- ジョージ
- まずは、海外ドラマうんぬんの話の前に、
「Hulu」の話をしたほうが
いいんじゃないかしら?
- ほぼ日
- そうですね、最近登場した
「Hulu」などの動画サービスについては
きっと知らないかたもいると思うので。
- ジョージ
- ボク自身は「Hulu」の登場で、
海外ドラマの見方がずいぶん変わったんですね。
見放題で、わざわざ返しに行かなくてもいいから、
すっごく気がるに見るようになったんです。
- ほぼ日
- たしか、ジョージさんは
これまでもずいぶん多くの海外ドラマを
見られてましたよね?
- ジョージ
- ボク、海外ドラマは前から好きで、
たびたびレンタルDVDを借りてきては
見てたのね。
でも、昔に比べていまは、
ずっと気がるに見るようになりました。
もうレンタル行かなくなったもん。
- ほぼ日
- レンタルビデオ屋さんって、いま、
「レンタル100円」とかだったりしますもんね。
この、動画サービスが賑わっている状況も
影響してるんでしょうか。
- 杉本
- いまの状況、もともとDVDのパッケージ制作を
担当していた者としては
言いたいことがいっぱいあるんですが(笑)、
おそらくこれから海外ドラマの視聴方法は
完全に
「定額制方式(サブスクリプション方式)」に
移ると思います。
昔は定額制の動画配信サービスって、
「古い作品をたくさん見られる」
のが特徴だったんですが、
いまは新しい作品もどんどん配信されてますから。
- ほぼ日
- 配信サービスには、
1本いくらで買ったり借りたりするタイプの
「iTunesでの動画配信」もありますよね。
あれは、どうなんでしょう?
- 原園
- iTunesの魅力は「速さ」だと思いますね。
このあいだやってた映画が見られるんです。
- ジョージ
- iTunesはボク、見たい作品をよく
「ウィッシュリスト(お気に入りリスト)」に
登録してるのね。
ただボクの場合、実際に買うに至る作品は
そんなに多くない、
というのが正直なところかしら。
- 杉本
- そういえば最近「Hulu」でも
TVドラマだけではなく、
映画がずいぶん増えてますよね。
- 原園
- 実はいま、すこしずつ
映画の配信も増やしているんです。
- ジョージ
- あぁ、だけどボク、
「Hulu」で映画が見れるのは知ってるけど、
映画はそんなに見ないかな。
TVドラマばっかり見ちゃってる。
- 杉本
- 実はぼくもそうだったんです。
ただ、最近テレビを買い換えたんですが、
テレビ画面が大きくなったら、
急に、映画を見るようになりました。
- ほぼ日
- たしかに「画面の大きさ」って、
映画を見るときには
重要なポイントかもしれないですね。
先日『ゼロ・グラビティ』をテレビで見たら、
ちょっと迫力がなかったです(笑)。
- 杉本
- それはそうかも。
やっぱり『インターステラー』とかは
劇場で爆音で見たほうが。
- ジョージ
- それはそうよね。
- 原園
- でも逆に、海外ドラマというのは、
「家のテレビでいちばん見やすいように」
撮られていると思うんですよ。
- ほぼ日
- あ、そうなんですか?
- 原園
- 実は先日、
『ブレイキング・バッド』の最終話を
映画館のスクリーンで見るというイベントに
参加させてもらったんです。
そしたら迫力はすごかったんですが、
画面全体を追えないんですね。
字幕を見ようとすると、つい下だけ見ちゃいますし。
だからそのとき
「やっぱりこれは、家のテレビサイズを想定して
撮られてる作品なんだ」と感じました。
- 杉本
- それはあると思いますね。
「テレビの画角に合わせて作品を撮る」とかって、
昔から、普通にされてきてますし。
- 原園
- あと、おそらく演出にも「映画用」と
「テレビドラマ用」があると思うんです。
かなり前のことですが、劇場に
映画の『Shall we ダンス?』を見に出かけて、
おもしろかったから、もういちど見に行ったんです。
そして
「今回は竹中直人さんだけ追いかけよう」
と見てたら、
あの人、隅のほうで、
1回目にはまったく気づかなかった変なことを
たくさんしてたんです。
そのとき「あ、これは映画の演出だなぁ」と思いました。
- ジョージ
- たしかに海外ドラマって、
いろんな人が画面のあちこちで演じるドラマって
ぜんぜんないですもんね。
- 原園
- わりと画面の真ん中のほうで演技しますし、
使われるシチュエーションも
そんなに多くないですよね。
あと、映像の中で伏線が張られることもあるけど、
そういうのは誰が見てもわかるようになってたり、
もしくは気づかなくても、
気持ち良く見ていけるようになってる。
- ほぼ日
- そういうの、海外ドラマって
「ほんとにいろんな人が見るものだから」
というのもあるんでしょうね。
- 杉山
- それはあるでしょうね。
- ほぼ日
- ちなみにいまって
「第3次海外ドラマブーム」と
呼ばれてるんですよね?
- 原園
- はい。いま、すごくおもしろいときですよ。
名作と呼ばれる作品が、どんどん出てきてるんです。
たとえばさきほど名前の出た
『ブレイキング・バッド』や
『ハウス・オブ・カード 野望の階段』、
『ウォーキング・デッド』とかですね。
- ほぼ日
- 「第1次海外ドラマブーム」と
「第2次海外ドラマブーム」というのは
それぞれいつごろなんですか?
- 杉本
- 第1次は1990年代はじめ頃の
『ビバリーヒルズ青春白書』とか、
『フレンズ』『フルハウス』などの時代ですね。
- ほぼ日
- あ、その頃ですか。
- ジョージ
- やだ、『奥さまは魔女』とか『名犬ラッシー』とか、
『宇宙家族ロビンソン』とかの時代じゃないの?
『刑事コロンボ』や『大草原の小さな家』、
『チャーリーズ・エンジェル』でもなくって?
- 杉本
- すみません、ないんです(笑)。
そして第2次ブームが、
『24(トゥエンティフォー)』からはじまって、
『プリズン・ブレイク』『ヒーローズ』『ロスト』。
- ジョージ
- 『フリンジ』も?
- 杉本
- あ、『フリンジ』は
だいぶブームが下火になったころかもです。
- ジョージ
- そうなんだ、おもしろかったけどね。
- ほぼ日
- そして、第3次ブームが現在、と。
いまは「Hulu」のようなサービスもあるし、
きっと、そうしたことも込みで
盛り上がってるんですよね。
- 杉本
- それはそうだと思いますね。
かなり盛り上がってます。
そういえば、ニュースで見たのですが
2014年、特に稼いだドラマ俳優のひとりが
『NCIS』のエージェント・ギブス
(マーク・ハーモン)で、
1話につき5700万円貰うんだそうです。
- ほぼ日
- そんなに、ですか。
- 杉本
- 『NCIS』はアメリカのCBSというテレビ局で、
ずーっと視聴率ナンバーワンの番組ですから。
アメリカではテレビドラマの位置って
以前とくらべると、すごく変わってきてるんです。
- 原園
- 昔の感覚だと、やっぱり映画に
行きたいですもんね。
でもいま、映画からテレビに来てる。
- ジョージ
- だけど前って、ぜんぜん違ったのよ?
ジョージ・クルーニーだって、
もとはテレビ俳優だったのが、それを捨てて、
映画俳優になったくらいなんだから。
彼は『ER』に出てたほうが稼げたはずだけど、
それでも映画を選んだってわけ。
- ほぼ日
- 「テレビより映画のほうが格が上」みたいな
昔からの価値観が変わったのは、
いつごろなんでしょうか。
- 杉本
- たぶん、HBO(アメリカのケーブルテレビ放送局)が
たくさんドラマを作りはじめた頃じゃないかと思います。
『ザ・ソプラノズ』のような、
予算が大きくて、かつ「Fワード」
(非常に下品とされる「ファック」やその関連語のこと。
英語圏では公の場で使ってはいけないとされている)
などの言葉をいっぱい使いまくった
ケーブルテレビ向けの作品がいろいろ作られて、
視聴者がケーブルテレビに
一気に入ったのが、大きい気がします。
(つづきます。)
2015-06-10-WED