私の母は、途轍もなく犬好きです。
私が高校生の頃、母の念願だった犬を飼いはじめ、
犬好き度合いはますます強くなった気がします。
ある日、我が家の犬と散歩をしていた母は、
脱走中のゴールデンレトリバーに遭遇。
そのゴールデンレトリバーはどうやら、
ろくに世話をしてもらっていなかったらしく、
ストレスがたまりまくって、
我が家の犬に八つ当たり、咬みついてきたそうです。
母も咬みつかれ、当然ながら大ケガ。
近所の方達に助けられ、
救急車を呼んでもらったものの、
「うちの犬を置いていくわけにはいきません!
この子もケガしてるんです!」
と言って聞かない母。
仕方なく、うちの犬も一緒に、
救急車に乗せてもらい、
動物病院へ連れていってもらったそうです。
犬は軽症。母は7針も縫うケガをしていました。
後日、ゴールデンレトリバーの飼い主が
謝罪にやって来て、
「あの犬はもう処分します」
と言ったそうですが、母は大泣きしながら、
「そんなことしないでください。
散歩とか、できるかぎりのお手伝いはしますから、
処分だなんて、絶対に言わないでください。
あの子は何も悪くない」
と、お願いしたそうです。
飼い主さんもあまりの母の勢いに驚いたようで、
ゴールデンレトリバーは処分されず、
飼い主さんはちょくちょく母に
相談しに来るようになり、
すっかり顔なじみみたいになっていて、
私は「なんてお人好しなの!?」と、
半ば呆れていました。
が、母らしいな、とも思いました。
「犬を連れてニコニコしたおばさん」として
母は近所でも有名な犬好きでしたが、
我が家の犬が亡くなり、
散歩からはすっかり縁遠くなっていました。
ですが、数年前から、
被災した犬猫の保護活動をしている団体さんが
ご近所にあり、最年長ボランティアとして、
散歩などのお世話をしに行くようになりました。
我が家で新しい家族を迎えいれることよりも、
「ここの子が最後の一匹まで、
お手伝いさせてもらえたらそれでいい」と言う母。
母の犬への愛は無償のもので、
「悪い犬なんて一匹もいない」と言います。
毎日、犬たちのことで泣き笑いをしている母を見ると、
犬ってすごいな、とつくづく思うのです。
(てつじぃ)
どこの市町村でしょうか。
〈「あの犬はもう処分します」〉
処分って、殺処分ってことですね。
‥‥これは。
(つづきます)
2015-03-24-TUE