Lesson965
感情の居場所
2020-04-22
へこたれてる人に、
「愚痴を言わず、頑張れ。」
と言うと、
なぜ反感を買ってしまうのか?
コロナ自粛の初期、
私は、無自覚にストレスを溜め込んでいた。
自分では平気と思ってる。なのに、
夜、眠れなかったり、
昼間ボーッとして、何もやる気がしなかったり。
そんなとき、
「在宅勤務でメンタルを安定させる方法」
というオンラインの対談(下園壮太×佐渡島庸平)
を見た。この言葉が飛び込んできた、
「不安+自由の制限、
この状況に置かれるだけで人は疲れる。」
すとーん! と腑に落ちた。
自分がいま、コロナへの「不安」、
外出などの「自由の制限=我慢」にあると、
気づかされた。
「不安+我慢」がかなりストレスになっていることにも。
出演していた先生は、
強いストレス環境で働く自衛官の
メンタルトレーニングもしていた熟練者だそうだ。
「疲れ」と言えば私たちは、カラダの疲れ、
重労働や過労に目が行きがちだけど、
「心の疲れ」も同じくらい大変なものなんだと。
何もしてなくても、周りからはダラダラして見えても、
「不安+我慢」の状況に置かれるだけで、
人間はものすごく疲れるんだと知らされた。
私は、ちょっと泣きそうになった、
「疲れていいんだ。疲れるのは自然のことなんだ。」
それまで見ないようにしてきた
自分の「疲れや不安」を初めて自分で認めることができた。
それだけで、ものすごく落ち着いた。
「感情には居場所が要る。」
先週のコラムで
そんな話をし、読者からこんな声をいただいた。
<気持ちの行き場>
行き場がない気持ちは、
時として牙をむき、思いも寄らない方向へ向かいます。
そうならないためにも「気持ちの場所」が必要です。
美術館でも、作品から感じた思いの行き場として、
展示会場の終わりにショップがありますし、
映画でも、エンドロールがあって、
明るくなるまでに「間」があります。
自分で、自分の「気持ちの場所」を与えるにも、
その準備をする「間」が必要です。
伝える側、受け取る側、互いにそういう「間」があれば、
そこで育ってくる思いもあるはずです。
(たまふろ)
そうか!
「愚痴を言わず、頑張れ」、
が反感を買ってしまうのは、
「気持ちの行き場」がないからだ。
ツラくて、苦しくて、悲鳴をあげている人に、
いきなり、
「頑張れ。」
では、相手のツラい気持ちの行き場がない。
さらに、
「愚痴を言わず、頑張れ。」
だと、相手の気持ちの行き場がない上に、
相手の気持ちそのものまで否定してしまう。
まず相手の気持ちのしばらくの居場所をつくる。
「そうだよね、ツラいよね。苦しいね。
でもツラい気持ちに負けないで、頑張れ。」
同じ「頑張れ」でも、
相手の気持ちの受けとめがあって、
そのあと言うと、だいぶ印象は変わる。
さらに別の読者は、こう言う。
<「命を守る言葉」を読んで>
僕らはひとりひとり、立場も、環境も、違う中で、
現実と未来を、それぞれの価値観で捉えながら、
他人と共存している。
なのに意見が食い違うと、
「なぜあの人はわかってくれないのだろう」
「俺が正解なんだ!」
と視野が一気に狭くなるから怖い。
スポーツのチームでも、会社の組織でも、
うまくいっている時は、
みんなが前向きで結果に満足しているので、
敢えてコミュニケーションをとる必要がない。
そうじゃなく、
後ろ向きから前向きに方向転換させなきゃいけない時に
コミュニケーションが求められる。
その時に、
「相手の立場になろうとする」ことが大前提なんだ。
相手の立場になることはできないと思うが、
なろうとすることが大切ではないか。
何かあった時だけ、
自分の一方的な考えや経験談を話しても、
相手に全く伝わっていないことがよくある。
普段から相手の立場を考えようとして接していないと、
いざという時に想いは伝わらない。
まずは自分が相手の声を聞こうとし、
相手の気持ちを知りたいと歩み寄っていること。
伝達も会話のような気がする。
(三日坊主おじさん)
「伝達も会話」。
一方的にこちらから伝達する・書く・発信する
ような場合でも、
まず相手の気持ちを「聴く」姿勢があるかどうか。
それが大切だと気づかされた。
それが相手の「気持ちの行き場=受け皿」を準備する
ことにも通じる。
もう1通だけ、おたよりを紹介して今日は終わろう。
読者のたまふろさんの言う、
「自分で、自分の気持ちの行き場をつくる準備」
に通じるおたよりだ。
<余韻の行方>
私は紙の本が好きです。
電子書籍が便利で合理的なことを
頭では理解できるのですが、
自分の生活に取り込もうとは思えないのです。
「感動の即死」を読んで理由がわかりました。
電子書籍は唐突に終わってしまうからなんです。
紙の本は、既読・未読のページが
厚みとして視覚・触覚で分かるので、
物語の終わりがくることも感じながら結末を迎えます。
物語に深く入り込んでいるときほど無意識に、
少しずつ現実世界に戻るための準備を
自分の中でしていたのだなと。
登場人物たちやその世界観との
突然のお別れが寂しいのでしょう。
子供の時は、
映画や本を読み終わっても、現実世界に突然戻ることなく
徐々に余韻から覚めていたように思います。
今では余韻を感じられる時間は
一瞬になってしまいましたが、
それはすぐに現実に戻る必要があるからなのか、
大人になったからなのかはわかりません。
「余韻の消え方、後味の消え方」
というのも自分の中では大事なのだとわかりました。
(フルムーン)
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聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
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「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
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いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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