episode2. 海外ドラマは家のテレビで見るのがベスト?!
ジョージ
まずは、海外ドラマうんぬんの話の前に、
「Hulu」の話をしたほうが
いいんじゃないかしら?
ほぼ日
そうですね、最近登場した
「Hulu」などの動画サービスについては
きっと知らないかたもいると思うので。
Hulu(フールー) 

「1ヶ月933円(税別)で海外ドラマや映画が見放題」の
オンライン動画配信サービス。
テレビ、パソコン、スマートフォン、
ゲーム機(WiiやWiiU、PlayStation3ほか)
などを使って、
2万本以上ある海外ドラマや映画を
好きなときに好きなだけ見ることができる。
日本では2011年にサービスを開始。
2015年3月に国内ユーザーが100万人を突破した。

そのほかの、日本で海外ドラマを見られる
動画配信サービスとしては「dビデオ」
「楽天SHOWTIME」「U-NEXT」などがある。
ジョージ
ボク自身は「Hulu」の登場で、
海外ドラマの見方がずいぶん変わったんですね。
見放題で、わざわざ返しに行かなくてもいいから、
すっごく気がるに見るようになったんです。
ほぼ日
たしか、ジョージさんは
これまでもずいぶん多くの海外ドラマを
見られてましたよね?
ジョージ
ボク、海外ドラマは前から好きで、
たびたびレンタルDVDを借りてきては
見てたのね。
でも、昔に比べていまは、
ずっと気がるに見るようになりました。
もうレンタル行かなくなったもん。
ほぼ日
レンタルビデオ屋さんって、いま、
「レンタル100円」とかだったりしますもんね。
この、動画サービスが賑わっている状況も
影響してるんでしょうか。
杉本
いまの状況、もともとDVDのパッケージ制作を
担当していた者としては
言いたいことがいっぱいあるんですが(笑)、
おそらくこれから海外ドラマの視聴方法は
完全に
「定額制方式(サブスクリプション方式)」に
移ると思います。
昔は定額制の動画配信サービスって、
「古い作品をたくさん見られる」
のが特徴だったんですが、
いまは新しい作品もどんどん配信されてますから。
ほぼ日
配信サービスには、
1本いくらで買ったり借りたりするタイプの
「iTunesでの動画配信」もありますよね。
あれは、どうなんでしょう?
iTunesでの動画配信

海外ドラマや映画は、iTunesでも見ることができる。
定額制の見放題ではなく、
1本いくら、というかたちで購入して見るスタイル。
(2015年5月現在)
原園
iTunesの魅力は「速さ」だと思いますね。
このあいだやってた映画が見られるんです。
ジョージ
iTunesはボク、見たい作品をよく
「ウィッシュリスト(お気に入りリスト)」に
登録してるのね。
ただボクの場合、実際に買うに至る作品は
そんなに多くない、
というのが正直なところかしら。
杉本
そういえば最近「Hulu」でも
TVドラマだけではなく、
映画がずいぶん増えてますよね。
原園
実はいま、すこしずつ
映画の配信も増やしているんです。
ジョージ
あぁ、だけどボク、
「Hulu」で映画が見れるのは知ってるけど、
映画はそんなに見ないかな。
TVドラマばっかり見ちゃってる。
杉本
実はぼくもそうだったんです。
ただ、最近テレビを買い換えたんですが、
テレビ画面が大きくなったら、
急に、映画を見るようになりました。

ほぼ日
たしかに「画面の大きさ」って、
映画を見るときには
重要なポイントかもしれないですね。
先日『ゼロ・グラビティ』をテレビで見たら、
ちょっと迫力がなかったです(笑)。
杉本
それはそうかも。
やっぱり『インターステラー』とかは
劇場で爆音で見たほうが。
ジョージ
それはそうよね。
原園
でも逆に、海外ドラマというのは、
「家のテレビでいちばん見やすいように」
撮られていると思うんですよ。
ほぼ日
あ、そうなんですか?
原園
実は先日、
『ブレイキング・バッド』の最終話を
映画館のスクリーンで見るというイベントに
参加させてもらったんです。
そしたら迫力はすごかったんですが、
画面全体を追えないんですね。
字幕を見ようとすると、つい下だけ見ちゃいますし。
だからそのとき
「やっぱりこれは、家のテレビサイズを想定して
 撮られてる作品なんだ」と感じました。
杉本
それはあると思いますね。
「テレビの画角に合わせて作品を撮る」とかって、
昔から、普通にされてきてますし。
原園
あと、おそらく演出にも「映画用」と
「テレビドラマ用」があると思うんです。
かなり前のことですが、劇場に
映画の『Shall we ダンス?』を見に出かけて、
おもしろかったから、もういちど見に行ったんです。
そして
「今回は竹中直人さんだけ追いかけよう」
と見てたら、
あの人、隅のほうで、
1回目にはまったく気づかなかった変なことを
たくさんしてたんです。
そのとき「あ、これは映画の演出だなぁ」と思いました。
ジョージ
たしかに海外ドラマって、
いろんな人が画面のあちこちで演じるドラマって
ぜんぜんないですもんね。
原園
わりと画面の真ん中のほうで演技しますし、
使われるシチュエーションも
そんなに多くないですよね。
あと、映像の中で伏線が張られることもあるけど、
そういうのは誰が見てもわかるようになってたり、
もしくは気づかなくても、
気持ち良く見ていけるようになってる。
ほぼ日
そういうの、海外ドラマって
「ほんとにいろんな人が見るものだから」
というのもあるんでしょうね。
杉山
それはあるでしょうね。
ほぼ日
ちなみにいまって
「第3次海外ドラマブーム」と
呼ばれてるんですよね?
原園
はい。いま、すごくおもしろいときですよ。
名作と呼ばれる作品が、どんどん出てきてるんです。
たとえばさきほど名前の出た
『ブレイキング・バッド』や
『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

『ウォーキング・デッド』とかですね。
ウォーキング・デッド(2010-現在。シーズン5が最新)

保安官のリックは、逃走犯を追跡中に銃で撃たれ、
昏睡状態に陥ってしまう。
彼が病院で目を覚ますと、
世界は生ける屍の「ウォーカー」たちが
歩き回るようになっていた。
ウォーカーの不安なく暮らせる安住の地を求めて、
旅を続けるリックたちのグループの動きを描く。
大量に出てくるゾンビたちの
特殊メイクのクオリティーが非常に高いことでも有名。
ほぼ日
「第1次海外ドラマブーム」と
「第2次海外ドラマブーム」というのは
それぞれいつごろなんですか?
杉本
第1次は1990年代はじめ頃の
『ビバリーヒルズ青春白書』とか、
『フレンズ』『フルハウス』などの時代ですね。
ほぼ日
あ、その頃ですか。
ウォーキング・デッド (2010-現在。シーズン5が最新)

保安官のリックは、逃走犯を追跡中に銃で撃たれ、
昏睡状態に陥ってしまう。
彼が病院で目を覚ますと、
世界は生ける屍の「ウォーカー」たちが
歩き回るようになっていた。
ウォーカーの不安なく暮らせる安住の地を求めて、
旅を続けるリックたちのグループの動きを描く。
大量に出てくるゾンビたちの
特殊メイクのクオリティーが非常に高いことでも有名。
フレンズ(1994-2004、全10シーズン)

ニューヨーク・マンハッタンを舞台に、
同じアパートに暮らす6人の男女が繰り広げる
シットコム(シチュエーションコメディ)。
それぞれの友情や恋愛、仕事や家族の問題などが、
毎回笑いあり、涙ありで語られる。
アメリカで最もヒットしたシットコムのひとつで
最終回の視聴者数は5250万人以上。
また、会話がアメリカ人の日常会話に近いため、
日本では「英会話の勉強に役立つドラマ」として
語られることも多い。
フルハウス(1987-1995、全8シーズン)

妻を事故で亡くしたダニーが、
義弟のジェシーと親友ジョーイに助けられながら
3人の娘の子育てに奮闘するシットコム。
家族の絆や友情がテーマになっているほか、
児童虐待、喫煙、飲酒、性、死などの問題を扱う
エピソードもある。
出演者同士の仲がとても良いことでも有名。
ジョージ
やだ、『奥さまは魔女』とか『名犬ラッシー』とか、
『宇宙家族ロビンソン』とかの時代じゃないの?
『刑事コロンボ』や『大草原の小さな家』、
『チャーリーズ・エンジェル』でもなくって?
杉本
すみません、ないんです(笑)。
そして第2次ブームが、
『24(トゥエンティフォー)』からはじまって、
『プリズン・ブレイク』『ヒーローズ』『ロスト』。
ジョージ
『フリンジ』も?
杉本
あ、『フリンジ』は
だいぶブームが下火になったころかもです。
ジョージ
そうなんだ、おもしろかったけどね。
24 TWENTY FOUR(トゥエンティフォー)(2001-2010、全8シーズン)

アメリカの連邦機関であるテロ対策ユニット「CTU」。
そのロサンゼルス支局の捜査官として働く
ジャック・バウアーと、その同僚や家族たちと
テロリストとの戦いを描いた刑事ドラマ。
24時間に起こったことがリアルタイムで進行し、
全シーズンが1エピソード1時間の
全24話で終了するという、革新的な手法がとられている。
第2次海外ドラマブームの火付け役となった。
プリズン・ブレイク(2005-2009、全4シーズン)

濡れ衣によって死刑判決を受けてしまった
兄のリンカーンを救うため、
天才的な頭脳を持つ建築設計士の弟・マイケルは
綿密な計画を立て、自ら銀行強盗を犯し、
兄のいる刑務所に入所する。
鉄壁の監獄からの脱獄のタイムリミットは30日。
アクシデント多発・ピンチ連続のふたりの脱獄と、
その後のFBIや闇の組織からの逃亡人生を描いた、
スリリングなアクションドラマ。
HEROES/ヒーローズ (2006-2010、全4シーズン)

2006年にアメリカで放送がはじまるやいなや
一大ブームを巻き起こしたSFドラマ。
アメリカの各都市や、インド、日本といった
遠く離れたいろんな土地で、人々にとつぜん、
空中飛行、肉体再生、未来予知、時空間移動など
スーパーヒーローのような特殊能力が備わりはじめる。
能力に使命を感じる者、ひた隠しにする者、
自分の能力を悪用する者などさまざまだが、
2008年11月8日に、ニューヨークの半分が吹き飛ぶ
核爆発が起こることが判明し、
世界の危機を救うため、能力者たちが集まり始める。
一度終了したが、ことし(2015年)、
「HEROES REBORN」という名前の
新シリーズの製作が決定している。
LOST/ロスト(2004-2010、全6シーズン)

南国の島に墜落した飛行機、オーシャニック815便。
謎に満ちた無人島で、生存者48人が、
極限状態の中で互いに協力しあいながら
生還を目指すサバイバルストーリー。
島での人々の現在と、飛行機に搭乗するまでの
過去のフラッシュバックを織り交ぜながら語られ、
多種多様な生存者たちの秘められた過去や、
無人島に隠された多くの謎が次第に明らかになっていく。
世界210カ国以上で放映され、
謎が謎を呼ぶ、さきの読めないミステリアスな展開に
多くの人が熱狂し、大ブームになった。
フリンジ(2008-2013、全5シーズン)

犯罪捜査の要素を持つ、SFサスペンスドラマ。
ボストンの空港に自動着陸した国際線旅客機627便で、
乗員・乗客全員の肉体が溶け落ちる奇怪な事件が起き、
国土安全保障省の特捜班
「フリンジ・チーム」が調査に乗り出す。
捜査するにつれ、世界では何者かが
人類を実験台にしているかのような事件が多発し、
今回の事件もその「パターン」の一端とわかる。
チームは、独自の研究をしている科学者ウォルターの
「フリンジサイエンス」を使い事件を捜査していくが、
「パターン」を調査するうちにチームは
予想もしなかった新たな現実を知ることになる。
ほぼ日
そして、第3次ブームが現在、と。
いまは「Hulu」のようなサービスもあるし、
きっと、そうしたことも込みで
盛り上がってるんですよね。
杉本
それはそうだと思いますね。
かなり盛り上がってます。
そういえば、ニュースで見たのですが
2014年、特に稼いだドラマ俳優のひとりが
『NCIS』のエージェント・ギブス
(マーク・ハーモン)で、
1話につき5700万円貰うんだそうです。
ほぼ日
そんなに、ですか。
杉本
『NCIS』はアメリカのCBSというテレビ局で、
ずーっと視聴率ナンバーワンの番組ですから。
アメリカではテレビドラマの位置って
以前とくらべると、すごく変わってきてるんです。
NCIS─ネイビー犯罪捜査班 (2003-現在。シーズン12が最新)

アメリカ海軍やアメリカ海兵隊の将兵が関わる事件を扱う
海軍犯罪捜査局(NCIS)の
ワシントンD.C.本部を舞台にした犯罪捜査ドラマ。
特別捜査官のギブスを筆頭に、チームには
一癖も二癖もある個性豊かなメンバーが揃い、
殺人から諜報活動、テロ、そして潜水艦の遭難まで
世界を股にかけてあらゆる犯罪を捜査してゆく。
高い緊張感でスリリングに展開しながらも、
随所にわたってユーモアが散りばめられており、
長年にわたり高い人気を誇っている。
原園
昔の感覚だと、やっぱり映画に
行きたいですもんね。
でもいま、映画からテレビに来てる。
ジョージ
だけど前って、ぜんぜん違ったのよ?
ジョージ・クルーニーだって、
もとはテレビ俳優だったのが、それを捨てて、
映画俳優になったくらいなんだから。
彼は『ER』に出てたほうが稼げたはずだけど、
それでも映画を選んだってわけ。
ER 緊急救命室(1994-2009、全15シーズン)

シカゴのカウンティ総合病院の救急救命室
(Emergency Room/ER)で働く
医師や看護師の日常をリアルに描いたドラマ。
冷静な判断のできない多忙な医療現場、
医療ミスと訴訟、患者による暴力や脅迫、
さらに法会時点での最新の実験的治療など、
医療に関する考証を綿密に行っており、
本職の医療従事者のあいだでも評価が高い。
生死のドラマが展開するハードな現場の中で、
大勢の登場人物たちが、さまざまな成功、挫折、
恋愛や別れなどを経て、次第に成長していく。
ほぼ日
「テレビより映画のほうが格が上」みたいな
昔からの価値観が変わったのは、
いつごろなんでしょうか。
杉本
たぶん、HBO(アメリカのケーブルテレビ放送局)が
たくさんドラマを作りはじめた頃じゃないかと思います。
『ザ・ソプラノズ』のような、
予算が大きくて、かつ「Fワード」
(非常に下品とされる「ファック」やその関連語のこと。
 英語圏では公の場で使ってはいけないとされている)
などの言葉をいっぱい使いまくった
ケーブルテレビ向けの作品がいろいろ作られて、
視聴者がケーブルテレビに
一気に入ったのが、大きい気がします。
ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア(1999-2007、全6シーズン)

ニュージャージーが縄張りのイタリア系マフィアのボスと、
周囲の人々の人間模様を描いたドラマ。
主人公は、マフィアの仕事と家族のプレッシャーによる
板挟みで心身のバランスを崩してしまい、
周囲に隠れて精神科医のカウンセリングに通う
トニー・ソプラノ。
マフィアをときに生々しく、ときにユーモラスに描き、
多くの暴力描写や過激なセリフ、性描写などにより、
アメリカでは成人指定となった。
(つづきます。)

2015-06-10-WED