
お笑いコンビ「令和ロマン」のくるまさんと
糸井重里の対談が実現しました。
なんといっても史上初、
M-1で2年連続チャンピオンを達成したくるまさん。
お笑い新時代を代表するイメージがありますが、
ご本人は「やってきたことが
時代のトレンドに乗っただけ」とおっしゃいます。
「令和」という時代のほうが、
令和ロマンの登場を待っていたのかもしれない。
そう感じてゾクゾクしてしまうほど、
自然に時代とシンクロしてきたくるまさんの歴史を、
全19回で浴びてください。
くるま
1994年、東京生まれ。
漫才コンビ「令和ロマン」のボケ担当。
結成6年目の2023年、
トップバッターでM-1優勝。
その後、第45回ABCお笑いグランプリでも優勝し、
史上初の「M-1優勝後にABC優勝」を果たした。
さらに、2024年度のM-1にも出場し、
またしてもトップバッターで優勝。
M-1史上初の二連覇を達成する。
2025年4月、吉本興業との契約を終了。
引き続き令和ロマンとして活躍を続ける。
- 糸井
- 学生のころは、
スポーツ部門、文化系部門と分けると、
どのあたりの位置にいる感覚でしたか。
- くるま
- めちゃくちゃスポーツでした。
中高6年間、「もうちょっとで花園(※)」
というくらいの強豪校で
ラグビー部の副キャプテンを
やらせてもらっていました。 - (※編集部注:東大阪市花園ラグビー場。
全国高等学校ラグビーフットボール大会の開催地)
- 糸井
- 「副」っていうのもいいですね。
- くるま
- 副なんですよ、キャプテンじゃなかったんですよ。
キャプテンはシュッとした子がやっていて、
ぼくは、いまより20キロぐらい体重があったので、
ぷくっとして、「はいがんばるよー」と声を掛ける
役回りでしたね。
- 糸井
- 「もうちょっとで花園」とのことでしたけど、
ラグビー選手としてさらに上を
目指すことはなかったんですか。
- くるま
- ラグビーは、うれしいことに、
いま日本でまた注目されていますが、
もともと世界との差が
とんでもなく大きいスポーツなんです。
高校生のとき、
日本代表と外国チームの試合を
見に行かせてもらったのですが、
外国のチームの強さが半端なくて。
それを目の当たりにして
「ぼくは、この世界で上を目指すのは無理だな」
と思ってしまったんです。
実際、ぼく自身も、
高校最後の大会で入ってきた、
トンガからの留学生にボコボコに負けました。
- 糸井
- じゃあ、そのころにはもう、
ラグビーをやりつつも
「トップクラスの選手になるのは無理だ」
と思っていたんですね。
いまやっている「人を笑わせる」
ということに関しては、
才能の気配はあったんですか。
- くるま
- ラグビー部のなかで、
わりとおもしろ担当でした。
- 糸井
- それはつまり、
サンドウィッチマンさんと同じようなことですね。
サンドウィッチマンさんも、
ラグビー部の部室でおもしろいことを
やっていたんですよね。
- くるま
- ラグビー部出身のお笑い芸人さんはけっこう多くて、
その人たちのお笑いのしかたは
よくわかる気がするんです。
「部室で、目の前の人を笑わせたかったんだろうな」
って。
目の前‥‥目の前お笑いというか。
- 糸井
- あははは。
しかも、ラグビー部出身の方は
チームワークがいいですよね。
- くるま
- はい。社会性があると思います。
- 糸井
- 「おまえがいるから、おれもやれる」と
頼り合う感覚っていうのは、
ラグビーをやっていた人は、
大人になってもずっと持っていますね。
- くるま
- ラグビー部は、そこにすごい誇りを
持っている気がします。
アメフトにはないぞ!って。
- 一同
- (笑)
- くるま
- ラグビー部の知り合いはみんな
「アメフトにはないぞ! この犠牲の心は!」
と思ってます、たぶん。
- 糸井
- くるまさんの芯にも
その気持ちはありますかね、やっぱり。
- くるま
- いや、ぼくのなかにはないです(笑)。
ラグビーとアメフト、ぼくはどっちも好きで、
違うものだからいいと思ってます。
アメフトは完全分業制なんですよ。
- 糸井
- 機能が分かれていますよね。
- くるま
- そうなんです。
ラグビーは全員でパスを回しますが、
アメフトは攻撃と守備とでチームが違って、
キックを蹴る人も別です。
- 糸井
- ラグビーは、ひとりの選手が
お仕事を兼ね持っている。
- くるま
- そうです、そうです。
たぶん、その方が日本人の気質に
合っているんだと思います。
- 糸井
- 農業と同じで。
- くるま
- 「みんなで助け合って、村を支えていこう」の
スピリッツに近いから、
日本ではアメフトよりもラグビーが
流行ったんだろうなと。
- 糸井
- くるまさんとラグビーの関係は、
いまはじめて詳しく聞いたけど、
ものすごく重要そうじゃないですか、
くるまさんのなかで。
さっき話してくれた
「目立たないように」とか
「かっこよく見せないように」ということは、
守備を固めているように見えます。
でも、くるまさんは防衛しながらも、
「なんならおれが一口乗るよ」って、
お手伝いみたいなことも
やりたがってそうに見えるんですよ。
- くるま
- あ、まさに、両方好きです。
基本的には防衛しているんですけど、
なんか、補完が好きなんですよ。
補いたいんですよ、なにかを。
とにかく補いたくて。
- 糸井
- それは、まわりのみんなにとっては
「ありがたい人」ですね。
昔からぼくは、
みんなで旅行をするなんていうときに、
「なにができるわけでもないけど、
あいつは呼ぼうぜ」って言われる人が
理想なんですよ。
- くるま
- ええー! うわ、いいですね、その人。
そうなりてー。
- 糸井
- なりてーですよね。
- くるま
- 運転、ぼく全然得意じゃないんですよ。
旅行の計画を細かく立てたりもしないんですけど、
「絶対助手席で寝ないぜ」
ということだけは決めてて。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- かわいいじゃないですか。
- くるま
- 助手席のおれは寝ないし、
車酔いの薬だって、後部座席まで回しますからね。
後ろを向くことによって自分が車に酔う
リスクも背負って。
- 糸井
- お菓子配ったら、ゴミ袋配って。
- くるま
- そうそうそう!
ちっちゃいゴミ袋持っていってます。
(明日に続きます)
2026-01-05-MON