ルーブルの思い出、紹介します。 ーその3ー
みなさんからメールで届く思い出を読んでいると、
「モナ・リザ」や「サモトラケのニケ」、
「ミロのヴィーナス」の名前がよくあげられていて、
それだけ多くの人の心を掴む作品なんだなぁ、と思います。
とはいえ、ルーヴル美術館の展示品は名作ぞろい。
今回は、上記の3つ以外で、
印象に残っている作品の思い出をご紹介します。
一番驚いたのは、
「ハンムラビ法典」が自分より巨大だったことです。
教科書の小さい写真で見ていたので、
持てる位のサイズだとばかり思っていました。
ちゃんと考えたら、くさびで文字を打つんだから、
小さいはずがないんですが。
25歳の衝撃、忘れられません。
(キムラ)
当時付き合っていた彼女と行った初めての海外旅行。
パリは二回目、ルーヴルも二回目だった自分は、
どうしても彼女に見せたいものが沢山あったので、
あれもこれも盛りだくさんの観光プランを
必死にこなしていました。
結果、ルーヴルに辿り着いたのは閉館30分前。
当然ルーヴルの展示品の中でも見せたいものは
沢山あったので、既に歩き疲れている彼女の手を引いて
「岩窟の聖母」からの「モナ・リザ」からの
「サモトラケのニケ」からの「ハンムラビ法典」からの‥‥。
いよいよ閉館間際で追い出しが始まった時、
疲れきって何を見てもどうでもよくなりつつあった
我々二人の目の前にあったのは、
日本では大人気フェルメールの「レースを編む女」でした。
その小さな絵は気を抜いたら見過ごしてしまいそうな
本当に小さな小さな絵で、周りの作品に押されて
狭いスペースに閉じ込められたかのよう。
ただ、我々の目には
キラキラと輝いて飛び込んで来たのでした。
そんなこんなでルーヴルの思い出といえば、
彼女がこの絵の前で「レースを編む女」のポーズを真似た、
その景色なのです。
ちなみに、その彼女は今の奥さん。
(T.Y)
今から15年前、美大生だった私は、
研修旅行でパリ・ベルギーの美術館巡りで
ルーヴルにもモチロン行きました。
あまりにも作品数、美術館数、有名絵画、彫刻が多すぎて
ウンザリ気味でしたが
「ナポレオンの戴冠式」にはビックリしました。
ジョセフィーヌのマントのベルベット感がスゴイのです!!
まるでベルベットでして‥‥。
この赤いベルベットしか記憶にないのが残念。
もうあれだけの作品数があると、
やっつけ仕事になってしまうのね~。
(M.M)
高校時代の話です。
3年生の選択授業で美術をとっていた私にとって、
授業での最後の作品となったのが
ラファエロの「美しき女庭師」の模写でした。
教えて下さっていた美術の先生は、
日本画の画家もされている方で、
作品に真摯に向き合う姿勢を教えてくださいました。
受験生であるにもかかわらず、
美術を選択した生徒たちは皆、たっぷりと時間をかけて
それぞれの選んだ作品と向かい合いました。
私はそのとき、模写する絵の資料として、
教科書に掲載されているもの以外に、
図書館から2点画集を借りてきました。
細部まで見るにはこの資料、
筆遣いがよりわかりやすいのはこの資料、というように、
それぞれ参考にしたい部分があり、
私は3つの資料を並べながら作業をしていました。
ところが困ったことに、
それらの資料はどれも微妙に色合が異なっているのでした。
とくに顕著なのが空の色で、
どれが一番実物に近いのか困ってしまった私は、
先生に相談に行きました。
すると先生は
「それはいつか自分の目で実物を見て確かめなさい」
とおっしゃったのです。
それは完全に盲点でした。
必死に模写している絵には実物があって、
私はそれを見に行くこともできるのだと、
資料とにらめっこばかりしていた私は
あらためて気付かされたのです。
将来絶対に「美しき女庭師」を見にルーヴルに行こう、
という決意が生まれた瞬間でした。
この念願がかなったのは実に17年後のことです。
2013年の夏、突然まとまった休みがとれることになった私は
ついにルーヴル行きを決行しました。
会館時間と同時に「モナ・リザ」を目指して
進んでいく人たちにまぎれて、
私はそのそばにある
ラファエロの「美しき女庭師」にたどりつきました。
とても美しい絵でした。
空は青く青く澄んで、
絵の奥にどこまでも広がっているようでした。
まだ人の少ないその一角で、
贅沢なことに15分近くもその絵を独りじめしていたのに、
私の足はなかなか次の作品に向かうことができませんでした。
本物の持つ力強さ、訴えかけてくるものの大きさは、
画集ではとても得られない感動を与えてくれました。
その後、広大なルーヴルを堪能して、
数え切れないほどの作品を見て、
大いに感動して帰ってきましたが、
やはりあの空の青さが一番の思い出として、
今も心に焼き付いています。
(かな)
私のルーヴル美術館の思い出の作品は何かといいますと‥‥
ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル作
「トルコ風呂」です。
珠玉の作品が揃っているルーヴル美術館ですが
私はこの作品がなぜか一番人気に残ってます。
ぜひみなさんにも
足を止めて鑑賞していただきたいなと思います。
(うさみん母)
はじめての海外旅行がパリの一人旅でした。
たしか19か20歳。
美大で彫塑専攻の私は
とにかく美術館を巡るんだ! と張り切ってました。
初めての海外旅行だったからか、
なぜか空港についてきた父親の方が
ハイテンションだったのがおもしろかった。
肝心の美術館は楽しかった!
ルーヴル美術館は、古いなあと思った。
つまり昔の絵だね、と
学生らしい生意気な気持ちで見たような気がします。
教科書でみた絵が目の前に! という感動感激と、
まあ歴史だよ、みたいな小生意気な上から目線とのない交ぜが
今では可笑しいです。
一番印象に残っているのは、バターの塊の絵です。
テーブルにでん! と乗ったでっかいバターの塊は、
テカりとヌメっという感じがよく表されていた。
写真取りました。
多分有名な絵ではないだろうから、
ハガキにもなってないと思って。
外国だなあと思ったのです。
だって塊ですよ、バターの。
日本なら味噌の山を描く感じなのかなあ。
外国に来たのだなあ、ここは外国なんだ、と
強く感じた瞬間でした。
(お団子)
私がルーヴル美術館で「欠かせないもの」と言えば、
「モナ・リザ」はもちろんですが、「サモトラケのニケ」、
ラファエロの「聖母子像(美しき女庭師)」、
それからちょっとマイナーな画家‥‥、
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品です。
さしてアート好きではなかった私ですが、
『ギャラリーフェイク』を読んだことがきっかけで、
美術館巡りが趣味になりました。
特に海外に行くと必ず美術館を訪れます。
その『ギャラリーフェイク』で知った絵が
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「いかさま師」。
一度図録で見たら、そのキモ綺麗さ(?)のとりこに!
不気味な表情、でもどこか綺麗。
ピンと張り詰めた雰囲気。
その、謎深い絵が頭から離れなくなってしまいました。
(育ちのいいボンボンを、
トランプゲームでみんなで騙してるっていう絵なんですが)
調べてみると、ルーヴルには
ラ・トゥールのいくつかの代表作があるとのこと。
その中の「悔悛するマグダラのマリア」にも惹かれました。
あえて、顔の表情はあまり見せず、
ドクロを手にして炎を見つめるマリア‥‥。
「いかさま師」とはまた違った、
深い精神性を感じたのでした。
ぜひぜひ本物を見た~い!! いざルーヴルへ!
ところが、いざルーヴル美術館を訪れて見ると
その広さにビックリ。
超有名な作品を辿るだけで丸一日かかります‥‥。
でもどうしてもラ・トゥールが見たい。見たい見たい~。
友人と、現地の美術館スタッフに順路を聞きつつ、
なんとかラ・トゥールを目指しました。
貸出し中、なんてことがありませんように、と祈りつつ‥‥。
(修復中、貸出し中ってよくあるんですよ! これがまた!)
目の前に現れるまで、ドキドキしっぱなしです。
ありました!
「いかさま師」、「悔悛するマグダラのマリア」‥‥。
もうその前から離れたくなくなっちゃうくらいの感動です。
日本からの道のりを考えたら余計に。
やはり、本物を見ると、
ラ・トゥールの描く顔の表情や指先の滑らかさ、
キモ綺麗さ(!)が迫ってきてうっとり。
この人の描く、
指と顔のノッペリした感じがたまらないんです!
ラ・トゥールの筆使いにウットリしつつ、
その絵のテーマにも心動かされました。
マグダラのマリアが炎を見つめ考えることは‥‥
命とは? 自分の生きるべき道とは?
ラ・トゥール作品を前に、
限りある命を大切に、自分がコレが好き!
という気持ちを大切に生きていこう、なんて思いました。
(茶柱アツコ)
20年ほど前に一度行ったきりのルーヴル美術館。
印象に残った有名な作品は数多くありますが、
私にとって思い出の作品は
シャルダンの「銅の給水器」です。
ここにあったとは! そして、こんなに小さいなんて!
と、感激もひとしおでした。
これは、平成元年のNHK趣味講座「油絵入門Ⅱ」のテキストの
「質感と実在感」の回にのっていた絵です。
油絵は苦手でちっとも描けなかったから余計にわかる、
ひとめで銅製品とわかるすばらしさ。
本物を見られてよかったー!
(くぬる)
ルーヴル美術館には2013年の9月、1人で訪れました。
一番印象に残っているのは
ミケランジェロ作「瀕死の奴隷」像です。
この像との最初の出会いは
大学受験のデッサンに使う石膏像でした。
石膏像は腕が切り取られて上半身のみなので
なんだかよく分からない体勢なのですが
その影のある表情が綺麗だったのを覚えています。
久しぶりにルーヴルで再会した奴隷像は、
あのときの石膏像とは全く印象が違いました。
初めて全身を見たというのもありますが
何よりも素材の違いが大きいです。
見ているだけでずっしりと重いのが伝わってきますし、
肌のひんやりした質感も彼の雰囲気にぴったりでした。
表情も違って見えて、恍惚として死を受け入れてるような
死の間際の色気のようなものを強く感じました。
まるで、友達の違う一面を垣間見たような‥‥
ドキリとした出会いでした。
半年経っても心は彼に奪われたまま、ルーヴルにいます。
また、奴隷像の向かい側、リシュリュー翼の1階には
石像がたくさん置いてある中庭があります。
疲れてきたらそこでのんびり過ごすのがおすすめです。
石像とひなたぼっこなんてなかなか出来ない経験ですよー。
(きりん)
わたしがルーヴル美術館へ訪れたのは、今から26年前。
入社1年目の21歳の冬でした。
会社のボーナス旅行として、
パリ・ローマ1週間旅行した際のオプショナルツアーに、
ルーヴル美術館見学が組み込まれていました。
劇的にいろいろな名所を回るツアーでしたので、
ルーヴル美術館を見学できる時間はたったの2時間!
絶対に見るぞ!と決めていたのは、
「モナ・リザ」、「ミロのヴィーナス」、
ミケランジェロの「瀕死の奴隷」。
ミーハーですが最も良く知られているその3つは外すまいと、
必死に小走りで探し回ったのを思い出します。
お目当てのモナ・リザの元へ急ぐわたしの目の前に、
突然現れた像‥‥。
階段の踊り場に佇むその像は、
天上からの光を身にまといながら圧倒的な存在感を表し、
わたしの心をくぎ付けにしました。
その像は、かの有名な「サモトラケのニケ」。
意外と小さな作品なのですが、
その小ささをカバーする演出に心を奪われました。
逆に大きな作品として度肝を抜かれたのは、
ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」。
本などで目にしていた作品でしたが、
予想をはるかに上回った大作でした。
その作品の前にシートを敷き、
ずーっと作品を寝転びながら見ている男性がいました。
ガイドさんから、
「あの人毎日ここへ来て、
朝から晩まで同じ場所でああしているんですって。」
という言葉に驚いたのを今でも鮮明に覚えています。
そして意外にも、
大好きなダ・ヴィンチ絵画作品の中で
一番気に入ったのが「洗礼者聖ヨハネ」。
モナ・リザに似た顔立ちと、
天に向け人差し指を指しながら意味深に微笑む表情に、
何を意味しているのだろうと、
いろいろな想像を巡らせました。
ガイドの説明によるとダヴィンチは同性愛者で、
この絵のモデルは寵愛した弟子・サライと聞いて、
「ダヴィンチが同性愛者?!」ととても驚きました。
お目当ての作品を目にすることが出来、
世界を代表する芸術作品に圧倒されたわたしは、
「次は絶対に、
ルーヴル美術館見学だけを目的とした旅行で来よう!」
と心に誓いました。
作品の素晴らしさを体感するには、
実物を目にすることだと思いますが、
何はともあれ現代テクノロジーを借りてでも、
目にすることをお勧めします。
「ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館」で
下調べしてから、旅行に行ってみようか‥‥。
(ポン)
一度しか訪れた事がありませんが、
25年たった今でもその優美な表情と姿と
柔和な色彩を思いおこせるのはボッティチェリの、
おそらくフレスコの婦人像です。
たしか「サモトラケのニケ」に向かう途中、
それは突然目に飛び込んできて、
ああなんて綺麗なひとなんだろう、と心奪われてしまいました。
それまで私にとってルネサンスは知識の一部にすぎず、
素晴らしい技術だけど古い絵という認識でしかなかった。
百聞は一見にしかず。一目みたその日からボッティチェリは
過去の巨匠から自分とかわらぬ感情をもつ生きた人となりました。
やはり自分の目で確かめないと、
物事のよさは分からぬものだと確信した思い出です。
(すなにょろ)
私の高校は、二年生の冬休み、
希望者はヨーロッパ芸術研修がありました。
もちろん、
ルーヴル美術館も研修のスケジュールに入っていました。
事前学習で写真で観た絵が目の前にある感動と、
「スリに気をつけて!」というガイドさんの言葉に
ビビりながら鑑賞を続けていました。
ピンクが基調の明るい部屋に、
パステルカラーの大きな絵がありました。
かわいい! というのが第一印象だったのですが、
そこに描かれていたのは、
ベッドに寝ている少女が、とても嬉しそうな表情で
窓から光の差し込むに向かって顔を挙げています。
しかし、ベッドの周りの家族は少女を見守っています。
17歳の私は、それが少女の臨終の場面だという衝撃と、
表情の美しさに釘づけとなりました。
とても明るい基調の絵にも関わらず、
絵の意味することとの重さのギャップに
混乱した記憶があります。
日本の文化との違いを実感しました。
年齢を重ねた今だからこそ、
ルーヴルに行ってみたいと思います。
(鶴姫)
わかる範囲でリンクをつけていますので、
ぜひぜひ、リンク先の絵を見てみてください。
みなさんの思い出をたどるだけでも、
ちょっとした美術館にきた気分になれますよ。
明日も、どうぞおたのしみに。
ルーヴル美術館にまつわる思い出は、
明日6日(木)の午前11時まで、
受け付けています。
どうぞ、あなたの思い出も教えてくださいね。
※思い出の募集は終了しました。
たくさんのご投稿、ありがとうございました。
本文にあなたのルーヴルの思い出をつづってください。
掲載されたときのためのハンドルネームもお忘れなく。
件名を「ルーヴルの思い出」にして、
postman@1101.com 宛に送ってください。
(下記の「投稿する」ボタンを押すと、
宛先と件名が入った新規画面がたちあがります)
締切は3月6日(木)午前11時までです。
1行だけの短い内容や長文におよぶ内容も、
どちらも大切な思い出です。
ですから、書いていただく思い出に
字数制限は特にありません。
けれど、あまりにも長文になると
読むだけでたいへんになってしまいますので、
「常識の範囲内」ということで
ひとつ、よろしくお願いいたします。
また、掲載するときに、
少し編集させていただくことがありますので、
あらかじめご了承ください。
できるだけ多くの思い出を
掲載していきたいと考えています。
ただ、メールの数によっては
すべてを掲載することは難しいので、
「載ったらいいなぁ」くらいの気持ちで
更新をたのしみにしてくださいね。
ご投稿いただいた思い出は、ほぼ日乗組員と
「ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館」の
開発者のみなさんで話し合い、
印象深い投稿、心に残る投稿、ユニークな思い出には、
ニンテンドー3DSLLや
「ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館」の
パッケージ版ソフトなどをプレゼントします!
パッケージ版ソフトはダウンロード版ソフトと
内容は同じなのですが、
ルーヴル美術館のみでしか販売していないので、
なかなか手に入れることができない
とくべつなソフトなんですよ。