怪・その29
「お地蔵さまの祠」
うちの町内にある古い公園には、
お地蔵さまがいらっしゃる。
3日に1回、1軒の割合で、
祠のお掃除当番が回ってくる。
先日、久しぶりにお当番が回ってきた。
仕事から帰って、
日が暮れる前の19時ごろ、公園に向かった。
近頃はこの辺りも高齢化が進み、
公園で遊んでいる子どもはいないし、
道中すれ違う人もほとんどない。
さて。
と祠の前に立った途端、
パタパタパタパタっと
祠を半周するような小さな足音がした。
まるで縁側を駆ける子どものような、
いや、それよりも軽い足音。
えーー? 誰か走った?
滅多に人が来なくなった公園に、
誰か来たから走っちゃった?
などと考えながら、
お供えの湯呑みのお水を替え、
そそくさと公園を後にした。
(ついて来ないでと強めに念じながら帰宅)