南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第6回 待ち合わせと病気の話


篠原
南とはね、昔から、
会おうとしても会えないことが多いんだ。
ガロに載せる原稿を渡すときも苦労した。

ああ(笑)。
篠原
まあ、おたがい貧乏だからさ、
喫茶店で待ち合わせができなくて、
駅のプラットフォームで
原稿を渡したりしてたのよ。
糸井
いいねえ(笑)。
金がないから駅で会う。
篠原
そうそう、御茶ノ水の
プラットフォームで待ち合わせてな。
ところが、待てど暮せど、来ない。

はっはっはっは。
篠原
ひどいんだよ。
なんかね、1時間か2時間ぐらい、
俺、待ってたの。
御茶ノ水にいたんだっけ、あのとき。
篠原
そうだよ。
そうだっけ?
糸井
ああ、なんとか姫様の連載じゃない、それ?
そうそうそう、『糸姫』。
篠原
そうそうそう。
その原稿を渡す約束なのに、
この人がぜんぜん来ない。
なんか俺はそのとき
プラットフォームじゃなくて、
駅員が寝泊まりするところにいたんだよ。

糸井
何を考えてるんだ。
突然死ぬかと思ってさ、
もんのすごく背中が痛いんだ。
で、とりあえずその、
駅員のベッドに寝かされた。
なんでだったかなあ(笑)。
もう憶えてないねぇ。
糸井
そうか、クマちゃんと伸坊は
そういうつながりがあったんだね。
篠原
あとは、あれだな、ふたりとも尿管結石だ。
糸井
なにそれ(笑)。
いや、それが、尿管結石だったのよ。
そのまま入院した。
クマさんがさあ、
「その結石っつうのに、つまずいて死ぬなよ」
って見舞いのことばをね、くれた。
糸井
ふふふふ、いいね。

そしたらさあ、自分もその結石になっちゃった。
篠原
そう、俺もなっちゃった。
で、自分の石につまずいたんだよ。
篠原
ははははは。
糸井
クマちゃんって、昔から、
けっこう病気してるんだよね。
篠原
そうそう、こう見えてな。
(笑)
篠原
銭はないくせに、けっこう病気してる。
でも、紙一重で生き返ってる。
ああ、たしかにそうだ。
けっきょくなんとかなってる。
糸井
歯が痛いときに、
自分で叩いて取ったことがあったよね。

篠原
奥歯な。
あったねー。
篠原
奥歯、ペンチで取った。
糸井
で、最後は救急車呼んだ。
篠原
腫れちゃってな。
そしたら、歯医者があきれながらな、
ペンチで自分の奥歯を取ったやつが、
おまえのほかにもう一人いるって言うんだよ。
糸井
おお。
篠原
力道山の付き人だっていうんだ。

はははははは。
糸井
なんだかすごいな!
篠原
まあ、そういうことは、
やっちゃダメだな。
やっちゃダメだよ(笑)。
糸井
声を大にして言いたいね!
そういうことはダメです!

(急に痛い話でごめんなさい)

2026-03-02-MON

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編