糸井 |
僕が旧暦の連載を「やろうぜ」、
と言ったきっかけは、志の輔さんなんですよ。
志の輔さんの落語に旧暦に関する枕があって、
それを聞かせてもらって、思いついたんです。 |
志の輔 |
沖縄の漁師さんは暦にあわせて漁に行くんです。
ところが、暦が旧暦から新暦に変わったもんだから、
もう全然魚がとれない。
でも、そのあとも漁には出続けて、
ある日を境に急にどーっと魚がとれる。
「いけね。
魚には、新暦のことを教えてなかった!」
ってことになるんですよ。 |
近松 |
(笑)
平均すると、旧暦(太陽太陰暦)だと
新暦にあてはめると
約一ヶ月ほど、日付が遅れますからね。 |
糸井 |
そもそも、志の輔さんが、
旧暦に興味をもった理由って
なんでしょうか? |
志の輔 |
満月の日に犯罪が多いとか、
新月の時に出産が多いとか、
聞いたことがあるんですよ。
最初、よくわからなかったんです。
でも、よく考えてみると
「なるほど」と、思うことがあって。
人間の身体にも70%から80%の水分がありますよね。
そんなに水分があるんだから、
満ち潮と引き潮と同じように、
月に引っ張られたり押されたりしてないわけがない、
と思ったんですよ。
そうすると、
月の満ち欠けで、感情の幅や、
体とかも変わってくるのは
当たり前じゃないかな、って。
満月の時なんかに、
それが最高潮になるんじゃないかな?
と、思ったんです。
だとしたら、その満月の夜にライブをやったら、
自分もお客さんも、相当ハイだなあ、って考えて、
それで満月の日に落語をやる
『満月の会』というのを作ったんです。
(笑) |
糸井 |
へ〜〜〜。なるほどね〜〜! |
志の輔 |
そして、調べたら、厄介なことに、
そのはじめようとした年に、
満月の日が13回あることに気がついたんですよ! |
糸井 |
ご自分で? |
志の輔 |
いやいや、自分でというか、事務所のスタッフと。
だって「満月の日、全部押さえろ!」
って言いましたからね。 |
糸井 |
(笑) |
志の輔 |
何で13回も満月があるんだよ。
月に1回で、12回じゃないのかよ、と。 |
糸井 |
いい話だ(笑)。 |
志の輔 |
それで、
「いや、今年は旧暦では1年が13カ月あるんですよ」
「え?」
ということで、わかんなくなっちゃったんですよ。
で調べてみたら、
12カ月、12カ月、13カ月、
12カ月、12カ月、13カ月。
3年に1回は、13カ月があるんだ、
というのを聞いて。
いや、これは「旧暦って面白いなあ」
と、思いましたね。 |
糸井 |
やっぱり自分で追求したところで見つけた、
というのはやっぱり大きいですね。 |
志の輔 |
大きいです、大きいです。 |
糸井 |
知識じゃないですもんね。 |
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志の輔 |
びっくりしましたよ。
ずっとこの生まれてこの方まで、
1年に満月になる日っていうのは
12回だと思ってたんですよ! |
糸井 |
そんなこと、普段考えもしないですねえ。(笑)
旧暦のことといえば、
旧暦と新暦は、ただ1カ月ずれてる、
くらいに思ってるだけだし、
頭の中は、太陽中心になっちゃってますからね。
月は遠くなってしまっていますね。
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