南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第8回 インプラントは不滅じゃない


入れた奥歯は、インプラント?
篠原
インプラントだよ。
糸井
あ、クマちゃん、インプラントってね、
一回入れたらもう大丈夫だと思うでしょ?
不滅だと思うでしょ?
ところがね、あれ、寿命があるんですよ。
篠原
へ?

糸井
つまり、インプラント入れるときに、
歯医者さんから、
「これはもう20年でも30年でももちます!」
って言われるんだけど、
20年か30年経ったら壊れるってことなんだよ。
あーー、なるほどね。
糸井
実際、ぼくが20年前に入れた歯に、
やっぱり問題が起こってきてて、
じつはいま、インプラントの
入れ直しのために整地をはじめたところ。
篠原
ありゃー、そうかい。
糸井
つまり、俺、長生きしちゃったからさ。
第2インプラント時代に入りつつある。

でも、その治療が終わったらまた20年もつんだね。
篠原
その間に死んじゃったら無駄になるぞ。
糸井
せっかく入れた歯がね(笑)。
篠原
そうそう。
糸井
でもさ、クマちゃん、
あらゆることはそうだよ!
はははは、あらゆることはそう!
篠原
そうだ、そうだよ(笑)。
糸井
せっかく婚約してもさ、
ようやく孫が生まれてもさ、
「その間に死んじゃったら‥‥」でしょ。
篠原
そうなんだよ。
だから、先なんか、わかんねーんだよ。
明日のことは、わからんから。

糸井
いろんなこと、やっといたほうがいいね。
だから、まあ、3人で会えてよかったよ。
よく会えましたよ、ほんとうに。
無駄にならずにすんだね、いろいろ(笑)。
篠原
そうだ、そうだ。
糸井
自慢じゃないけど、わたくし、
2か月くらいまえに、どうも風邪が治んなくて、
元気に暮らしてたけど、文句は言ってたの。
風邪がなんかねー、ダルいんだよ、とか言って。
で、先月、ほかの検査で、レントゲン撮ったの。
そのときに、肺を見たお医者さんが
「おや?」ってなにかに気づいて、
診てもらったら、肺炎が治った痕がある、と。
ああー。
糸井
で、いちおう、ちゃんと調べて、
けっきょく問題なかったんだけど、
やっぱり一回、肺炎になってたらしいんだよ。
だから、そのころにもし俺たち約束してたら、
「今後は糸井が肺炎で」って
ことになってたと思うよ。
そのころ、日々の暮らしは問題なかったの?

糸井
うん、仕事してたよ。
まあ、なんか、文句は言ってたよね。
いま思えば、不平不満をぶつぶつね。
いわゆる、調子悪い、ってことだね。
篠原
機嫌悪かったりな。
糸井
そうそう、だからもう、言ってたね。
「バカヤロー! なんだこの茶碗は!」
はははははは、茶碗に。
篠原
古いタイプだな(笑)。
糸井
ちゃぶ台ひっくり返そうと思ったら、
ないじゃないか、ちゃぶ台が!
はっはっはっは。
篠原
ちゃぶ台はないが、茶はあるぞ。
飲む?

糸井
飲む、飲む、飲む。
いただきます。

(この部屋はクマさんの仕事部屋でもあります)

2026-03-04-WED

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編