南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

糸井重里 プロフィール画像

糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第5回 老人が会うというのは


篠原
(ぬっ、と門から現れる)
糸井
あっ!
やぁ、やぁ、やぁ。
篠原
ひさしぶりだなぁ。
糸井
どうもどうも。
篠原
おじいさんが来たな。
おじいさんばっかりだ。
篠原
みんなじじいになっちまった(笑)。
糸井
そうだねー。
あ、中へどうぞ、立ち話もなんですから。

篠原
なんで客のほうが案内する(笑)。
糸井
すいません、おじゃまします。
大勢で押しかけまして、すみません。
とにかく謝るしかないね。すみません。
篠原
とりあえず、こっちに入るか。
ほら、うちんなかだけど、
白い息が出るくらい寒いぞ。
糸井
ああー、いい木を使ってるねぇ。
うん、かっこいい。
篠原
もともとが古い家だからな。
糸井
お、昆虫も飾ってあるね。
セミの標本ですね。

篠原
うん、セミばっかりある。
誰にもらったんだっけな。
糸井
セミって、カメムシの仲間なんだよね。
え?! そうなの?
糸井
それ聞くと、ちょっとねぇ。
篠原
屁こき虫の仲間?
でも、セミは臭くない。
糸井
うん、臭くない。
臭くない屁こき虫だ。
つまり、セミは、臭くない屁こき虫か。

篠原
俺んとこに来るなり、
いきなり「屁こき虫だ」って
ケチつけることないじゃんか。
一同
(笑)

糸井
いやあ、しかし、
ようやく会えたね、3人で。
篠原
そうなんだよな。
このまえは、会おうと思ってたら、
直前に俺がダメでな。肺炎かなんかで。
糸井
2回中止になってるんだよ。
もう1回は俺がね、ダブルブッキングをした。
篠原
あんたがな。

はい(笑)。
糸井
めずらしいよね。
そうそう、ほとんどブッキングがないのに。
一同
(笑)
その日に限ってさ。
糸井
まあまあ、いいじゃないって言ってたら、
今度はクマちゃんが肺炎。
篠原
あ、俺がな。それで今日が3回目。

ようやく。
糸井
つまりさ、老人が3人会うっていうのは、
ものすごく難しいってことだよ。
篠原
奇跡に近いんだよな。
ははははは。

(クマさんの部屋でしばらくおしゃべりします)

2026-03-01-SUN

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編