リリー |
BJ(リリーさんのマネージャー)が
この間、糸井事務所にお邪魔した時に、
糸井さんが
「こういうのはあんまり褒めちゃダメなんだ。」
『家族解散』を書いた時の自分の経験から
「こういうのをあんまり褒めると、
リリーが照れくさくなるから。
あんまりそんな褒め方をしても。
一回書いたところで
もう終わってるんだし。」
と、おっしゃってたっていうのを聞いて。 |
糸井 |
うん。
それはものすごく言いたいんですよね。 |
リリー |
一度、糸井さんが
「すごい嫌だなあ」
と思いながら書いて、
その照れくささとかを
経験したからなんでしょうね。
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糸井 |
僕はね、リリー・フランキーという人は
小説の器よりも
大きい人だっていうふうに思ってるんです。
これは褒めてるっていうよりか、
法則として言ってるんだけど、
鶴瓶さんが落語を真剣にやんないようにと
俺、思ってるんですよ。
重要なのは鶴瓶の方が落語よりデカい。
つまり、鶴瓶がやる落語っていうのは、
鶴瓶の一部であると。
落語の中にはそれだけを渡しとけばいいんで、
落語と一緒に心中する必要は全然ないと。
リリー・フランキーの小説も
たぶんそうだと思うんですよ(笑)。
リリー・フランキーが、
褒められてるような世界にいる人に
なっちゃったら、
近所でウンコしてる人を
発見できないじゃないですか(笑)。 |
リリー |
インタビューとかでも、
「これからはどうされるつもりですか?」って。
今まで通りでしかないですよね(笑)。
何かこの1冊で
今までの人生が転換なんかするわきゃないし、
本単体として見てもらいたいだけで、
ここが何かの転機のみたいなことになると
すごく困るんです。
「おでんくん」に関しては、
ほんとに読んでください、
見てくださいっていうのに
何の抵抗もないんですよね(笑)。
※NHK教育テレビで毎週金曜日夕方
「天才ビットくん」の中で放映中。
小学館「おでんくん」WEBと
「おでんくん」アニメ公式WEBの
2種類のサイトに加え、
世田谷公園前で
おでん屋台を経営してた時期があった。
(屋台は現在閉鎖中。) |
糸井 |
「おでんくん」は表現として表現したけど、
これは表現になる寸前のものまで入れた方が
表現になると思って書いたものだから、
本人はとにかく
書き終わったんだというところで
俺は楽にしてあげたいですよ(笑)。 |
リリー |
たぶん、この本は今までの
俺の本を読んでくれてた人の半分は
「何だこんなの、こんなの求めてねえよ」
って人がいると思うんですよ。
でもまあ、常に、
僕は天の邪鬼じゃなくて
「そうあるべきだ」
みたいなのがちょっとあって。 |
糸井 |
うんうん。 |
リリー |
このタイミングでほんとに
もう下ネタの集大成みたいなのを今出したら、
それはサービス満点なんだと思うんですよ。
サービス精神で、
会った時にたくさんサインをするとか
そういうのはあるけど、
その人たちを満足させるために
当て込んでものを作ってたら
自分で飽きちゃうっていうか
そういう抵抗を繰り返して
おでん君をやったりしてるうちに、
すごく平凡なものをやることが
一番抗ってる俺の感じであるとか。
今までと違って1あったことを
どれだけ10おもしろくするか
っていうことだけど、
1を1のまま書くストレスっていうか
そうしていかないと
なるべくケレンを持たないようにしないと、
自分で嫌になるっていうか、
そういうやり方をしないときつい。
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糸井 |
それはだけどさ、
今までプロレスを
さんざんやってきてるわけだからさ、
疲れるでしょう。 |
リリー |
それまでプロレスやってたのが
急に今、プライドやってるみたいな
ものですからね。 |
糸井 |
おおーっ。 |
リリー |
だからプロレスに
普通に戻るって感じですからね。 |
糸井 |
いやまあ、
おもしろい経験をしたってことなのかなあ。 |
リリー |
俺の思いの中に
今まではすごい対象と
距離をとってたんだけど、
今回1回ちょっと丸出しで出たのも、
ボビーがK-1に出た
みたいなことなのかもしれないです(笑)。
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糸井 |
ああ。あれはやっぱり
おもしろかったもんねえ。
「ボビー、
どこまで持たせるつもりだろうな」
って思ったね(笑)。 |
リリー |
あははは。
俺、あの後ボビーは
K-1は常に参戦するのかと思った。
でも、普通にテレビタレントに戻った(笑)。 |
糸井 |
(真似して)ジョーダンジャネエヨ。
マジカヨ。
あれが今だと思うんですよね。
もう即断ってたよね。 |
リリー |
(笑) |
糸井 |
コロスキカヨってのもあったよね。
いや、あれはほんと拍手喝采だなあ。
二度と出ないことが最高の価値ですよね。
(つづきます!)
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