糸井 |
任天堂って、会社説明会を
社長の岩田さん自身がやってるんです。 |
河野 |
それは素晴らしいですね。 |
糸井 |
新卒の学生さんの前で、
岩田さんが2時間くらい話すんです。
みんな、本当に行ってよかったと
感動するらしいですね。 |
河野 |
それは、そうでしょうね‥‥。 |
糸井 |
そのくらい、他社との違いを
会社のほうから、
プレゼンテーションしてるわけです。 |
河野 |
グローバル企業になった今でも
そうし続けているというのは
本当に素晴らしいことだと思いますね。 |
糸井 |
会社って、そんなふうに
きちんとやっていれば、
きちんと褒めてもらえるんですね。
逆に、手を抜くと必ずバレると思う。 |
河野 |
バレますね。 |
糸井 |
そうですよね。 |
河野 |
そこは、学生に対する
企業側の礼儀なんですよ。
そこまで礼儀を尽くされたら、
応募した側も、
きちんと礼儀をわきまえて、
その会社で何をしたいのか
しっかり考えて行くだろうし、
そういう人材が
採用されていくことになるでしょうね。
そこに、いい循環が生まれる。
|
糸井 |
そういう「いい循環」の方向に
世のなかは向かってると思いますか? |
河野 |
人材を紹介さし上げている
僕が言うのも変な話ですけど、
まず「顔の見えない大量採用」を
やり続けるというのは、
すべてを壊すと思います。 |
糸井 |
大量に採用しなきゃならないような
事業計画が、
まず前提としてあるわけですよね。 |
河野 |
そうですね。 |
糸井 |
企業の経営理念からして、そうなってる。 |
河野 |
でも、重要な分かれ道は
その企業が
人材を「コスト」とみているのか、
それとも「価値」とみているのか、
という点だと思います。
任天堂の岩田さんの場合は
人を「価値」とみているからこそ、
ご自身で会社説明会を
やっているんだと思うんです。 |
糸井 |
小さくても、そういう会社に
もっと学生が興味を感じるようになったら、
もっとおもしろくなるだろうなぁ。
|
河野 |
そうですね。 |
糸井 |
だから、企業側には、
学生さんに
他の会社よりも、自分の会社のほうが
こんなに魅力的なんだということを
わかってもらえるような
プレゼンテーションが必要になる。 |
河野 |
ええ。
ですから本当は
おもしろいと思えたなら
会社の規模の大小なんて
たいして関係ないはずなんですよ。 |
糸井 |
それは、いわゆるIR、
つまり株主に向けたのものじゃなく、
もっと「何をやってるのか」という部分で
見せていかなきゃダメなわけで。 |
河野 |
規模は大きくないけれども
自分の大切にしてきたことを
共有できる会社。
企業側も学生側も
お互いが、うまく出会えるように
やり方を変えていく必要があるでしょう。 |
糸井 |
逆に、これから社会に出て行く
人たちに関して言うと
ひとつのヒントになりそうなのは、
いつまでもおもしろいのって
ずっとフリーの感覚でやってきた人だぞ、
ということですね。 |
河野 |
それは‥‥。 |
糸井 |
やっぱりそういう人たちって、
ある種の危機感を
つねに持ってるし、
自由というもの意味を
わかっていたりするんですね。
そういう人って、話をしてると
歳をとっても
いつまでもおもしろいし、
いつまでも伸びていきますよね。 |
河野 |
なるほど。 |
糸井 |
だから会社員だったとしても
「擬似フリー」の意識でいられたら、
ずっと頭のなかが
くるくる回ってくんだと思うんです。 |
河野 |
ほう、ほう。 |
糸井 |
そして、
会社という組織のなかで、
そういう仕組みを
作れるようになっていくのが、
これからの時代ですよ。 |
河野 |
なるほど。
採用する側の意見として
学生さんに考えてほしいのは、
くりかえしになりますけど
本当に自分が大切にしてるものを
振り返ってみましたか、ということ。
これから面接に臨む学生さんたちには
何にドキドキしたり、
ワクワクしたりしたきたのか、
もう1回きちんと考えてほしいですね。 |
糸井 |
やっぱり、
人って人がいちばん好きですから。 |
河野 |
はい、人です。
結局、そうなんですよね。
この会社で、働きたいかどうか。
この人と一緒に、働きたいかどうか。 |
糸井 |
最後はやっぱり、そこなんでしょうね。
|
<終わります> |
2007-04-12-THU |