前へ目次ページへ次へ

読者のみなさんから届いたお便り #49

 
わたしの母は終戦の年に生まれたので、
もうすぐ80歳になります。
母には2歳年上の兄がいるので、
母の母(祖母)は
終戦前から2歳の子どもと一緒に
夫(祖父)の実家近くで過ごしていたようです。
祖父は戦地に行かなかったけど、
戦闘機をつくる場所に従事していたので
家族の近くにはおらず、
祖母は気を遣う環境の中一人になりたいときには、
ご先祖のお墓に行っていたそうです。
妊娠している若いお嫁さんが
小さい子どもを連れて疎開している、という状況は、
大変だし心細かったことでしょう。
お墓に向かって
「早めに産まれますように」と祈っていたと
祖母に言われたことがあるらしく、
複雑な気持ちになった、と母は言っています。
当時の状況で、
早産で生まれると赤ちゃんは育たないかもしれない。
でも、おなかが大きい状態だと
2歳の子どもを全力で守れるかわからない。
たくさん葛藤したんじゃないのかな、と想像します。
祖父の実家は大分にあり、
長崎、広島に原爆が投下されたときは、
離れているとはいえ、
近くで起きた恐ろしい出来事に
生きた心地がしなかったのでは‥‥と、
50を過ぎた今のわたしは、
当時20代だった祖母を抱きしめたくなります。
その後、祖母は無事出産して母が生まれ、
20数年後にわたしが生まれました。
たぶん当時は、どこにでもあるような
家族の話だったと思いますが、
もしかしたら自分が存在しなかったかもしれない、
わたしにとっての戦争の話です。
(@A.W@)

2025-09-28-SUN

前へ目次ページへ次へ
  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
    読者のみなさんからのお便りを募集いたします。

     

    ご自身の戦争体験はもちろん、
    おじいちゃんやおばあちゃんなどご家族や
    ご友人・知人の方、
    地域のご老人などから聞いた戦争のエピソード、
    感銘を受けた戦争映画や小説についてなど、
    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

    メールを送る

  •  

    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶