怪・その17
「2階の火災報知器」
まだ子どもたちが小さかった、
7、8年ほど前に体験した話になります。
当時、築50年近くになる
二階建ての借家に住んでいました。
ちょうど、今ぐらいの夏休みの暑い日、
午後2時ぐらいだったと思います。
幼い2人の子どもと私、3人で
借家の1階の居間でのんびり過ごしていました。
すると、どこからか
火災報知器が鳴り響く音が聞こえてきました。
「どこで鳴っているんだろうねえ~」
などと子どもたちと呑気にしゃべっていましたが、
一向に鳴り止む気配がありません。
気になって、家をうろうろしていると、
火災報知器が、
我が家の2階の一室から鳴っていることが分かりました。
天井に設置してあり、
紐で引っ張って操作するタイプのものだったので、
何かに引っかかって誤作動でも起こしたのだろうと、
その時は特に気にせず、停止させて、
1階に降りていきました。
それから数日後、同じような暑い日の午後2時頃、
また火災報知器が鳴り始めました。
まさか、と思って、また2階に行くと、
やはり同じ箇所の火災報知器が鳴っていました。
それからも、同じようなことが2度、3度続いたので、
さすがに故障だろうと思って、
大家さんに点検に来てもらうことにしました。
点検業者の方と、大家さん、立ち合いの下、
火災報知器を調べましたが、
全く異常はありませんでした。
そもそも、つい、
2、3か月前に取り付けたばかりの新品なので
壊れようもありません。
「異常なしです‥‥。」
と点検業者さんが言ったのち、
大家さんとしばらく顔を見合わせて、
「‥‥取り外しましょうか。」
との結論に至ったのが印象的でした。
その2階の一室は元々、
床が少し傾いているため、普段は使用せず、
物置代わりに使っていた部屋だったのです。
その部屋で、誰が
火災報知器の紐を引っ張っていたのでしょうか。
(鳥人間)