第4回 護立さんの審美眼。
シェフ
で、第二部です。
やえ
「美へのまなざしー護立コレクションを中心にー」
シノダ
十六代・細川護立(もりたつ)さんの
収集品が、ズラリと。
シェフ
まずは、白隠(はくいん)という
江戸時代中期の禅僧の、いわゆる禅画から。
虚堂智愚像 白陰慧鶴筆
江戸時代 18世紀
東京 永青文庫蔵
東京展での展示期間は2010年5月9日で終了。
やまかわ
独特ですよねえ。
山下
おもしろかったあ~。
モギ
かわいかったよね。
シェフ
護立さんが白隠を集めはじめたのは
18歳のころからで、
「永青文庫」には白隠の書画が
約300点所蔵されているんだそうです。
やまかわ
300点‥‥。
シノダ
たぶん、世界一ですよね。
シェフ
だれも白隠に目をつけていないころから
集めたから、それだけの収集ができたんでしょう。
モギ
これもかわいかった。
蓮池観音像 白隠慧鶴筆
江戸時代  明和4年(1767)18世紀
東京 永青文庫蔵
山下
おもしろかった!
‥‥こういうのって、
おもしろいと思って鑑賞していいんですか?
シェフ
いいのではないでしょうか。
モギ
うん、だって白隠おもしろいもん。
シェフ
白隠と、あともうひとり、
という人の絵もあって、
これがまた‥‥。
人形売 仙義梵筆
江戸時代 19世紀
東京 永青文庫蔵
東京展での展示期間は2010年5月9日で終了。
山下
しりあがり寿さんの
絵みたいじゃないですか?
シェフ
あーー(笑)、雰囲気がね。
やえ
「安いよ、安いよ」って言ってるんですよね。
シノダ
あと、白隠の「書」も!
シェフ
糸井さんは、
このへんの白隠の書にしびれてた。
白隠慧鶴墨蹟 巌頭全豁語
江戸時代 18世紀
東京 永青文庫蔵
やえ
のびのびしてますよー。
シェフ
こんな自由なやつも。
鉄棒図 白隠慧鶴筆
江戸時代 18世紀
東京 永青文庫蔵
東京展での展示期間は2010年5月9日で終了。
やえ
金棒みたいな。
シノダ
というか金棒そのものですね。
やまかわ
自由ですねー。
シェフ
で、その白隠と仙厓のあとに、刀が。
モギ
初めて見たよ、
この正宗っていうやつをさ。
短刀 無銘正宗(名物包丁正宗)
鎌倉時代 14世紀
東京 永青文庫蔵
山下
これが、正宗‥‥。
モギ
よく出てくるよね、時代劇で。
その現物を見られるとは‥‥。 
シノダ
護立さんが初めて手に入れた刀は、
どれでしたっけ?
やえ
これです。
刀 金象嵌銘 光忠 光徳(花押)
生駒讃岐守所持
鎌倉時代 13世紀
東京 永青文庫蔵
モギ
あー、これだこれ。
シェフ
護立さん、十代のころですよ?
どうしても欲しくて
お母さんからお金を借りて買ったそうです。
やまかわ
あ、その話、音声ガイドで聞きました。
シェフ
最初はお母さん、
「いけません」って言ったんだそうです。
でも、護立さんは体が弱かったので、
お付きの人がかわいそうに思って
「買ってあげてください」って。
シノダ
お母さんに頼んだ。
山下
でも護立さんって長生きしたんですよね?
やえ
はい、長生きです。
シノダ
好きなことをやってると、
長生きできるのかもしれない(笑)。
シェフ
そして、
護立コレクションは近代絵画に。
黒き猫 菱田春草筆
明治43年(1910)
東京 永青文庫蔵
(熊本県立美術館寄託)
東京展での展示期間は2010年5月9日で終了。
シノダ
「黒き猫」。
モギ
猫がふわふわなんだよ、近くでみると。
やえ
これは切手にもなっていますよね。
シェフ
これ以降も、ズラズラ名画です。
やまかわ
教科書でみた絵が。
シノダ
ね、ここにあったのか! と思いましたよ。
山下
これも切手になっている絵です。
髪 小林古径筆
昭和6年(1931年)
東京 永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)
東京展での展示期間は2010年5月9日で終了。
シェフ
小林古径、「髪」。
山下
あと、名前を知ってたのが横山大観。
老子 横山大観筆
大正10年(1921)
熊本県立美術館蔵
やえ
こういう近代日本画を
有名になる前に買っているのがすごい。
シノダ
かと思えば、マチスの絵。
縞ジャケット アンリ・マティス
1914年
東京 石橋財団ブリヂストン美術館蔵
シェフ
セザンヌも。
登り道 ポール・セザンヌ
1867年
東京 永青文庫蔵
やまかわ
ビックリしました。
シェフ
こうきたか、と思いましたよね。
シノダ
そして、そしてですよ、
細川ミラー!
金銀錯狩猟文鏡
中国河南省洛陽金村出土
中国 戦国時代 前4~前3世紀
東京 永青文庫蔵
やえ
あー、細川ミラー。
山下
実はこれがすごいんでしょう?
シノダ
すごいもなにも、国宝です。
これの価値を世の中が誰も知らないときに、
「みたとたんに気に入って」
購入を即決してるんです、護立さんは。
モギ
やっぱり、目がすごいんだ。
シノダ
で、買ってからよくよく調べたら、
もう、今までに類を見ないタイプの鏡だったと。
山下
はぁー。
シノダ
その後これが「細川ミラー」といって、
この種類の鏡の名前になっちゃった。
やまかわ
そうなんですか‥‥。
山下
実はこの展覧会の目玉だったりして。
やえ
目玉ですね。
シェフ
だって、この図録の表紙を見てください。

山下
あ? わー、ほんとだ、表紙になってる。
やまかわ
へぇー。
シェフ
意外と地味に見えるんですよね。
みにいかれるかたは素通りしないように。
やえ
考古の出土物ですからね。
地味にみえても、ものすごいんです。
シノダ
その意味で、びっくらしたのが唐三彩。
三彩宝相華文三足盤
中国 唐時代 7~8世紀
東京 永青文庫蔵
やえ
唐三彩‥‥びっくらしました。
やまかわ
びっくら(笑)。
山下
これもそんなにすごい。
モギ
山ちゃん、裏表紙、裏表紙になってる。
山下
え? ‥‥ああ、ほんとだあ。

やえ
こんなに細やかに
模様が出ている唐三彩は初めて見ました。
山下
あ、そういうものなんだ。
シノダ
ほかの唐三彩って、もっとこう、
ドターッとした感じなんですよ。
これは、保存状態がものすごい。
シェフ
そもそも、中国の唐の時代の
お墓から出てきたようなものですから。
当時のコレクターは買わなかったらしい。
山下
気持ち悪いって?
シェフ
気持ち悪いって。
でも、護立さんは、
「いいものはいいんだ」と言って、買う。
そのあとで美術的な価値が
ワッと高まるんだけど、護立さんは、
「唐三彩だから買ったんじゃない。
 美しいから買ったんです」と。
モギ
ううむ、まさしく、
審美眼っていうやつだよねー。
山下
これの値段はいくらになったんだろう?
というか、ここまでみてきたものは
ひとつひとつ値段はいくらなんでしょう?
‥‥っていうのが品がないですよね、もう(笑)。
モギ
うん。
あなた、目がくもってる(笑)。
(つづきます)
2010-05-27-THU

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今回の感激団メンバー
darling 山下 やえ
モギ シノダ やまかわ

東京国立博物館 特別展
『細川家の至宝』
-珠玉の永青文庫コレクション-
平成22年(2010)
4月20日~6月6日(日)
くわしくは、こちら

会期:平成22年(2010)4月20日(火)
          ~6月6日(日)
場所:東京国立博物館・平成館
    アクセスはこちら
時間:午前9時半~午後5時 
   金曜日は午後8時まで開館。
   土・日・祝日は午後6時まで。
   いずれも入館は閉館の30分前まで。
   毎週月曜日休館。
観覧料:こちらをご覧ください。



細川護煕さんと糸井重里の対談も ぜひ、あわせてお読みください。