怪・その3

「子どもにしか見えない」



これは保育園で働く私が実際に体験した、
つい最近の出来事です。

ある日のこと。
トイレ前の廊下で他の職員と話をしていた時、

「ドン!」

とトイレのドアを
内側から強く叩く音がしました。
ドアも揺れていたので強い力です。

私は子供が閉じ込められているのかと思い、
急いで扉を開けましたが、そこには誰もいません。

思わず「え?」と2人で
顔を見合わせ固まってしまいました。

そしてそれから数日後、
今度はトイレで子供のオムツ替えをしていた時でした。
子供がトイレの隅にある小窓の方を見て
「バイバイ」と手を振っていました。

ここは2階のため、もちろんそこには誰もおらず、
子供もまだ喋れない年齢だったので
誰に手を振っているのか確かめようがありません。

でもこの時、私は確信しました。
ここには子供にしか見えない「なにかがいる」と。

後日、この話を
古くから働いている用務員さんに伝えると、

「ここには何かいるよ。
でも、悪い霊ではないから大丈夫。」

と励まされました。

それを聞いて私は少し安心しましたが、
遅番の戸締まりの際にはやはり怖いです。

この園舎はとても古く、老朽化が進んでいるため、
近々取り壊しになる予定です。
そうしたらこの「だれか」は
いったいどこへ行くのでしょうか。

(b)

こわいね!
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2024-08-01-THU