「東京糸井重里事務所」時代から
何十年も「社長」をつとめた糸井重里が、
次の旗手に役割を渡すことにしました。
新しい社長は、ほぼ日黎明期から在籍した、
みんなが「あやさん」と呼ぶ小泉絢子です。
糸井は会長となりました。
どうしていま? これからどうなっていく?
ふたりに訊いてみました。
インタビュアーはほぼ日の菅野です。

前へ目次ページへ次へ

第6回 スターで裏方

──
私はこれまでの働きぶりを知っていますが、
あやちゃんは誰よりも先に腰を上げて動く人ですよね。
ほぼ日の個人商店的なマインドについては、
「背中を見ろ」的な感じで
伝えていくのでしょうか。
小泉
いや‥‥ついに、ついに気づいたんです。
もう背中を見せる時代は終わりました。

──
えっ、ほんと?
糸井
そのとおりです。
──
ほんとですか!
小泉
はい。
「一緒に行こう」という時代です。
──
マジか。
糸井
いや、俺はよくわかるよ。
──
‥‥たしかに、この私でも、
黎明期に教えてもらったことを
すっかり忘れてましたから。
言ってくれないとわからないですね。
小泉
だから言ったほうがいいんです。
──
いままでは「スター」が
毎週水曜の全体会議でも、
ことあるごとに教えてくれたけど、
会長兼選手で忙しくなってしまわれたので。
小泉
ただ、スターはスターですから。
だから大丈夫です。
スターがいる状態で
会社を引き継いでいるのはすごいですよ。
──
たしかに、
すごくありがたい時期ですね、いま。
小泉
だからこれからも、
糸井重里さん最大化です。
──
最大化でお願いいたします。
最大化しながらも、新社長、
野望を聞かせてください。
小泉
さきほども言いましたけど、
ほぼ日手帳が海外に流通していることをきっかけに、
世界中にほぼ日を見てくださる方が増えてほしい。
いま、海外の方も翻訳のAIを使って
「読めてよかった」とか、
感想を送ってくださいますよね。
この機会をもっと増やしていきたいです。
単純に、私たちはぜんぜん知られてない。
ポテンシャルしかないということを
あちこちで認識します。

糸井
もう、ほんとに、
いやになるほど知られてないよ。
小泉
ほぼ日のなかの「何か」に触れているのに、
ほぼ日だと認識できないケースもあります。
──
生活のたのしみ展も、手帳も、
ヒットしたコンテンツも、
個別に見られるだけで、
ほぼ日だとは思われないですね。
切り取った投稿がバズって本体がバズらない、
これはしょっちゅうありまして、わりと悔しい。
小泉
悔しいよね。
そう、そこですよね。
糸井
そこまでが、
俺の代だったんじゃないかな
俺はやっぱりね、裏方なんだよ、おおもとが。
スターだけど(笑)。
──
ははははは。
小泉
わははは。
いまちょっと鼻から水が出てきた。
糸井
心が裏方なの。
それ、俺のままじゃダメだと思ってる。
どうしても裏に回っちゃうところを、
我慢して表に出てるだけなんだ。
だから君たちの代になったら、
もっと気持ちよく。
──
グイっといきましょう。
小泉
「よろしくお願いしまーす、ほぼ日でーす」
って、遠慮なくいきましょう。
私、まずは家の中からだなと思って、
家で「ほぼ日」と書かれた
Tシャツ着てごはん食べてます。
──
それはご家族がどう受けとめてくださっているか
心配になりますが、
いや、一歩一歩、もっとわかってもらって、
自分たちをアピールしていきましょう。
糸井
頼むよ。

──
糸井さんから見て、あやちゃんはどういう人ですか?
社内からの意見としては、
「天然ボケなはずなのに、鋭利な刃物も持っている」
小泉
天然ボケって(笑)。いやほんとに、ただの天然ボケです。
糸井
うち、みんながボケてるからね。
小泉
そうです、私だけじゃなく。
で、みんな
鋭利な刃物も持ってるじゃないですか。
糸井
あやちゃんは代表のようにそうだけど、
みんな、型じゃなく動ける人ばかりですよね。
「こうあらねば」みたいなところに合わせてない。
これはとてもいいと思います。
小泉
糸井さんがむかし、中途入社の乗組員に
「営業マンだとか社会人だとかっていう、
その鎧をまず脱ぎなさい」
とおっしゃってましたね。
──
ああ、そうです。また思い出しました。
編集者であった私たちも
「脱ぎなさい」って言われました。
小泉
そう。で、みんな脱皮して、
天然であり鋭利な刃物になっていく。
糸井
ぼくはみんなに
「通用するから」って言ってあげたいんです。
そんなふうにプロっぽくしてなくても
通用するから、と。
──
みんなそうなりますね、
ほぼ日に入ってきたら。

(明日に続きます。明日は最終回です)

2026-03-24-TUE

前へ目次ページへ次へ