世界の感じ方が少し変わるかもしれない
旅があるなら、行ってみたいと思いますか?

いろんな地域の方と関わる「ほぼ日あっちこっち隊」。
北海道では、増えすぎているシカの話をきっかけに
道東の西興部(にしおこっぺ)村にたどりつき、
さまざまな方と仲良くさせていただいています。

狩猟、釣り、きのこ狩りや山菜採りなど、
豊かな自然とともに、思い思いに暮らす人々。
あいまのおしゃべり。都市とは違う時間の流れ方。
固まっていた考えがほぐれてゆきます。

この魅力をいろんな方に紹介できたらと思っていたら、
エゾシカ旅行社さんのツアーへの企画協力のかたちで、
ほぼ日も関わらせてもらえることになりました。

知らない方も多い土地だと思うので、
ずいぶんしっかりめに紹介してみます。
あなたもぜひ、西興部に出かけてみませんか。

(写真=幡野広志)

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3. 「ハンティング同行」ってなにやるの?

 
さて、このツアーの大きな特徴は、やはり
「エゾシカのハンティングに同行できる」
というところ。
めったにできない体験であるのはもちろん、
一般の方のガイドツアーに慣れていて、
丁寧に説明してくださる順平さんとともに、
リアルな時間を過ごせるところが魅力です。
とはいえ、想像がつかない方も多いと思うので、
この回では「ハンティング同行」について、
くわしく説明をしてみます。
朝、あるいは夕方。
エゾシカたちが出てきやすい時間帯に、
車で山道へ。
シカを探しながら走り回り(けっこう見かけます)、
捕獲できそうな個体を見つけたら、
静かに近づいて車を停め、銃で仕留めます。

 
緊張する時間。

 
倒れたエゾシカは、車の荷台に載せ、
できるだけ時間をおかずに解体場へ。

 
そのあと、解体を見せていただきます。
景色、匂い、音、空気の感じ‥‥。
頭の中をさまざまな思いが飛び交います。

 
そんなふうに手に入れたエゾシカを、
夜、調理して、いただくところまで。

 
日常的に肉を食べていても、普段わたしたちが
あまり見ないようにしている部分なので、
工程を目の当たりにすると、衝撃があります。
そのためどうしても、誰にでも簡単に
おすすめできる体験ではありません。
「そういう場面は絶対に嫌だ。見たくない」
という思いの方には、合わないツアーという気もします。
ただし、「食べる」ということについて、
野生動物を仕留めるところからの現実を
目の当たりにして考えてみたい・感じてみたい方、
「増え続けるシカの問題」について
現地での話を聞いて、身体ごと理解したい方、
「狩猟」という文化に興味がある方などには、
その一歩として、来てよかったと思っていただける
機会かもしれないと思っています。
また、ツアーのなかでおこなわれる
森でのきのこ採集や川釣りも、
実際に自分の身体でやるからこその
多くの発見やおもしろさがあります。
「人間はこうやって暮らしてきたんだ」を
身体まるごとで感じる体験。
生きることと地続きの「食べること」について、
ゆっくり理解が深まるような時間。

 
‥‥とはいえ、この西興部のツアー、
心の動く瞬間も、学びも非常に多いツアーだけれども、
いろんな人が参加したときに、
実際たのしめるものだろうか?
そのあたりに不安のあったほぼ日あっちこっち隊、
実際いろんなメンバーで西興部に行って、
プログラムを体験することにしました。
5歳の子どものいる家族の乗組員もいれば、
山のほうに暮らしていて以前から
シカの問題が気になっていた乗組員、
普段は完全に都市生活で自然のなかに
めったに出かけない乗組員、
お肉は好きだけど血は大の苦手という乗組員、
もともと狩猟にちょっと興味があった乗組員。
みんなで「ガコッパー」に泊まり、
ハンティング~解体~料理の流れを体験したり、
順平さんや和さんなど西興部のみなさんと、
話をさせてもらったりしました。

 
そのときのメンバーの感想を、紹介してみます。
ご参考になればいいのですが。

実際に行った乗組員たちの声。

田中ま
どんなツアーかの想像が少しむずかしく、
行く前は不安もあったけれど、
行かせてもらって本当に良かったです。
生っぽい体験が詰まっていて、
ツアー中、ずっと心が動きっぱなしでした。
なかでもすごかったのがハンティング同行で、
順平さんの車に一緒に乗っていた時間、
自分の血がほんとうに沸く感じがあって驚きました。
豊かな自然のなかでやる川釣りやきのこ狩りも、
想像以上に面白かったです。
「これを大人になって体験できて嬉しい!」と思いました。

ゆーないと
ほぼ情報ゼロの家族をつれて、
私、夫、5歳の娘という親子3人で行きました。
きっと面白いことになるだろうと思ったけど、
想像以上の楽しさと感動がありました。
「別のプログラムをお願いしたほうがいいかな」と
すこしだけ心配していた娘も大丈夫で、
みんなと一緒になって楽しんでいました。
現地の人たちが魅力的だし、すばらしいコンテンツだから、
いろんな人に知ってほしいと思います。

杉本
「エゾシカのジビエツアー」と聞いて、
食べもの主体のツアーだと思いこんでいたので、
だいぶショッキングでもありました。
特にエゾシカの解体は、自分の倫理観との戦いで、
最初は直視できなかったけれど、
その場にいるうちに、だんだん自分の中の距離感が
変わっていくのがわかりました。
自分はもともと血などが大の苦手で、
「トラウマになりそう‥‥」とも思いましたが、
数日かけて土地に馴染んでいくプロセスがあったから、
自分の中で消化できた気がします。
結果的に、参加してとてもよかったと思いました。
むしろ自分みたいな人に来てほしいかも、と思いました。

あやぎ
西興部という未知の土地で、
思いきり非日常体験をしました。
「美味しいお肉+プチ狩猟体験」だと思ってたら、
だいぶ本格的な狩猟同行でびっくりしました。
とにかく順平さんの手際がよく、お話が面白い。
また、地域のほかの方にもお話を聞けて、
暮らしの奥行きが伝わってきたのもよかったです。
普通の旅行ではなく、プチ移住のような体験。
なかなか衝撃が強い部分もあったので、
参加者全員が平気だったのは奇跡だと思いました。

じょう
自分はもともと狩猟に興味があって、
そういう動画も見ていたので、不安はありませんでした。
でも、行ってみると狩猟のおもしろさだけではなく、
工程の尊さを感じて、心にくるものがありました。
ガコッパーでの滞在は、合宿っぽい感じだと
事前に聞いていたし、そういう場所も好きなので、
ストレスは特になく、純粋にたのしみました。
行ったことで、狩猟免許取得にも興味が出てきました。
西興部、また行ってみたいなと思います。

さなみ
わたしはみんなを連れて行った側で、
ハンティング同行をはじめ、いろんなアクティビティを
みんながどう受け取るか心配していたのですが、
結果的にみんなたのしんでいたのでほっとしました。
「とにかく誰かに喋りたくて、帰ってすぐに
周りに話した」という人ばかりで、
それぞれに大事な体験を持ち帰ってくれたのでは、
という気がします。
「事前の想像と違った」という声も多く、
現地に出かけてはじめてわかる魅力が
多い場所なのではと、あらためて思いました。

(つづきます)

2026-04-04-SAT

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