糸井 |
やっぱり、
テレビの話はおもしろいなぁ。
ぼく、最近また、
テレビを見ることを
おもしろがりはじめているんです。 |
土屋 |
糸井さんが、「ほぼ日」で
こないだおもしろいと書かれていた
フジテレビの『あかるいニュース』は、
残念ながら視聴率が悪いですよね、いま。 |
糸井 |
それは、案の定、そうですね……。 |
土屋 |
ぼくは、
まだ見てないんですけど、
まわりからおもしろいという
評判を聞くんですよね。それで
「また、
いい番組が終わっちゃうのかな?」
とは思うんです。 |
糸井 |
三宅さんは、
『あかるいニュース』は見ていますか? |
三宅 |
はい、こないだ。 |
糸井 |
あれ、ぼくにとっては、
おもしろいんです。
視聴率は悪そうだけど、作る側が
「これは好きなんだ!」
という感じで作っているので、
期待していたんです。 |
三宅 |
中身はいいなと感じました。
ただ、ぼくは、
『あかるいニュース』という
タイトルがよくないなと思いました。
直球だから。 |
糸井 |
なるほど! |
三宅 |
これも大将に教わったんですけど、
「逆」にすべきです。
例えば
『暗くないニュース』とするだとか……
そのあたりを、どう伝えるかだと思うんです。
『あかるいニュース』
というタイトルで、
そのまま、あかるいニュースを
扱ってはいけないでしょう、と。
「おもしろい話なんですけど」
と芸人を紹介してしまうと
つまらないでしょう?
「おもしろいかどうかわからないけど、
ちょっと見てくれませんか」
と謙虚なところがあるほうが、
おもしろがってくれますもんね。 |
糸井 |
「いい番組らしさ」
がありすぎるんですか。 |
三宅 |
正論は正論であっていいんですけど、
それをずっと聞かされると
イヤになっちゃうところがあるから。
あの番組は、そこの
持っていきかただけだろうな、
とは思いました。 |
糸井 |
なるほどなぁ。
確かに、番組の説明を聞いたときに、
「世の中、
暗いニュースばかりじゃないですか。
それはイヤですよね?」
そのとおりだとは思ったんですが、
今はそういうことは前提だから、
話しあう必要はないとも言えるんです。
ただ、実際に行ってみたら、
おもしろかったわけで……
続いてほしいなぁと思います。 |
土屋 |
最近の企画書や番組の説明では、
「世の中、
暗いニュースばかりじゃないですか……」
というふうに
言わないんじゃないかと思うんです。
「今は、世の中がこうなっているから
この番組なんです」
そういう問題意識を、
もう持たなくなってしまった企画が多い。
だから、見てはいないんですけど、
『あかるいニュース』という企画は、
春の新番組の中では
印象的で気になっていたんです。
そこの、
「今はこういう時代だから」
という点ではがんばっていますよね。
最近のテレビの作り手たちは
そういうのがナシになって
「何が当たるの?」
「何が外さないの?」と
言ってしまっている
スタート地点から
やってしまっている気がするから。
ただ、ほんとうは、
三宅さんがおっしゃったように、
もうひとつ先に行くことが
必要なんでしょうけど。
自分でも、ついこのあいだまで
日テレの編成部長をやっていたときには、
「何が外さないかな?」
と思っちゃったんですから。 |
糸井 |
編成部長をやっているときは、
そう思うんですか? |
土屋 |
後半の方では、そうでしたね。 |
三宅 |
会社ってすごいもので、
立場的に、そうなるんですよね。 |
土屋 |
ええ。
「九年連続で四冠王を取っているから、
十年連続で四冠王を取るのが
おまえの仕事だよ」
そう言われると、
そこは、やり遂げたくなっちゃうんです。 |
糸井 |
課題があれば解きたくなる? |
土屋 |
ええ。
そうすると、
「おもしろい企画」よりも、
「外さない企画」を選ぼうとする自分が、
やっぱり、1年前にいましたから。
それは、
今考えると自分の中が
バラバラになっていく気がして
つらかったんだと思います。 |
三宅 |
番組で数字をあげるとか、
イベントで何億儲けるだとか、
わけわかんない時代ではありますよね。
地上波だBSだCSだと広がっている──
結局のところ、どうしたいのか?
「この期間はこれで行く」
という編成方針がポンとあれば、
しかたがないと納得できるけど、
かつてと同じように
「視聴率が二ケタ取れないとダメだ」
とか、そういう時代ではないですから。 |