怪・その9

「庭の大きな木」



ママ友に聞いた、彼女の高校時代のお話です。

同級生のお宅へ遊びに行った時のこと。

庭には大きな欅が一本、
異様な様相を帯びて立っていました。

奥へ進むと、
玄関に御札の様なものが貼ってありました。

ご挨拶をした家族に違和感を覚えつつも個室へ行き、
それとなく御札のことを尋ねたそうです。

すると、同級生のお姉さんと、
自分達家族を守るためだと話してくれました。

お姉さんにはお付き合いしていた方がいて、
別れ話のもつれから相手の方が
自ら命を絶ってしまったそうです。
庭のあの大きな欅で‥‥。

垂れ下がった姿を最初に目にしたのは、
お姉さんだったそうです。

お姉さんが虚ろな目をし、
痩せこけてゆく姿を目にしたご家族は、
藁にもすがる思いで霊媒師にお願いすることに。

普通、取り憑いた霊は
側に立っていることが多いらしいですが、
お姉さんに憑いた霊は違いました。
執着心が異常に強く、おんぶの格好で、
腕は首の前で交差し肩を強く抱きしめ、
頬をすり寄せ、足を組んで腰の辺りをがっつり捕まえ、
振り落とされまいと必死の子どもの様だったとのこと。

成仏してもらう事ができず、
せめて家に入らない様にと貼ったのが、あの御札だと。
そして同級生のひと言に頭が真っ白になったそうです。

「今も玄関の前にいて、
お姉ちゃんが出かけるのを待ってるよ。」

(霊感ゼロ)

こわいね!
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2024-08-06-TUE