「ほぼ日」の就職論。

面接試験の「本当の」対策。



就職するって、どういうこと?
「面接試験の傾向と対策とつまらなさ」と題した
ある日の「ダーリンコラム」に、
たくさんのメールを頂きました。
就職って、働くことって、なんなのか。
みんなやっぱり、気になってるんですね。
そこで「ほぼ日」では、あらためて
「就職」について考えてみることにします。
これから、さまざまな職業・肩書きの人たちが
登場してくる、「ほぼ日」なりの就職特集。
まずは、人材紹介会社「KIZUNAパートナーズ」の
代表取締役社長・河野晴樹さんと糸井重里の
「就職」対談から、スタートします!

第1回働き方が、変わりつつある?

糸井 いま、仕事のしかたが
変わりつつありますよね。
もっというと、変わらないとダメだとも
思っているんです。
河野 はい。
糸井 たとえば、糸井重里事務所が
欲しい人材をつきつめていったら、
それは社会全体が欲しい人材、
ということにもなるだろうし‥‥。
河野 そうですね。
糸井 以前「ダーリンコラム」
面接試験の傾向と対策とつまらなさ、
というテーマで文章を書いたら、
読者からすごく反響があったんですよね。

そこで、僕のまわりで
いちばんの「人材オタク」である(笑)‥‥。
河野 オタクです(笑)。
糸井 河野さんの話を、
あらためて聞いてみたいなと。

「職」というものを知ってるけど、
巷で言われているようなもんじゃないよ、
というような話をね。
河野 糸井さんがやってきたことのひとつは、
こんなにいいものがあるけど、知ってる?
ということだと思うんですよ。

糸井 はい。
河野 それは「会社」というものについても
言えることだと思うんです。

世のなかには知られてないけど
すごくおもしろいことを
やっている会社って
本当にたくさんありますから。
糸井 小泉元総理が見学に行った
極細の注射針をつくってるような会社とか、
小さくてもおもしろい企業って
探せばたくさん出てくるんですよね。
河野 ええ、たくさんあります。
でも、普通に就職活動をしている
学生さんたちにとって
そういうおもしろい会社を
見つけ出すのは、やはり難しいんです。
糸井 ようするに、小さくてもおもしろくて
自分のやりたいことができる会社が
どこにあるのか分からない、と。
河野 知っている会社にしか応募できないから、
それを積み上げていったら
50社、60社になっちゃって、
結局ひとつも内定もらえませんでした、
ということが起きているんだと思うんです。

どんなにおもしろい会社があっても
その「品物」を知らないから、
「流通」が始まらないんですよね。
糸井 自分のまわりのことで考えると、
たとえば、糸井事務所が
人を採用できるようになって、
みんなウチに来ればいいのに、って。
河野 おお、すばらしい(笑)。
糸井 いや、すごい発言だと
思われるかもしれませんけど、
ウチの会社って
社員ひとりひとりが
自分で決裁しているんです。

そうすると、それぞれが
会社の全体を見通せるようになってくる。
河野 そうですよね。
糸井 自分のうえのほうに
なにか違うルールがある、
なんて思って仕事をしているあいだは
やっぱり、苦しいんですよ。

ウチの会社のやつらが
おもしろがって仕事してるのって、
結局、自己決裁してるからなんですね。
河野 ああ、よくわかります。
糸井 「糸井さんに聞いてみないとね」って
口では、言ってますけどね。
河野 決めてやがる、と(笑)。
糸井 アイディアに詰まったり
本当に困ったとき
僕のところに来るわけで、
決裁は自分たちでやっているんです。

だから、結局のところ
フリーで仕事している部分と、
チームで仕事してる部分、
その両方をやっているような感じ。

そういう仕組みを作ってしまったら、
社員が持っている能力って
結構フル回転できちゃうんですね。
そして、そのほうが
会社全体としてもありがたいでしょう。
河野 うん、うん。
糸井 僕がめんどくさがりだったから
そういう仕組みにしたんですけどね(笑)。

でも、面接対策のこともそうなんですが、
そうやって「働きかた」が変わりつつある
変化のスピードに、
古い考えかたの人たちが
どうもついていっていないんじゃないか、
という気分は、ずっとあったんですよね。

そこで「ダーリンコラム」に書いたら、
「自分もおかしいと思ってた」ってメールが
たくさん来たんですよ。
河野 おかしいと思っていても
確かめようがなかったんでしょうね。
糸井 学生が社会人の先輩に聞いても
「入社試験なんて我慢だよ」とか
言われちゃうわけです。
河野 「でも入っちゃったら楽だから」なんて。
糸井 大学入試で言われてたことと
同じなんですよね。

「受験なんてものは、理不尽だ。
 でもそれに耐えたヤツだけが楽しめる」と。
河野 確かにそうですね。
糸井 でも、
「そうは言っても、糸井さん。
 あなたそんな立場にいないから
 自由にやったらいいじゃないか、
 なんて言うけど、つまんなくても
 面接の対策やっとかなきゃ
 試験に受からないじゃないですか」
という意見も、もちろんあるわけです。
河野 そうでしょうね。
糸井 だから、河野さんに聞きたいんです。
僕の考え、間違ってますか?


<続きます>
2007-04-06-FRI
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