことしか 見えていないわけですから。 根本的に、お互いの生き方を 理解できず、変えることもできないまま、 ぶつかる機会が増えていったんです。 |
── | 変な言い方だけど、離婚までの道って 大変なことだったんじゃないですか。 |
たかしま | はい、とても大変でしたね。 話し合いでらちがあかなくて、 お互い離れた方がいいと思ったんで、 最初はぼくが出て行ったんですよ。 そして話し合いをしても、 平行線なんですよね。何度話しても。 ぼくとしてはしばらく別居生活を続けても、 このまま、やっていけるんじゃないかと思っていた。 ぼくは親父が、たまにしか帰ってこない 親父だったじゃないですか。 そういうスタイルで、子どもに会いに来て また、仕事に行くみたいな、 そういうスタイルもありなのかな、 ということを考えていました。 でも、それは理解はされないですよね。 「マグロ漁船に乗ってる 船員さんみたいなもんだと思ってくれれば」 なんて言っても、本気で怒られました。 結局、ふたりの話し合いじゃ無理だ、 っていうことで、 家庭裁判所にお願いすることになりました。 ただ一番ネックだったのは、 最終的にはお金の問題でした。 |
── | 慰謝料、ローン、養育費。 |
たかしま | マンションを買ったときは、 「いつでも売りたくなったら売れますよ」 みたいな話だったんですけど、 いざ査定してもらったら、 とんでもない話で。 どうしようかって悩みつつ 別居生活をしてたんですけど、 そこで、奇跡的に、 『ビッグ・ファット・キャット』 の話がくるんです。 |
── | 幻冬舎さん。 |
たかしま | はい、幻冬舎の編集者さんから 今度英語の本、実用書を作るんだけど ちょっと変わった本にしたい、 絵をいっぱい入れたいと。 その人も元MacFanの編集者だったんです。 この本は、爆発的に売れる本じゃないけど、 丁寧にみんなで作って、息の長い本にしたい っていう話を聞いて、 「ぜひやらせてください」っていうことで、 やらしてもらうんですね。 それが、もう誰も予想していなかった ミリオンセラーになってしまったんです。 |
── | それで、いろいろなことが 解決に向かっていったんですね。 ということは、そんな前じゃないですよね。 |
たかしま | 2000年です。最初の本が売れたので、 そのストーリーを膨らませて、 絵本みたいなのを一緒に作れたらいいね、 という企画も通って、 何年もかけて、7巻までで完結の話になって、 最終巻が出たのは、2004年の暮れかな? |
── | いまも、そらくんとは、週末はいっしょに? |
たかしま | 月に1、2回っていう感じですね。 会うときは、たいてい、 元の奥さんもいっしょに、 3人で遊びに行ったりとかしてるんです。 向こうもいま仕事続けてるんで、 お互いのスケジュールが合って そらも学校が休みのとき、ってなると なかなか日が取れないんで、 だいたい月に1、2回、 会えればいい感じですね。 |
── | 10歳ですか。 |
たかしま | このあいだ11になりましたね。 いつかは、ちゃんと、こう‥‥ 腰を据えて話したいとは思ってるんですけど。 もしかしたら、ぼくよりも はるかに、察してると思うこともあるんですが。 この間も、突然、3人で 車乗ってたら、なんかの話の流れで、 「そんなんだから、ふたりは離婚しちゃうんだよ」 みたいなこと、ポロッと急に言ったんですよ。 離婚っていう言葉、一言もふたりからは 言ってなかったのに。 そらも、もうちょっと大きくなったら、 普通に、ひとりでも電車に乗って 遊びに来てくれるような感じに なったらいいなと思ってるんですけどね。 |
2008-12-17-WED | |
(つづきます!) |