第2回 「取っておく」すごさ。
山下
じゃあ、そろそろ具体的に、
展示を振り返っていきましょうか。
やえ
その前に、これのことを。

山下
あ、そうか。これは言っておかないと。
モギ
イヤホンでの音声ガイド。
ほんとに役に立ちました。
シェフ
そっかー、
ぼくらが観たときは博物館のかたが
いろいろお話してくれたけど、
そうだよね、解説がほしいよね。
やえ
もう、イヤホンガイドはおすすめです。
というかマスト、必須かもしれない。
山下
解説してくれる人がいるといないでは、
ぜんぜんちがう展覧会ですよね。
モギ
借りるの、いくらだっけ?
やえ
500円です。
モギ
音声ガイドをつけてなかったら、
スルーしてた展示物もあったよね。
「あ、なるほど」と思いながら観ていけるって
おもしろさがぜんぜんちがう。
山下
こんなふうにセットしてもらって‥‥。

モギ
いざ、参らん!
山下
第一部に入って、
最初に目に飛び込んできたのがこれでした。
錦旗 細川頼有拝領
南北朝時代 
明徳2年(1391年)拝領 
東京 永青文庫蔵
シノダ
錦の旗。
やまかわ
現存するものは、このひとつだけだと‥‥。
シノダ
なんであんなに保存状態がいいのか、
もうミラクル。あれは、ありえない。
モギ
錦の御旗って、
小説とかテレビに出てくるのをみてるけど、
これが、本物か‥‥。
しかも、ひとつしかなかった。
シェフ
うん。
こういうものってどこかで見つかっても
本物かどうかわからないじゃないですか。
でも細川家ってそこがすごいんだけど、
とにかく記録してるんですよね、なんでも。
シノダ
そう。
シェフ
いつ、誰が、何を、誰からもらったとか、
ぜんぶの記録がいっしょにあるので、
間違いなく本物と言えるんだそうです。
やえ
鎌倉時代からですよ、スタートは。
山下
800年‥‥。
モギ
戦国武将の鎧は、やっぱりかっこよかったね。
シノダ
これ、兜の上が山鳥の羽で。
黒糸威二枚胴具足
細川忠興(三斎)所有
安土桃山時代 16世紀
東京 永青文庫蔵
シェフ
博物館のかたは、
「矢が刺さって穴があいてるんですよ」とか、
「自分で繕った跡がある」とおっしゃってた。
やえ
あと、あれですよ、
「兜の上の山鳥の羽は、
 木に引っかかったり矢が飛んできたりで、
 どんどん少なくなっていく。
 だから、この羽がどれだけ少なくなってるかで、
 戦場でどれだけ頑張ったかの証明になる」
というようなお話も。
シノダ
そうそう、そのお話はおもしろかった。
シェフ
織田信長、直筆の手紙もありました。
織田信長自筆感状(与一郎宛)
安土桃山時代 天正5年(1577年)、
東京 永青文庫蔵
東京展での展示期間は2010年5月9日で終了。
モギ
すごいね、達筆。
シノダ
そして、これですよ。
歴史ファンにはきっとたまらない。
明智光秀が、亡くなる三日前に書いた手紙。
 
明智光秀覚書
安土桃山時代 天正10年(1582年)
東京 永青文庫蔵
シノダ
博物館のかたのお話では、
「とにかく助けてくれと書いてある」と。
シェフ
細川家に宛てて「協力してほしい」、
「但馬と若狭を望むならそれでも良い」と。
モギ
「一旦、腹を立てたりもしたが、頼む」
やえ
切羽詰まっている感じが、
胸に来るものありましたねえ。
山下
そして、宮本武蔵。
モギ
武蔵! 『五輪書(ごりんのしょ)』。
五輪書 五巻
江戸時代 17~19世紀、
東京 永青文庫蔵
やえ
ちなみに武蔵直筆の『五輪書』は現存してなくて、
これは写しです。
シェフ
宮本武蔵についてのポイントは、
「細川家にいた」ということですよね。
シノダ
そうそう。
図録にも解説があります(読む)。
「文武両道を尊ぶ細川家の当主忠利からの
 招きに応じ、熊本藩に身を寄せた」
モギ
武蔵というと「剣豪」っていうイメージだけど、
文武両道の人だったんだよね。
山下
だるまの絵とか、描いています。
 
達磨図 宮本武蔵筆
江戸時代 17世紀
東京 永青文庫蔵
シェフ
「武蔵・小次郎」の話が‥‥ね?
やえ
そう! 図録に書いてあった。
「巌流島の決闘」は一対一じゃなかった!
モギ
へ? そうなの?
やえ
宮本武蔵は弟子を連れていってたんです。
武蔵の一撃で小次郎が気絶して、
そこから立ち上がろうとしたところを
弟子が撲殺したという。
モギ
へええーー、弟子がまわりにいたんだ!
シェフ
記録によると、どうもそうらしい。
モギ
ほえーーー。
やまかわ
あの、いいですか?
わたし、これがすごくかわいいと思って。
懐中日記
江戸時代 
宝暦11年(1761)~天明5年(1785)
東京 永青文庫蔵(熊本大学附属図書館寄託)
シノダ
『懐中日記』、これはかわいい!
やえ
細川重賢(しげかた)の日記帳です。
25年に渡って、25冊の日記帳。
やまかわ
1年に1冊で、年ごとにいろんな柄があって。
今年はどんな柄にしようかなーって。
シノダ
「ほぼ日手帳」みたい(笑)。
やまかわ
そう思いながら見ると、
つくづくおもしろいなあと思って。
モギ
わたしはね、第一部では、これ。
富士山登山図 杉谷行直筆
江戸時代 19世紀
東京 永青文庫蔵
※会期中、場面替えがあります。
やえ
あ、「富士登山図鑑」、これは圧巻!
山下
つまりこれは、お殿様から
「富士山の絵を描いてきなさい」
と言われて、描いてきたものなわけですよね。
お抱えの絵師が。
シェフ
そうです。
モギ
「写真を撮ってきて」みたいな?
シェフ
たいへんだよ(笑)。
シノダ
たいへん! 現代だってたいへん!
モギ
だって薄着だぜ? これ。
絶対寒いよ、寒いんだよー。
空気薄いだろうし、わらじだぜ?
山下
登っている途中の絵がこれです。
富士山登山図 杉谷行直筆
江戸時代 19世紀
東京 永青文庫蔵
※会期中、場面替えがあります。
モギ
会場ではさ、巻物みたいになってて、
頂上の絵はくるくる巻かれた中だったでしょ?
見れなかったよね?
山下
うん‥‥あ、図録には頂上の絵が。
富士山登山図 杉谷行直筆
江戸時代 19世紀
東京 永青文庫蔵
※会期中、場面替えがあります。
モギ
すごいよ、ほんと、たいへんだよ。
シノダ
図鑑の大作といえば、これもすごかった。
領内名勝図巻 矢野良勝・衛藤良行筆
江戸時代 寛政5年(1793)
東京 永青文庫蔵(熊本大学附属図書館寄託)
シェフ
あーーー、すごかった!
もちろんこれは、大作の一部分です。
やえ
つなげると400メートルほどになるそうです。
モギ
すげえ‥‥‥‥。
シノダ
自分の国、熊本藩領内の名勝を
きれいに描かせた大作。
いわゆる風景趣味をもつ大名たちの
社交の場で披露されるために制作されたそうです。
山下
‥‥しかし、ほんとにこの、
細川家の人々の「取っておく」というのは
すごいものですね。
シェフ
ねえ、そのすごさですよ、この展覧会は。
モギ
だからさ、やたらさ、
お母さんがしまってる物を
捨てちゃいけないんだよね。
シェフ
それは別です。
山下
デパートの包み紙とかね。
シェフ
それは別です。
(つづきます)
2010-05-25-TUE

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今回の感激団メンバー
darling 山下 やえ
モギ シノダ やまかわ

東京国立博物館 特別展
『細川家の至宝』
-珠玉の永青文庫コレクション-
平成22年(2010)
4月20日~6月6日(日)
くわしくは、こちら

会期:平成22年(2010)4月20日(火)
          ~6月6日(日)
場所:東京国立博物館・平成館
    アクセスはこちら
時間:午前9時半~午後5時 
   金曜日は午後8時まで開館。
   土・日・祝日は午後6時まで。
   いずれも入館は閉館の30分前まで。
   毎週月曜日休館。
観覧料:こちらをご覧ください。



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