ひょんなことから、
ひとつの音頭がうまれました。
いろんな人たちと鳥たちが
協力しあってできました。
底ぬけにたのしい一曲です。
ゴールデンウィークにはじまる
「生活のたのしみ展2023」でも踊ります。
よかったらみなさんのお祭りでも、
踊ってみてください。
音頭の名前は「らいふいずトリドリ音頭」です。
「らいふいずトリドリ音頭」の編曲を担当する
鶴来正基さんは、
この奇妙な話を引き受けるとき、
前述のように逡巡がありました。
音頭、しかもトリの‥‥? 鶴‥‥?
わけがわからない。
でも、鶴来さんはじつは過去に
音頭を制作した経験があり、ノウハウがありました。
さらに、TOBIさんやほぼトリドリ、
ほぼ日のみんなと打ち合わせした日に、
よくわかったのです。
これは「たのしくやればいい」という案件でした。
長いキャリアをもつ人は、さすが
勘が鋭いのです。
TOBIさんの曲、糸井さんとトリドリの歌詞をもとに
イメージしたアレンジで、鶴来さんは
各楽器パートの打ち込みをはじめました。
そのイメージとは、テクノでした。
「え、音頭じゃないの? テクノ?」
と、いま、みなさま、
思われたことでしょう。
グルグルリフレインするトランス、
エバーグリーンなリズム、
音頭とテクノポップは共通点が多いのです。
これまで細野晴臣さん、大滝詠一さんといった
偉大な先人が
テクノやポップスと音頭を融合させ
すばらしい音楽を作りあげてきました。
さらに、です。
レ・ロマネスクが誕生した国は、フランスです。
ラテン語でオンド(onde)は電波、
粒子の波を意味します。
(例:電子レンジ=micro-ondes)
もともと、音頭は電波のこと、
Ondes musicales (音楽電波)だったのでしょうね。
フランスの古い電子楽器に
オンド・マルトノ(Ondes Martenot)
というものがあるのですが、
それは「マルトノさんの電波」という意味です。
鶴来さんは、上記のことを独自にふまえたうえで、
「テクノ、電波、音頭」と脳内でつぶやきながら、
ひとり、音作りに突入しました。
しかし、前奏で早くも
「クラリネットを入れたい」
と思い立ってしまいました。
テクノはどこに行った。
クラリネットの、あのあかるい雰囲気は
シンセサイザーではうまく出せません。
この箇所だけ「生」にしてしまおう、と、
鶴来さんはしかたなく、
自分でクラリネットを吹いて録音しました。
吹いているうちに、さらに
違う考えが頭をもたげてきました。
「この音頭は、みんなで作ろう」
「もっといろんな人に、生で弾いてもらおう」
「おはやしも、ほぼ日の人たちにやってもらおう」
あくまで電波音頭を
コンセプトに置いてはいるものの、
すべてを打ち込みで仕上げることはやめ、
みんなの生音を集めて録音することにしました。
「おはやし」の部分は、
レ・ロマネスクのMIYAさんが
掛け声リーダーになって、
糸井重里をはじめとする
たくさんのほぼ日乗組員が録音に参加しました。
菅野はさまざまな会議に乱入し
みんなの声を録音してまわりました。
わたくし菅野は幼少期から
津軽三味線をやっていたので、弦楽器が得意です。
三味線やベースで参加しました。
太鼓担当は「生活のたのしみ展」チームから、
西田くんです。
ここで鶴来さんは我に返りました。
「こんなに生音で囲まれてしまった。
めざしていたエバーグリーンテクノはどこに。
オンド‥‥オンド・マルトノ〜」
鶴来さんはひとりのプレイヤーを知っていました。
オンド・マルトノ(Ondes Martenot)に
酷似する電子楽器テルミンをあやつる、
一羽の鳥をです。
ほぼトリドリと、別の鳥を
共存させてもいいものか。
ええい、どうでもいいわ。
鶴来さんはほぼ日見習い乗組員の
シジュちゃんに依頼し、
テルミンの音を重ねました。
これでテクノ感が加わりました。
そして、歌はもちろん、
レ・ロマネスクさんです。
「やぐら」からはじまった電子音頭の船に、
多くの人が乗り込みました。
さぁ、この音頭に、
いまこのページをごらんのみなさまにも
乗船していただくには、
どうすればいいのでしょうか。
この音頭にはあとひとつ、
残された重要な要素があります。
主人公と言ってもいい。
それは踊りです。
明日の更新で、いよいよ
踊りをマスターできます。
ぜひ、ごらんください。
それでは、明日。
TOBIさんによる振付ガイドつきで
お届けします。
(明日につづきます)
2023-04-21-FRI