第12回 マイルスとモンクがケンカした!?

高平 この『SOLO MONK』の
いちばんはじめの「ダイナー」って曲ね、
これが、有名なんだよね。

エノケンも歌ってるし、ディック・ミネも歌ってる。
 
THELONIOUS MONK『SOLO MONK』
THELONIOUS MONK『Solo Monk』
Columbia/sony
── ジャケットも、いいですねぇ。
高平 ああ、それは
ポール・デイヴィスって人のイラスト。

まぁ、ほかにも
『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』とかさ、
『ブルー・モンク』とかさ、
いろいろあるんだけど、モンクには‥‥
 
── ええ。
高平 なかったんだよな、今日。
── ああ、たまたま、在庫が(笑)。
高平 だから、これでモンクが気に入ったら、
そういう、ほかのアルバムも
聴いてみたらいいんじゃないかと思うけど。

で、『クール・ストラッティン』。
 
SONNY CLARK『COOL STRUTTIN'』
SONNY CLARK『COOL STRUTTIN'』
Blue Note
── もしかして、このジャケットって、有名ですか?
なんだか、見たことあるような気が‥‥。
高平 うん、ジャケットのよさでも知られてるよね。
もちろん内容も素晴らしいけど。

もっとも、当時のオリジナルは
もっとジャケットの色がグレイ調だったんだ。

1960年代当時のジャズ喫茶で
もうほんと、いっつもかかってたくらいの
名盤というか、定番の一枚だよ、これは。
 
── ええ、なるほど。
高平 で、これと同じ時期に流行ったのが、
カーティス・フラーの『ブルース・エット』。
 
Curtis Fuller『BLUESette』
CURTIS FULLER『BLUES ette』
コロムビアミュージックエンタテインメント
高平 これ、おもしろかったのはさ、
オビに「HIGH FIDELITY」って書いてあるでしょ?
── つまり「ハイファイ」ですね。
高平 1960年代当時、
すこーしジャズを知ったかぶり風の
あんちゃんがさ、ジャズ喫茶に来てさ‥‥。
── ええ、ええ。
高平 「カーティス・フラーの
 ハイ・フィデリティ、かけてくれる?」って(笑)。
 
── オビのその文字が大きいから、
タイトルっぽく見えなくもないですが(笑)。
高平 でも、何だかよくわからない
このジャケットも、いいでしょう?

なかでも有名なのは
1曲めの「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」。

日本では、1980年代の
「アリナミン」の広告で有名になったんだよね。
── じゃ、聴けばわかるかもしれないですね。
高平 うん、わかると思うよ‥‥たぶん。

つぎは、ピアニストのバド・パウエル。
これは「よくまぁ、そんなに指が動くねぇ」って人。
 
BUD POWELL『SCENE CHANGES』
BUD POWELL『the scene changes』
Blue Note
高平 このなかの
「Cleopatra's Dream」(クレオパトラの夢)
という曲も、有名なんだ。
1960年代当時、
しょっちゅうジャズ喫茶でかかってた。
── いまさらなんですけど、
「ジャズ喫茶でよくかかってたアルバム」という
セレクトのしかたっていうのは‥‥。
高平 このまえも言ったけど、
当時はジャズがキラキラしてたんだよね。

ジャズ喫茶だって
そこらじゅうにあったわけでさ。

だから、その時代によく聴いたものっていうのは、
やっぱりいまだに、名盤として残ってるし。
── 比較的、手に入れやすかったりとか?
高平 今日、挙げていくアルバムは
レコード屋にいけば、だいたいあると思うよ。

で、またマイルスなんだけど『バグス・グルーブ』。
これも、はずせないかなぁ。
 
MILES DAVIS『Bags Groove』
MILES DAVIS『Bags Groove』
ユニバーサル
権利者の許可を得ずに複製することを禁じます。
高平 マイルスとモンクがケンカしてるって
ウワサがあるんだよね、これ。
── え、ケンカですか?
<続きます>
 
今回、高平哲郎さんにお聞きした
おすすめCD取材のようすは、
HMVさんの特設ページでも
HMVバージョンとして掲載されています。
「ほぼ日」バージョンとは
またちがった編集をしておりますので、
どうぞ読みくらべてみてくださいね。
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2007-11-21-WED